本当は比べたくない。
でも、気づいたら比べてしまっている。
そんな自分に、嫌気がさしたことはありませんか?
兄弟なのに、どうしてこんなに違うんだろう。
お兄ちゃんは言わなくても宿題をするのに、弟は何度言ってもやらない。
お姉ちゃんはしっかりしているのに、妹はいつまでも甘えてくる。
同じ親から生まれて、同じように育てているつもりなのに、どうしてこんなに違うんだろう。
そして、つい口にしてしまう。
「お兄ちゃんを見習いなさい」
言ったあとに、後悔する。
あぁ、また比べてしまった。
本当は、比べたいわけじゃないのに。
今日は、そんなお話をしたいと思います。
なぜ、私たちは兄弟を比べてしまうのだろう?
私は、兄弟を比べてしまうのは、単純に親の性格が悪いからでも、愛情が足りないからでもないと思っています。
その背景には、いくつかの心の動きがあるのではないでしょうか。
① 自分の子育てが正しいのか、不安だから。
子どもが宿題をしない。
片づけができない。
何度言っても言うことを聞かない。
そんな姿を見ると、ママは不安になります。
「このままで大丈夫なんだろうか?」
「私の育て方が悪いのかな?」
そんな不安が生まれたとき、私たちは無意識に比較対象を探します。
そして、一番身近にいる兄弟が、その対象になりやすいのです。
お兄ちゃんはできている。
だから、弟もできるはず。
そう考えることで、目の前の子どもに変わってほしいと思う。
でも、ここで少し立ち止まってみてほしいのです。
お兄ちゃんができることと、弟が今できないことは、弟の未来を決めるものではありません。
今できないことが、ずっとできないとは限らない。
子どもの成長には、それぞれのペースがあります。
② 「同じように育てているのに」という思いがあるから。
これも、あるのではないでしょうか。
同じようにご飯を食べさせて、同じように学校に通わせて、同じように声をかけている。
なのに、どうしてこんなに違うの?
そう思ってしまう。
でも、実はここに大きな落とし穴があります。
同じように育てることと、その子に合った関わり方をすることは、必ずしも同じではないのです。
すぐに行動できる子もいれば、気持ちを切り替えるのに時間がかかる子もいる。
一度言われれば理解できる子もいれば、何度も経験して、少しずつ身につけていく子もいる。
同じ言葉をかけても、受け取り方は違います。
だからこそ、必要なのは、全員を同じようにできる子にすることではなく、その子に合った方法を見つけていくことなのかもしれません。
③ ママ自身も、誰かと比べられてきたから。
少し、自分の子ども時代を思い出してみてください。
「お姉ちゃんなんだから、しっかりしなさい」
「〇〇ちゃんはできるのに」
「もっと頑張りなさい」
そんな言葉を聞いたことはありませんか?
もし、自分自身も誰かと比べられてきたのなら、比較することが当たり前のコミュニケーションとして身についている可能性があります。
悪気があるわけではありません。
むしろ、自分がされたことを、無意識に子どもにもしてしまっているのかもしれません。
人は、自分が経験してきた関わり方を、知らず知らずのうちに繰り返すことがあります。
でも、ここで大切なのは、自分の親を責めることでも、自分を責めることでもありません。
「私は今、こういう考え方をしているんだな」と気づくこと。
気づくことができれば、次の選択は変えていけます。
では、比べたくなったとき、どうすればいいの?
「比べないようにしましょう」
そう言われても、簡単にはできませんよね。
頭では分かっている。
でも、毎日忙しい。
何度言っても宿題をしない。
朝は時間がない。
兄弟げんかは始まる。
そんな状況で、いつも穏やかでいるなんて、なかなか難しいものです。
だからこそ、私は、無理に比べないようにするよりも、比べてしまったときの考え方を変えてみることをおすすめします。
1.兄弟ではなく、その子の昨日と比べてみる。
例えば、以前は宿題を始めるまでに30分かかっていた子が、今日は10分で始められた。
以前は一人でできなかったことが、今日は少しだけ自分でできた。
そんな小さな変化に目を向けてみる。
比べる対象を、兄弟から過去のその子自身に変えるのです。
成長は、いつも目に見える大きな変化ばかりではありません。
周りから見れば小さなことでも、その子にとっては大きな一歩かもしれないのです。
2.「できないこと」の裏側にある理由を考えてみる。
宿題をしない子に対して、
「なんでやらないの!」
と言いたくなったら、一度だけ考えてみてください。
疲れているのかな?
どこが分からないのかな?
遊びを終わらせるのが難しいのかな?
