キャリアコンサルタント資格を取った。
学び直しもしている。
更新も考えている。
それなのに、なかなかデビューできない。
この悩みを抱えているミドルシニア世代の方は、決して少なくありません。
しかも、この問題は単に「本人の努力不足」で片づけられるものではありません。
実際、JILPTの調査では、キャリアコンサルティングに関連する活動をしていない人が29.7%いました。
さらに、活動していない理由として多かったのは、
「キャリアコンサルティングとは関係のない組織、部署等に所属している」、「周囲にキャリアコンサルティングの仕事(ニーズ)がない」
「所属する組織がキャリアコンサルティングに熱心ではない」といったものでした。
つまり、ミドルシニアのキャリコンがデビューできない背景には、個人の問題だけではなく、資格を取っても仕事につながりにくい構造があるのです。
そもそも、ミドルシニアは少数派ではありません
まず大前提として、ミドルシニア世代がキャリアコンサルタントの中で珍しい存在というわけではありません。
調査では、30代・40代の割合が減少し、50代がピークとなり、60代以上が増加するなど、高齢化傾向が顕著だと示されています。
2022年調査では、50代の割合が40.5%に達し、直近では40代の減少と60代以上の増加が目立っています。
つまり、
「もう50代だから遅い」
「年齢的に不利なのでは」
というより、そもそも資格保有者の中心層そのものがミドルシニアなのです。
にもかかわらずデビューできない人が多いのは、年齢そのものよりも、資格取得後の進み方が見えにくいことに原因があると考えた方が自然です。
資格を取った後の「入口」が見えにくい
ミドルシニアのキャリコンが動けない最大の理由は、私はここだと思います。
それは、資格取得後の「最初の入口」が分かりにくいことです。
医療や介護のように、資格取得後の進路が比較的見えやすい仕事もあります。
一方、キャリアコンサルタントは、
求人に応募して働く
大学や訓練機関などで非常勤から始める
業務委託で案件を受ける
副業・複業で個人相談から始める
ボランティアや周辺活動から実績を作る
など、入口がいくつもあります。
※15分のロールプレイングしか経験していないから自信がないとの理由も多いです。
選択肢が多いのは一見よさそうですが、裏を返せば、自分に合う始め方を自分で選び、設計しなければいけないということです。
調査でも、活動再開・開始の予定として、
副業34.7%
ボランティア32.0%
関連企業・機関への就職・転職28.3%
学び直し26.9%
など、進み方が分散していることが分かります。
これはつまり、「みんなが進む王道ルート」が見えにくいということでもあります。
資格を活かせる職場や部署にいない
活動していない理由として最も多かったのは、「キャリアコンサルティングとは関係のない組織、部署等に所属している」ことでした。
これはとても大きな問題です。
会社員として働きながら資格を取った方の中には、
「せっかく取ったのに社内で活かす場がない」
「人事異動もないし、面談を任されるわけでもない」
「周囲に資格の価値が理解されていない」
という状況の方が少なくありません。
さらに、所属する組織がキャリアコンサルティングに熱心ではないという理由も上位に入っています。
つまり、本人に意欲があっても、今いる場所に(表面的には)「使う場」がないのです。
※(表面的には)と敢えて書かせて頂いたのは、実はここが問題であり、キャリコンデビューするために、キーポイントだと思います。)
この状態では、資格取得後にすぐ実務へつなげるのは簡単ではありません。
活動の場が偏っていて、経験のない人には入りにくい
キャリアコンサルタントの主な活動領域は、この十数年でかなり変化しています。
2022年調査では、
企業領域41.7%
需給調整機関領域20.5%
学校領域20.6%
となっており、以前よりも企業領域の比重が大きくなっています。
また、勤務先ありのキャリアコンサルタントの現在の職務を見ると、2017年から2022年にかけて、
「主にキャリアコンサルタントの仕事」35.9%→28.0%に減少し、
逆に「人事・総務・事務・管理」26.8%→37.9%に増加していました。
ここから見えてくるのは、
キャリアコンサルタントとしての仕事が、独立した専業職として増えているというより、企業内の人事・総務機能と重なりながら活かされている面が強いということです。
