「時給1,200円なら、このくらいで雇えそう」
新しくスタッフを採用するとき、
まず時給から考える人は多いと思います。
もちろん、
時給はとても大切です。
でも、
時給だけを見て「雇える・雇えない」を判断するのは少し危険です。
なぜなら、
実際に人を1人雇うと、
時給以外にもいろいろなお金がかかるからです。
時給1,200円=人件費1,200円ではありません
たとえば、
時給1,200円で、
1日6時間、
月20日働いてもらうとします。
単純計算では、
1,200円 × 6時間 × 20日
なので、
月14万4,000円です。
ここだけを見ると、
「月15万円くらいなら大丈夫そう」
と思うかもしれません。
でも実際には、
・交通費
・求人広告費
・制服や備品
・研修にかかる時間や費用
・手当
・社会保険などの会社負担
が発生する場合があります。
つまり、
給与として払う金額と、会社やお店が実際に負担する金額は同じとは限りません。
さらに大事なのは「その人がいくら売上を作れるか」
人件費が月15万円増えたとしても、
新しく入った人が、
それ以上の売上や利益を作ってくれるなら、
採用する意味があります。
逆に、
人件費は払えても、
売上がほとんど増えないのであれば、
今まで残っていた利益が減る可能性があります。
だから採用前に見たいのは、
「時給はいくらか」
だけではなく、
その人を雇ったあと、売上と利益がどう変わるか
です。
15万円人件費が増えたから、15万円売ればいいとは限らない
ここは少し注意が必要です。
たとえば、
人件費が月15万円増えたとします。
すると、
「15万円売上が増えれば元が取れる」
と思いやすいのですが、
必ずしもそうではありません。
商品やサービスを売ると、
材料費や仕入れなど、
売上と一緒に増える費用があるからです。
つまり、
15万円の人件費をまかなうためには、
15万円より多く売上を増やさないといけない場合があります。
採用前に見たいのは「必要な追加売上」
そこで、
採用前に一度確認しておきたいのが、
今の利益を減らさないために、毎月あといくら売上が必要なのか
という数字です。
たとえば、
計算した結果、
「あと月20万円売上が増えれば、今の利益を維持できる」
と分かれば、
採用判断がかなりしやすくなります。
ただし、
ここでもう1つ問題があります。
「月20万円売ってもらう」
と言われても、
それが難しいのか簡単なのか、
すぐには分からないことがあります。
今いるスタッフと比べると分かりやすい
そんなときは、
今いるスタッフが、
1時間あたりどのくらい売上を作っているかを見ると分かりやすくなります。
たとえば、
現在のスタッフが、
平均で1時間4,000円の売上を作っているとします。
新しい人は、
1時間3,000円売れば今の利益を維持できるのであれば、
必要なのは、
今いる人の平均の75%くらいです。
こうすると、
「月20万円必要」
という数字より、
「今いる人の7〜8割くらい売れるようになればいい」
と考えられるので、
現実的かどうかを判断しやすくなります。
新人は最初からベテランと同じではありません
もう1つ、
時給だけを見ていると見落としやすいのが、
研修期間です。
新しく入った人が、
最初から今いるスタッフと同じように働けるとは限りません。
最初は、
・仕事を覚える
・商品やサービスを覚える
・接客に慣れる
・社内ルールを覚える
・周囲に確認しながら仕事をする
という時間があります。
そのため、
採用前には、
「研修中は50%くらい」
「慣れてきたら70%くらい」
「最終的には100%くらい」
のように、
いくつかのケースで考えておく方が現実的です。
「払える時給」ではなく「利益を残せる条件」を見る
採用するとき、
「時給1,200円なら払える」
「1,300円だと少し高い」
という見方だけをしてしまうと、
本当に大切な部分が見えなくなることがあります。
見るべきなのは、
その時給で人を雇ったあと、今の利益を残せるのか。
そして、
どのくらい売上を作ってもらえば採算が合うのか。
です。
逆に、
時給が少し高くても、
その人が十分な売上を作れるのであれば、
結果として利益が増えることもあります。
採用前に数字をまとめて確認できるExcelを作りました
こうした計算を、
毎回自分で組み立てるのは少し面倒です。
そこで、
現在の売上や利益、
スタッフの勤務時間、
新しく雇う人の時給や勤務条件などを入力すると、
採用後の数字をまとめて確認できるExcelを作りました。
「もう1人雇って大丈夫?」採用前収支シミュレーター
では、
・新しく雇う人の毎月の人件費
・今の利益を減らさないために必要な追加売上
・必要な1時間あたり売上
・今いる人の平均の何%売れればいいか
・研修中/標準/慣れた後の3ケース比較
・採用後に残る利益
・共通時給の目安となる上限
などを確認できます。
「この時給なら払えそう」
だけで決めるのではなく、
その人を雇ったあと、本当に利益が残るか
を一度数字で確認するためのツールです。
▼「もう1人雇って大丈夫?」採用前収支シミュレーター
お金の条件が合ったら、次は「人が合うか」
数字の上で採用できそうでも、
次に大切なのは、
「その人が自分の会社やお店に合うか」
という部分です。
面接では、
経験や資格だけでなく、
仕事の進め方や考え方も見ておきたいところです。
採用後に、
「思っていた人と違った」
を減らすための面接チェックシートも用意しています。
採用は、
雇えるか
と
合うか
を分けて考えると、
判断しやすくなります。
※本記事は一般的な考え方を紹介するもので、個別の労務・税務・社会保険等の判断を行うものではありません。必要に応じて社会保険労務士・税理士等の専門家へご確認ください。