中学受験は入学式まで終わっていない?!

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中学受験の合否も出て、受験生、受験生の親御様、様々な思いで日々を過ごされていることかと思います。
合否が出て、これで数年に渡る中学受験も終わった・・と思われる親御さんがほとんどかと。
でも、体験者として申し上げたいのは(息子の中学受験の親として)、実は合否が出てから中学の入学式まで受験は終わっていない、むしろ入学までのこの期間が、親御さん、お子さん方にとっては大切な期間であると思うのです。

どうしても親御さんにとっては、我が子の合否にとらわれてしまうのは当然のことで、もしかしたら、お子さんの合否の結果がまるで”自分が合否の結果を受けているような、自分が評価されているような気がしている”方が殆どではないでしょうか。
受験が終わったとたん、今までの緊張の糸が切れて、体調を崩したり、寝込んでしまった友人も、私達親子が受験した当時も、少なくありませんでした。

先日のブログでも書かせていただきましたが、子供にとっては、”第一希望校”に合格したから嬉しい””思い通りにいかなかったから悲しい”と思うに違いない・・と言うのは、周囲の大人達の勝手な思い込みというところもあります。
子供自身の精神的な成熟度や、性格によっても受験結果に対する思いは違ってきます。
我が家の場合も、息子にとっては第一希望校に合格した喜びより、チャレンジ校に不合格だった悔しさの方が大きかったわけで、ニュース番組でよく放映されるような”希望校に合格して親子で涙を流して喜ぶ”ような風景を経験?!することはありませんでした。
特に”男の子”の場合は、12歳、まだまだ幼さが女の子よりある傾向があるように思います。
いくつか受験し、希望校ではない学校1校だけ合格しても、心から嬉しいと喜んでいるお子さんもたくさんいます。
そして、もっと、踏み込んで言ってしまうと、殆どのお子さんが、実は
”お父さん、お母さん”の笑顔を見たくて、がんばったね!と親御さんから褒めてもらいたくて、受験生活を頑張ってきたのが子供達の本音だと思うのです。
”お父さん、お母さんが自分のことを認めてくれた!”というのが、子供達にとっては結果より、大切なこと。
たとえ、思うような結果が出なくても、親御さんがお子さんなりの頑張りを心から認めてあげること、また、もともと、あまり”中学受験”には向いていなかったお子さんもいるわけで、それはそれで、そのことを事実として親御さんが
受けいれて、
”頑張らなかったから、こんな結果しか出せなかった”
とお子さんを責めたり、”子供のせい”と言うのは理不尽そのものだと思います。

これは、私の友人のお知り合いが中学の制服採寸のために、進学するある中学に親子で行かれた時のエピソードですが、その話を聞いた時、あまりの衝撃で私も絶句してしまったことを今でも覚えています。
その方が制服採寸に向かわれ中学の会場に入り、採寸を始められると、突然、大きな声でひとりのお母様がお子さんに向かって
”まったく、なんで、こんな中学の制服採寸に来ることになっちゃったのよ!ぐずぐずしてないで早くしなさい!”
と罵声を浴びせ始め・・
周囲の空気は一瞬にして凍りつき、罵声を浴びせられたお子さんはうなだれていたそうです。慌てて、中学の関係者が駆け寄りそのお母さんをなだめていたそうです。
多分、そのお母様としては、我が子に通って欲しい、合格してほしい学校とはご縁がなかったのが、納得がいかなかった・・それは、我が子が頑張らなかったから・・という一方的なそして無責任な親側の勝手な思い込みを、お子さんにぶつけて、ご自分の不満を解消しようとしているだけ・・
そのお子さんのお気持ちを考えると、胸が詰まる思いがしました。
お子さん自身は、これから通う中学の新しい制服採寸にもしかしたら、気持ちがワクワクしていたかもしれませんよね・・というのも、実は勝手な思い込みで、朝から、不機嫌な様子のお母さんを見て、お子さんも気持ちが落ちこんでいたかもしれず。

一方、普段の実力通りとはいかず(試験はみずものですから)周囲から見れば
”あんなにふだんはできるお子さんなのに・・”という、勝手な同情を寄せられていたお子さんのお母様は
”よく頑張ったわね!この学校はきっとあなたに合っていて、これからとても楽しい学校生活が送れるのだとお母さんは思うわ。”
とお子さんに笑顔で言葉をかけられたお母様もいらして、そのお子さんは6年後の大学受験では第一志望の東京大学に現役合格した・・というエピソードも聞きました。

前者のお母様、後者のお母様、親として精一杯、受験生であるお子様をサポートなさったことは同じ、けれども、その結果がどんな形であれ、12歳の子供の人生はまだまだ将来があり、中学受験はお子様の人生の通過点のひとつに過ぎないと理解されていたか、受け入れらていたか、否か・・でこんなにもその後のお子さんの人生が変わってくるかもしれないのです。
12歳の子供達にとっては、どんなに大人びて見えるしっかりとしたお子さんであっても、まだまだ”自分のアイデンティティー”はわからず、親御さんが自分をどう思ってくれるか、認めてくれるか・・
自分の言動で、親御さんが笑顔になってくれることで、自分という人間を自分が認められるのだと思うのです。

お子さんの表情は、ご自分の表情だと思ってください。
ご自分が笑顔で、おおらかでいれば、お子さんも笑顔で前向きになれます。
すべての受験校とご縁がない結果になったとしても
”まだ、子供にとっては受験する時ではなかったのね”
と親御さんが思うことが大切です。

嬉しいことに、何校も合格をしたお子さんが進学先を悩む時も、まずはお子さんの思いを優先させてあげてください。
”こちらの学校の方が大学進学率が良いから”
”偏差値が高いのはこちらの学校だから”
という、単純な親から目線で決めてしまうと、後から、何かお子さんにとって
不都合なことや試練が起こった時
”あの時、この学校に行けといったのはお母さんじゃないか!”
と、お子さんが他人に責任転嫁することになってしまい、問題にまっすぐ向かい合うことができなくなってしまいます。
お子さん自身が決められない時は、少なくとも、”お子さん自身が決めた”と思えるような”誘導の仕方”をしてあげるのが一番良いことだと思います。

中学受験の終わりは、中学の入学式までであることを、是非、心に留めておいていただけたらと思います。



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