そのため、人事や研修、採用、就労支援などに近い経験がある人は比較的入りやすい一方、そうした経験がない人は、資格を取っても「どこで勝負すればいいのか」が見えにくくなります。
「実務経験がない」ことへの不安が強い
活動休止理由の中には、「自分自身の専門的スキル・知識に自信がない」も含まれています。
特にミドルシニア世代は、若い頃から「未経験でもまずやってみる」というより、
「失敗しないよう準備を整えてから動こう」という傾向が強い方も多いと思います。
これは悪いことではありません。
むしろ真面目で責任感が強い証拠です。
ただ、キャリアコンサルタントのデビューにおいては、この慎重さが裏目に出ることがあります。
なぜなら、実務経験は考えているだけでは増えないからです。
その結果、
もう少し勉強してから
もう少し自信がついてから
もう少し良い求人が出てから
と考えているうちに、時間だけが過ぎてしまう。
これはミドルシニアのキャリコンが陥りやすい典型的なパターンです。
IT・オンライン対応への不安が、見えない壁になっている
今のキャリア支援は、対面だけではありません。
オンライン面談、Web会議ツール、SNS、情報共有ツールなどへの対応力も、以前より求められるようになっています。
調査でも、高齢になるほど「Web会議ツール」「SNS」「情報共有ツール」「動画配信ツール」の利用割合が低下する傾向が示されており、報告書でも、中高年齢層のITスキルの向上・更新・維持の重要性が指摘されています。
もちろん、年齢が高いからITができないという話ではありません。
ただ、少なくとも、オンライン化が進む中で「苦手意識」が行動ブレーキになりやすいのは事実です。(だからこそ、完璧を求めすぎず、一歩踏み出す勇気が必要なのです。)
特に、求人応募や複業・独立を考える場合、オンライン面談への対応、簡単な発信、プロフィール整備などは避けて通りにくい時代です。
仕事になりにくい、収益化しにくいという不安がある
デビューできない背景には、「本当に仕事になるのか」という不安もあります。
調査では、キャリアコンサルティングの仕事の報酬が少ないことも、活動していない理由の一つとして挙がっていました。
また、活動の幅が広い人ほど満足度や役立ち度が高く、複数の活動や複数のコミュニティに属して資格を活かしていくことが必要だと示されています。
ここから分かるのは、キャリアコンサルタントは、ただ資格を持っているだけでは収益化しにくく、活動の場を複数持ったり、仕事の入口を組み合わせたりしながら広げていく設計が必要だということです。
つまり、ミドルシニアのキャリコンがデビューできないのは、「資格が役に立たないから」ではなく、資格をどう仕事に変えるかの設計が必要な職種だからなのです。
では、どうすればよいのか?
ここまで読むと、
「やっぱり難しそうだ」
と感じた方もいるかもしれません。
でも、私はそうは思いません。
むしろ、理由が見えたからこそ、打ち手も見えてきます。
ミドルシニアのキャリコンがデビューできない理由は、まとめると次の6つです。
資格取得後の入口が見えにくい
資格を活かせる職場や部署にいない
活動領域が偏っていて入り口が限られる
実務経験がないことへの不安が強い
IT・オンライン対応が見えない壁になる
収益化のイメージが持ちにくい
そして逆に言えば、必要なのは根性論ではなく、
自分に合うデビュー方法の整理
自分の経験の活かし方の言語化
どの領域を狙うかの明確化
最初の小さな実績づくり(まず行動)
発信やオンライン対応の最低限の整備(まず行動)
です。
まとめ|行動できない原因は、準備不足とマインドセット
ミドルシニアのキャリコンがデビューするためには、正しいやり方を理解し、マインドセットで行動のブレーキをはずし、具体的な行動を起こすことです。
調査を見れば、資格取得者の中心がミドルシニアであり、活動していない人も少なくなく、その理由も「ニーズがない」「所属先で活かせない」「組織が熱心ではない」など、かなり構造的なこともあるからこそ、自分に合うデビューの形を整理し、自分自身で道を切り拓いていくことが重要です。
就職ルートが合う人もいれば、副業・複業型が合う人もいます。
まずは小さな実績づくりから始めた方がよい人もいます。
大切なのは、「正解を探し続けること」ではなく、今の自分に合う現実的な一歩を見つけることです。
一人で考えていると整理しにくい方は、まずは現状整理から始めてみてください。
止まっている時間を、次の一歩に変えていきましょう。