「早期英語教育すると日本語が遅れるの?」という疑問に答えてみる 【おうち英語|バイリンガル子育て】

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コラム
最近、さまざまなSNSやブログにおいて

■ 早期英語教育で日本語が遅れる
■ セミリンガルになる可能性 (母語と言える言語がない状態)
■ 早期英語教育しても公立小学校に入ったら英語力のキープが難しい

などの話題が目立ちますね。
いろんな体験や考えが確かにあると思います。

その中で一番気になるのは
「早期英語教育で日本語が遅れる」
という注意喚起をする人たちの意見が目立つこと。

これに関してはしっかりと
自分の考えを明らかにしておきたいと思い
本記事を執筆します。

 ・インターナショナルスクール講師3年
 ・子ども英会話教室運営・講師8年
 ・バイリンガル子育て歴10年以上
の経験に基づく考察と文献からの学び
我が家でのケースを交えながら
上記3つの点について意見をまとめていきます。

ぜひ最後までお読みくださいね。

その前に、少しだけ自己紹介させてください♪
 ◇ 名前:ひで
 ◇ 子どもが大好きな3児のパパ
 ◇ バイリンガル子育て歴10年以上
 ◇ TOEIC 970点
 ◇ Kindle作家 (4冊出版)
 ◇ NFTアーティスト (OpenSea/HEXAに出没)
 ◇ マルチ職種の会社員
 ◇ WEBサイトや動画も作れる
 ◇ サッカー、スノボ好き

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■ 早期英語教育で日本語が遅れる?

   結論▶︎ 遅れて当たり前。でも大丈夫。

はじめに、早期英語教育をすることによって
日本語の習得が遅れることについて話します。

最初に1つ気になっている点。

SNSでおうち英語界隈を見てて
「幼児期に年齢相応以上」を
親が期待しているケースが散見されるのが
非常に気になってしまいます。

幼児期における多言語教育において
いずれかの言語に「年齢相応以上」の語学力を求めるなら
多言語教育はやめた方がいいと思います。

これは親が相応の努力をし
子どもにも相当の時間を勉強に費やさせるなら
ひょっとしたら可能かもしれません。

しかし、それって自然なことなんでしょうか?

非現実的な期待を子どもにかけてる
ケースが多々あるように感じます。

このような期待をかけながら
4〜5歳で日本語の読み書きができない子を
「日本語が遅れている」と心配するのは
個人的にはナンセンスだと思ってしまいます。

別にその歳でできなくても
小学生になればみんな出来るよね?って話です。

もし小学受験させる目標があって
「何歳でこれくらいできないと・・・」と思ってしまうなら
最初から日本語オンリーにしてあげたほうが
子どもにとって良いのではないかと思います。

子どもに高すぎる期待をかけて
非現実的な理想を抱かないように。
(英語だけに限らず・・・)



さて、ここからが本題です。

幼少期に早期英語教育をすると
日本語の習得が遅れてしまうのか?

結論を先に言うと
「日本語が遅れるのは普通のこと。心配しないで!」
ということ。

早期英語教育をすると
日本語が遅れるというのはごく自然なことです。

これは『習熟させる量と順番』の差であって
ほとんどの場合、時間が解決してくれます。
(学習面での障がいがない限り)

その時間差が気になりすぎる人が
多いのかもしれないと感じています。

当然ながら幼児期に英語教育をしたのなら
その分、日本語教育の時間が減りますよね。

そうしたら日本語の習熟が
大なり小なり遅れるのは当然のことでは?

各家庭において
英語と日本語のバランスは異なるでしょう。

6歳まで英語9割で過ごすのと
英語2割で過ごすのでは
日本語の習熟のスピードも異なって当然です。

あなたの想像通り
英語9割で過ごす子どもの方が
日本語の習熟は遅れます。
それってごく自然なことですよね?

