余命を別れと感じれない少女(自分が思いついたシチュ1)

記事
小説
今回のシチュエーション内容

最期に破滅するって分かりながらも人の暖かさを求める狂った少女
それを気持ち悪がる優しい女性。

入れたいシチュエーション。キス、押し付け。


プロローグ

どうやら私は、半年後に死んでしまうらしい。

どうしてなんだろうとは思った。やりたいことだって沢山あった筈なのに。

あれをやりたい。これをやりたい…まだお付き合いだってしていない。

でも嘆いてる暇はない。暗く生きたって半年後の余命は延長してくれないのだ。

それなら楽しんで過ごして、最期に笑って看取られたい。

「そうだ。彼女を作ろう」

これが私、有栖川三奈と呼ばれた人間の最初で最後の異常行動だった。


本編

朝起きた私は病院から出ていく事にした。勿論先生たちには内緒にしておく。

だってあの人達はとても煩いのだ。余命を告げた雪の日に安静にしてろとか…全く雪遊びしたいってのに。

因みに安静にしてたら一年は生きていられる…みたいな事を言われたけど正直私の心には何にも響かなかった。

だってそれで一年過ごしたって何も楽しくない。そんなの死を前借りして生きてるだけじゃないか。

そんな死の一年間を生きるよりは、最期のハッピーエンドを目指して半年命を燃やすのが一番いい!

そんな思いから私は準備していた服に着替えて急いで外に出掛ける。

病院の外では冬の寒さが薄着のままの私に戻れと命令する様に冷たさを与えてきて、走り終わった私の口からはやかんの様に二酸化炭素が出てきた。

寒がりの普段の私ならこんな行動考えないだろうな…なんて考えをしながらも、白く輝いた服をしっかりと纏った社会人の列に入って、都会の道を進んでいく。

「…んー。良い子いないかなー…まぁこんな朝からさぼりをしようとする子なんて居ないよなぁ」

寒がりな身体を震わせつつ、私は公園のベンチの横の花壇に座ってため息を吐いた。

時刻はお昼を回っているのにずっと寒い。

本当に、半袖で遊べる子供達って結構凄いんだなぁなんて考えをしながら目の前を見ていると……私の真後ろから薄いパーカーを掛けられた。

「およっ?」

「…大丈夫?なんか身体震わせて辛そうだったけど…学校でいじめられたりした?」

「ん?…ああ!ダイジョブダイジョブ!私学校有給休暇取ってるから!」

私にパーカーを掛けた女性は、とても綺麗だった。

釣り目気味な顔から心配そうな表情が伺え、彼女の根が優しい事が分かる。

更に私の小さい身長を悠々と超えていて、下に制服を着ている事から不登校な事が伺えた。

多分この制服は…近くの高校の制服だったかな。…私より年下でそんな身長かぁ。

「その制服って高校のだよね。そっちは良いの?」

「…私も有給休暇って事でいいわよね?」

「ありゃりゃ。うん、詮索はしないよ。それでどう?」

私の言葉を聞いて少しだけ安堵の息を吐いた彼女は、私の隣に座ってから服の中に空気を入れる様に胸のあたりを引っ張って仰いだ。

確かにこの時期と言っても重ね着をするのはとってもきついだろう。

「私は有栖川三奈。三奈って呼んで?」

「…滝川大空(ソラ)」

「大空ちゃんかー。良い名前だねぇ!所でなんでこんな所に?」

私はちょっとだけ情報を得るべく大空ちゃんに話しかけてみる。

でも、これ自体は情報を取れなくてもいい質問だ。

もし警戒されたら今日は一旦帰るって言ってそれでさようならすればいいだけだし、唯公園に来た理由を話されるかもしれない。

取り敢えず会話が広がれば良いのだ。

「……あんたには関係ない」

「せめて三奈って呼んでよ!?…まぁ関係ないけどね。因みに彼女募集中だけどどう?」

「は?……あんた女だよね?」

「生物学上は。どう?胸触って確かめてみる?」

ほれほれと近づけてみるが冷めた視線を向けられて冷静になった。

危うくドン引きされて警察に捕まる所だった。危ない危ない。

「…いや。え?そういう奴なの?」

「んにゃ?元々男志望だったけど折角なら特別な事したいって思って」

「ばっっかみたい。そんな風に軽々しく扱わないで」

そう言いながら立ち上がって私を睨み付けるのを見て、地雷だったかーと心の中で私は苦笑してしまった。

彼女はきっと本当にレズビアンだったのだろう。…若しくは友達がそうだったかもしれない。

でもそれを軽々しく口に出してしまったから怒られてしまった。失敗失敗。

「ああ。ごめんごめん…もしかしてそういう系?」

「っ~!もういい!」

「あ、ちょっとま…」

怒った大空ちゃんに謝ろうと立ち上がった瞬間、思ったよりも力が抜けている事に気付いた。

……あれ?どうしてだろうか。余命は半年あるって言ってたじゃないか。

…違う。疲れただけだ。何処か言い訳チックな事を心の中で呟きながら私は立ち上がろうと力を入れようとして…少し待ってから大空ちゃんに抱きかかえられた。

「え。あ…へ?嘘…」

「…なーに。どうしたのさ」

「な、なんで…“夏なのに”こんなに冷たいの?」

その言葉を聞いて、私は漸く噛み合った。全ての歯車が…噛み合ってしまったのだ。

「…あー…そっか。そういう事なんだ」

半年分の余命、もう尽きてたんだ。

今は安静にしてた分の半年分を全力で燃やして頑張っていう、それだけの事で。

「…ねぇ。雪で遊んだ?」

「は?何を言って」

「雪は良いんだよ。かまくら、雪合戦、雪だるまに…」

「急に言われてもわけわかんないんだけど」

ごめんね。でも急に言わないともう時間が足りない気がするから。

「出会い最悪だったね。凄い出会いかも」

「は?本当に何…気持ち悪い」

「……ねぇ。大空ちゃんの事何も解決出来てないから、冥土の土産に教えて?
…女の子の事好き?」

真剣な表情で私は大空ちゃんの事を見つめる。

私の表情に気圧されてしまった大空ちゃんは何か迷った様に視線を左右させた後に…小さく頷いた。

それを見た私は直ぐにキスをする。

「っ…~!…?!」

驚いた様な顔をした後、私は押しのけられて地面に叩き付けられる。

唇に暖かさが宿って、私は思わずカサカサの唇を舐めて微笑んだ。…それを見て本当に気味が悪い様な表情で大空ちゃんは一歩引く。

「だ、誰か…え、これどっちが悪い…の?」

「きっと私じゃない?性犯罪者だねきっと」

「…ひっ…」

引き攣った表情を浮かべた少女を見て、私は小さく微笑んだ。…うん、今回の人生はこれくらいで良い。

きっと死にたくないって思った方が、辛い思いになってしまう。これこそがハッピーエンドなのだ。

そう思いながら目を瞑るのと同時に……私の意識は刈り取られていった。
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