そもそも、何から始めればいいのか分からないのかな?
もちろん、すべてに理由があると決めつける必要はありません。
ただ、「やらない」という行動だけを見て判断するのではなく、その背景にも目を向けてみるのです。
理由が分かれば、叱る以外の方法が見つかることがあります。
「まずは算数だけ一緒にやってみようか」
「5分だけ休憩したら始めよう」
そんな関わり方もできるかもしれません。
3.比べる言葉を、その子に向けた言葉に変える。
「お兄ちゃんはできるのに」
この言葉を、
「あなたは、どうしたらできそうかな?」
に変えてみる。
「なんで妹みたいにできないの?」
ではなく、
「ここは難しかったんやね。次はどうしようか?」
に変えてみる。
大切なのは、できないことを何でも許すことではありません。
必要なことは伝えながらも、兄弟を引き合いに出さないこと。
子どもに必要なのは、誰かに勝つことよりも、自分に必要な力を少しずつ身につけていくことだからです。
4.比べてしまった自分を、責めすぎない。
これが、実は一番大切なのかもしれません。
比べてしまった。
きつい言葉を言ってしまった。
また怒ってしまった。
そんなとき、ママは自分を責めます。
「私はダメな母親だ」
「もっと優しくしなければ」
でも、自分を責め続けると、心に余裕がなくなってしまいます。
そして、余裕がなくなると、また同じことを繰り返してしまう。
そんな悪循環に陥ることもあります。
だから、比べてしまったことに気づいたら、
「私、今ちょっと余裕がなかったんやな」
そう、自分の気持ちにも目を向けてあげてほしいのです。
もし子どもを傷つける言葉を言ってしまったなら、
「さっきはお兄ちゃんと比べてしまってごめんね。あなたはあなたなのにね」
そう伝えたっていい。
親だって、間違えることはあります。
大切なのは、一度も間違えないことではなく、間違えたあとに関係を修復していくことなのだと思います。
兄弟は、同じ人間ではない。
当たり前のことだけれど、私たちはつい忘れてしまいます。
同じ家で暮らしていても、同じ親から生まれていても、子どもたちは一人ひとり違う人間です。
得意なことも、苦手なことも、感じ方も、成長のスピードも違う。
お兄ちゃんにはお兄ちゃんの良さがある。
弟には弟の良さがある。
お姉ちゃんにはお姉ちゃんの課題があって、妹には妹の課題がある。
誰かができるからといって、もう一人も同じようにできなければいけないわけではありません。
そして、できることが多い子が、必ずしも心の中まで満たされているとは限りません。
しっかりしている子には、しっかりしている子なりのプレッシャーがあるかもしれない。
甘えん坊の子には、甘えん坊の子なりの不安があるかもしれない。
私たち大人が見ている姿だけで、その子のすべてを判断することはできないのです。
だからこそ、兄弟を比べるのではなく、一人ひとりを知ろうとすることが大切なのだと思います。
最後に。
子育てをしていると、つい子どもを変えようとしてしまいます。
もっとしっかりしてほしい。
もっと自分でできるようになってほしい。
もっと言うことを聞いてほしい。
それは、子どもの将来を心配しているからこそ、生まれる気持ちなのかもしれません。
でも、ときには子どもを変えようとする前に、私たち大人の見方を少し変えてみる。
それだけで、親子の関わり方が変わることもあります。
そして、もうひとつ。
子どもを比べてしまうママ自身も、誰かと比べなくていいのです。
周りのママは優しそうに見える。
あの人は子育てがうまくいっているように見える。
自分だけが、うまくできていないように感じる。
でも、見えている姿が、その人のすべてではありません。
みんな、それぞれに悩みながら、迷いながら、子どもと向き合っているのかもしれません。
完璧なママにならなくてもいい。
いつも正しい対応ができなくてもいい。
比べてしまう自分に気づいたら、そこからまた始めればいい。
子どもが自分らしく成長していけるように。
そして、ママ自身も、自分らしくいられるように。
子どもを変えることだけではなく、子どもを見る自分のまなざしを変えてみる。
そんな小さな一歩から、親子の関係を育てていけたらいいなと思います。
今日も、子育てを頑張っているママへ。
あなたも、あなたの子どもも、誰かと比べなくていい。
一人ひとり、違っていていいのだから。
「ママの心の休憩室」
子育ての悩みを、一人で抱え込まなくてもいい場所。
正解を探すだけではなく、自分の気持ちにも気づける場所。
頑張るママが、少しだけ肩の力を抜ける時間をつくっていきたいと思っています。