ここで大事なポイントは
あくまでも『遅れるだけ』ということ。

そう、遅れるだけであって
習熟できなくなるわけではないのです。

特に日本に住んでいて
公立小学校に行くのであればなおさらのことです。

早期英語教育をしようと決めた親が
日本語が多少なりとも遅れることを
そもそも覚悟してないこと自体に違和感を覚えます。

もう一度言います。

早期英語教育をすると
日本語の習熟が遅れるのは自然なことです。

驚くことも心配することもありません。

『遅れる』という概念は
遅かれ早かれ『追いつく』ということでもあります。

どの順番とペースで
言語を習熟していくかだけの違いというのが
ほとんどのケースなのです。

少しでも『遅れる』ことで
周りとの差がついたり
親の中にある理想の習熟レベルに達していないと
それが永久的に続く気がしてしまうのでしょうか。

幼少期における「言葉の習熟」についての不安は
小学校低学年〜中学年までには
ほとんど聞かなくなります。

我が家でのケースを紹介します。

我が家では子どもが生まれた時から
バイリンガル子育てに取り組んできました。

私たち夫婦の「バイリンガル」の定義は
「英語も日本語も同学年のネイティブと同等レベルの語学力」

保育所も幼稚園も行かず家庭内保育にて
英語での語りかけと洋書絵本の読み聞かせを柱とし
幼児期にはYoutubeで英語動画の視聴(1日20分程度)
英語圏で使われるワークブックも取り組みました(1日1~2ページ程度)。

「日本語は必ず小学生になれば身に付く」と
信じていましたので

長女が小学校に入るまでは
意図的に英語9.5割で習熟させてきました。

しかし1人目の子どもでしたので
私たちも「大丈夫」と思いつつも

「小学校で日本語に困らないだろうか?」と
少しは不安に感じていましたので
入学の半年前くらいから
日本語のひらがなのワークをやったりはしました。

それ以外の日本語のインプット・アウトプットと言えば
帰省した時に祖父母との関わる時間くらい。
(実家が遠いので帰省は2週間くらいと長めが多い)

小学校入学時
『周りと比べる』と日本語の習熟は
当然のことながら大幅に遅れていました。

しかし、入学後から日本語で困ることはほとんどなく
1年生の間には同級生と同じ日本語レベルに追いつきました。

執筆現在、小4になっていますが
日本語力も教科としての国語も
ひいき目なしに平均以上で
作文コンクールで受賞するほどです。

次に長男のケースでは
小学校入学まで英語8割日本語2割くらいの
インプット・アウトプット量の割合だったと思います。
(長女が小学生になり家庭内での日本語が増えたことによる)

長女にやらせたひらがなワークなどは
結果的に「やらせなくてもよかった」と判断し

長男には日本語ワークはさせず
日本語の絵本の読み聞かせをした程度。

当然のことながら
長男も小学校入学時点で日本語の習熟は
周りと比べると「遅れ」ていましたが
日本語で困ることはほとんどなく
数ヶ月後には周りに追いついていました。

あくまでもこれは我が家のケースです。

しかし、「日本語の遅れ」は当然の結果であり
「日本語の習熟(追い付き)」も予想通り
という結果になりました。

ですから私たちは
早期英語教育をしていて
『日本語が遅れるのが心配』と思う人には

『遅れないから大丈夫』ではなく
『遅れても時間の問題で追いつくから大丈夫』と伝えたい。

「遅れるのは想定内」と思える
姿勢で早期英語教育に挑んでほしいところです。

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■ 早期英語教育でセミリンガルになるリスク?

 結論▶︎ ほとんどの場合、早期英語が原因ではない

次にセミリンガルについてです。

まずセミリンガルとは何か。

辞書サイトWeblioでは

「言語をいくつか知っているが、語彙不足や文法を誤って使用する人」

Weblio
と定義され、ネガティブな意味が込められています。

もう少し言葉を深掘りすると・・・

・1960年代にフィンランドで生まれた用語・概念
・母語を学ぶ機会が奪われることを問題視するための用語だった
・1980年代に差別用語として認識され始めた
 →「ダブル・リミテッド・バイリンガル / ダブル・リミテッド」と呼ばれるようになるが意味合いは同じ。
・さまざまな研究がなされてきたが、その現象の存在や要因を実証するには十分な説得力がなく、中には、見当違いの考え方や調査方法もある、と結論づけられている。
・研究者の一人、サラ・J・シン氏は、セミリンガルを「習得している二つの言語が未発達のように見える人々のことを言い表す、論争を招く用語」と説明している。


日本では、早期英語教育のリスクとして
セミリンガルという言葉が使われるようになり

「母国語であるべき日本語」を疎かにして
英語教育に力を入れるとセミリンガルになってしまう
というような言葉の使われ方がされています。

しかし、近年のバイリンガリズム研究者である
サラ・J・シン氏が指摘するように
セミリンガルの呼ばれる状態は
「未発達のように見える」だけであり
実証はされていないのです。

そして、「未発達」のように見える状態は
生活環境や言語環境が変われば消えることから
環境的、段階的な問題と考えられているようです。

そして、アメリカを中心とした多民族国家において
セミリンガルと呼ばれる状態は
文化的、社会的、経済的な原因が主であって、
多言語教育が原因ではないと考えられるようになってきている。
(諸説あるとは思いますが、調べたらこれが主流のように見受けられる)

事実、多言語が当たり前の国はたくさんありますよね?
アジア内には現地語だけで多言語を使いこなし
さらに英語を使いこなす国もあります。

例えば、フィリピン。
・国用語のタガログ語
・イルカノ語などの地方語(タガログ語とは全く異なる)
・英語
などのようにマルチリンガルが当たり前になっています。
(英語力には個人差がある)

ただし日本に限って言えば
日本語と英語の相性的なデメリットは確かに存在します。

言語的な性質、
使う文字、発声の周波数、文法も全く異なります。

かすかに共通するかもしれない「輸入」された単語でさえも
カタカナ読み、ローマ字読みの弊害で
デメリットになってしまっています。

このような環境の日本で早期英語教育
バイリンガル教育は可能なのでしょうか?

自信を持って可能だと言えます。
我が家では1人ならず、2人目はすでにバイリンガルとなり
3人目の次男(執筆時点で3歳・里子)も着々と
バイリンガルに育ち始めています。

3人ともの少しずつ違う習熟ペースですが
そこには環境の差、男子女子の差などさまざまな要因があります。

しかし、それは長期視点で見れば
わずかな差でしかないと考えています。

この日本で早期英語教育するなら
最初は英語を主言語にするほうが
バイリンガルに育てやすいと考えています。

なぜなら日本に住んでいて
公立小学校に行くようになれば
日本語は必ず学術レベルで扱えるようになると
考えているからです。

事実、我が家の子供たちがそれを実証してくれています。

逆のケースや、半々で進めてきたケースでは
次第に英語が難しくなっていっている
印象を強く受けます。

「主言語を英語にする」という点に関しては
あくまでも経験則に基づく個人的な見解です。
これが唯一の正解などと考えているわけではありませんので
誤解のないようにお願いいたします。

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■ 小学校以降の英語力キープについて


Twitterで話題になっていた
「英語キンダースクールに3年で1000万くらいかけたけど
小学生になったらいつの間にか英語消えていた」
というツイート。

これは残念ながら結構あるあるなのです。

いろんな要因があるので
一概には言えないのですが
使わない言語は失われていくのは自然なことです。

もし基本4技能(聞く・話す・読む・書く)のいずれかでも、
少しでも使い続けていたのなら
英語力がゼロになってしまうようなことはなかったでしょう。

いや、そもそもキンダーに3年間通って
どれだけ英語の4技能を習熟できていたのか。
そこも一考する必要があります。

幼少期におうち英語をされてきて
「小学生以降の英語力キープ」について
悩んでいる方が多いようです。



小学校以降の英語力キープについて
「入学時点でネイティブと同等、または近しい英語力」がある
という前提で考えてみましょう。
(そこまでの英語力がなくても結局は同じなのですが・・・)

まず、厳しく聞こえるかもしれませんが
その時点での「英語力キープ」を目標とするのは
英語力後退を意味してしまうことには留意しましょう。

小学校入学までにどれだけ
英語圏と比べて年齢相応の英語力を身につけていたとしても
その英語力をキープすることを目標にしてしまうと
あっという間に英語圏のネイティブから引き離されてしまいます。

私たち日本人が小学校以降
日本語で全ての教科を学習する一方

英語圏では全ての教科を
英語で学習するのですから当然ですよね。

英語圏のネイティブに近い状態に
ある程度キャッチアップしていかないと
コンテンツが年齢に合わなくなり
小学校入学時の英語力をキープすらことすら
難しくなっていくように思います。

こう言うと非現実的に思われるかもしれませんね。
でもそれはそんなに無理なく達成可能なんです。

ここではある程度
ネイティブに比べて『英語が遅れる』という状態も
受け入れる度量が必要にはなるかもしれません。

我が家ではそれが達成できていると言うと
「めちゃくちゃ勉強させてるんでしょう?」
と思われがちなのですが

机に向かって英語を「勉強」するのは
1日20分程度なんです。
(たったこれだけでガリ勉スタイルと言われたら、もう何も言いませんけど、そう言う人は最初からバイリンガルなど諦めて日本語オンリーにしてください)

ごく手短にどのようなことをしているのか
4技能の観点でまとめると・・・

「聞く」においては
好きな分野のYoutube動画に加えて
TEDedなどのような幅広い学術的コンテンツの視聴。

「話す」においては
基本的に家族間のコミュニケーションのみです。
(かく言う私は日本語でのコミュニケーションが多くなってきています)
我が家で英語教育をサポートしてきた家庭の子どもと仲良しなので
その子と遊ぶ時も英語で話して遊んでます。

「読む」においては
毎朝、毎晩、洋書の読書。
これは「習慣になる」まで親の努力と工夫が必要です。
時間は15分程度と決めてはいるのですが
子供たちは「好き」でそれ以上の時間読むことが多いです。

「書く」においてはワークブックがメインとなります。
長女は物語を書くのが好きなので
ペンギンを主人公にした短編小説みたいなものを英語で書いてます。
日本語で書いたストーリーもあります。

この「書く」の分野、ライティングだけは
英語圏と同じ量を書くのは現実的ではありませんよね。

ですから、我が家の子どもがネイティブ同等と言う場合
それはその学年のワークブックを普通にこなせるレベルである
と言う前提の話です。

ここは若干の「遅れ」が生じても
そこは「日本語遅れる」問題と同じで
「遅れる」だけであって
必要になれば追いつくと考えています。

執筆時点で長女小4、長男小2ですが
それぞれ、上記の取り組みで
小学校入学以降も同学年のネイティブと同等の英語力で
成長し続けています。

小学生になるまでの段階で
英語圏ネイティブと同等のレベルだと

小学校入学以降の「英語力キープ」
いや英語力を上達し続けるのは
皆さんが考えている以上に難しくはないと考えています。

しかし、この点においては
「英語力」だけのことではなく
習慣やコンテンツ選びなど
親がどのようにサポートし続けるかが
大事になってくると思います。



以上、あくまでも我が家でのケースでの一例ですが
小学生以降の英語力についてでした。


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■ あとがき

さて、ここまで
・早期英語教育で日本語は遅れるのかと言う疑念
・セミリンガルのリスクと言う疑念
・小学校以降の英語力キープ(上達)の課題
について考えをまとめてきました。

このようなことを言うと
 「子どもの才能だ」
 「もともと言語に強いタイプなんだ」
 「そもそも地頭が良いんでしょうね」
とかいろいろ言われます。

そういうことじゃないんですよね。

これって大人の勝手な言い訳や逃げ道のための
フレーズに聞こえるのは私だけでしょうか?

子どもはみんな才能がある!
日本以外の国はみんな言語に強いの?そんな理論はない!
地頭は育つもの!育てるもの!

そう答えたい。



僕ら夫婦がバイリンガル子育てを始めて
かれこれ10年以上。

このような成果につながっている理由を
1つ挙げるとしたら

それは使ってきた教材でも
取り入れてきたメソッドでもなく

とことん子どもを信じて、よく観察して、
それぞれの成長線の中で、その時にあった取り組みをすること。

これが大事だと思うんです。

子育てのどの場面を切り取っても
たくさんのトライ&エラーの中で
探り探りしながらやってきました。

子どもの総合的な成長、習熟度
興味関心などをよく観察して
いつどのタイミングで何に力を入れるのかを考える。
それを続けてきたんです。

そして10年以上にわたり、3人の子供を育ててきて
私たち夫婦は声を大にして心から言いたい。

バイリンガル子育ては可能だと。



そもそもどうして我が家がバイリンガル子育てを始めたのか。

それは

『 子どもの世界がぐんと広がり
今の楽しみがど〜んと増え
将来の可能性がぱぁっと広がる 』

ことを知っていたからです。
そう信じているからです。

おうち英語界隈の方には特に
『今の楽しみが増える』というポイントを
もっと感じて欲しいと感じる今日この頃です。


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今回の記事はいかがでしたでしょうか?

少しでも参考になることがあったなら嬉しいです。
お読みいただきありがとうございました!

☆.:・’゜☆.:・’゜☆.:・’゜☆.:・’゜☆

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