「早く宿題しなさい!」
「いつになったらやるの?」
「もうこんな時間やで!」
今日、何回この言葉を口にしましたか?
学校から帰ってきた子ども。
ランドセルを置いたと思ったら、遊び始める。
おやつを食べて、テレビを見て、気づけば夕方。
そろそろ宿題をしてほしいのに、本人はまったく焦っていない。
こっちは夕飯の準備もあるし、お風呂にも入れたい。
明日の学校の準備だってある。
なのに、どうして宿題ひとつ、自分からやってくれないんだろう。
「毎日言わなあかんの?」
「このままで勉強についていけるんかな?」
「私の育て方が悪いんやろか?」
そんな不安が、イライラと一緒に湧いてくることもあると思います。
でも、ちょっと考えてみたいんです。
私たちは、子どもに宿題をしてほしいのでしょうか。
それとも、子どもが自分で考えて、自分から行動できるようになってほしいのでしょうか。
きっと、後者でもあるはずです。
だとしたら、毎日「宿題しなさい」と言い続けることだけが、正解ではないのかもしれません。
今回は、宿題をなかなかやらない子どもの心理と、東大生を育てた家庭の学習習慣や親の関わり方を参考に、今日からできる工夫を考えてみたいと思います。
1.なぜ、子どもは宿題をなかなかやらないの?
まず、考えてみたいのはここです。
宿題をしない子どもを見ると、つい「やる気がない」「怠けている」と思ってしまうことがあります。
でも、本当にそうでしょうか?
子どもが宿題を始められない理由は、一つではありません。
① 学校で疲れている
大人だって、仕事から帰ってきたら少し休みたくなりますよね。
家に帰ってすぐ、やりたくない仕事を始められるでしょうか?
小学生も同じです。
学校では、授業を受けて、先生の話を聞いて、友達との関係にも気を配っています。
低学年の子どもなら、まだ一日の疲れをうまく調整することも難しいかもしれません。
だから、帰宅後すぐに宿題へ向かえないこともあります。
そんなとき、いきなり「宿題しなさい!」と言うよりも、
「今日も学校お疲れさま。ちょっと休憩したら、宿題は何があるか一緒に確認しようか」
そんな声かけから始めてもいいのではないでしょうか。
休憩をすることと、宿題をしないことは違います。
少し休んでから取り組めるように、生活の流れを作ってあげるのです。
② 何から始めればいいのか分からない
大人からすると、宿題は目の前にあるものを順番にやればいいだけに見えます。
でも、子どもにとっては、漢字も計算も音読も、全部まとめて考えると負担に感じることがあります。
何から始めればいいのか分からない。
苦手な問題がある。
終わるまでどれくらいかかるか分からない。
こうした状態では、始めること自体が難しくなる場合があります。
そんなときは、
「全部やりなさい」
ではなく、
「今日は何の宿題があるん?」
「どれからやったら始めやすそう?」
と聞いてみる。
まずは、やることを整理するだけでもいいのです。
最初の一歩が小さくなると、取りかかりやすくなることがあります。
③ 遊びのほうが楽しいから
これも、子どもにとっては自然なことですよね。
遊びたい。
テレビを見たい。
ゲームをしたい。
その気持ちは、勉強への意欲がないということと、必ずしも同じではありません。
楽しいことと、やらなければならないことがあれば、楽しいことを優先したくなる。
大人でも、ついスマホを見てしまうことがあります。
だからこそ、子どもに「自分で時間を管理しなさい」と言うだけでは難しいこともあるのです。
時間の使い方を、少しずつ身につけられるように手伝う。
その積み重ねが大切なのだと思います。
④ 宿題が難しくて、やりたくない
ここは、見落としたくないところです。
何度言っても宿題を始めない。
問題を見た途端に嫌がる。
やり始めても、すぐに怒ったり泣いたりする。
そんなときは、単にやる気の問題ではない可能性もあります。
問題が理解できていないのかもしれません。
失敗するのが嫌なのかもしれません。
学校で分からなかったことを、うまく説明できないのかもしれません。
「どうしてやらないの?」と聞くよりも、
「どこが難しそう?」
「分からないところ、一緒に見てみようか」
と聞いてみる。
宿題をやらない理由が分かれば、必要なサポートも変わってきます。
子どもの行動だけを見て叱る前に、その行動の背景を考えてみる。
それが、解決への第一歩になるのではないでしょうか。
2.東大生を育てた家庭から学べること。
東大生を育てた親の話を聞くと、「特別な教育をしていたのかな」「小さい頃から勉強させていたのかな」と思う人もいるかもしれません。
もちろん、家庭によって取り組みは違います。
東大生を育てた家庭のやり方を、そのまま取り入れれば、誰もが同じ結果になるわけではありません。
でも、日々の子育てに取り入れられるヒントはあります。
例えば、現役東大生へのアンケートをもとに家庭の学習習慣を紹介した記事では、勉強しやすい環境づくりが大切なポイントとして取り上げられています。
また、東大生の親の関わり方については、子どもに指示するだけではなく、質問を通して本人の考えを引き出すことも紹介されています。
ここから、私たちが日常生活に取り入れられそうなことを考えてみます。
① 「勉強しなさい」より、「どうしたらできそう?」
子どもが宿題をしないとき、親はつい指示を出したくなります。
「早くやりなさい」
「先に宿題を終わらせて」
「いつまで遊んでるの?」
でも、毎回親が決めてしまうと、子どもは自分で考える機会を持ちにくくなります。
そこで、少しだけ質問に変えてみるのです。
「宿題、何時から始める?」
「先に計算する? それとも漢字にする?」
「宿題が終わったら、何をしたい?」
ポイントは、子どもが自分で考えられる余地を残すこと。
ただし、すべてを子ども任せにする必要はありません。
まだ時間の管理が難しい子なら、親が選択肢を用意してあげてもいいのです。
例えば、
「帰ってすぐにする? おやつを食べてからにする?」
この二つから選んでもらう。
少しずつ、自分で決める経験を増やしていくのです。
② 勉強する場所と時間を決めておく。
宿題をするたびに、
「いつやるの?」
「どこでやるの?」
と考えていたら、始めるまでに時間がかかってしまうことがあります。
そこで、毎日の流れをある程度決めておきます。
例えば、
帰宅したら、まず休憩する
おやつを食べる
決めた時間になったら宿題を始める
終わったら、遊ぶ時間にする
これだけでも、宿題に取りかかる流れができてきます。
勉強する場所も、できるだけ取り組みやすいように整えておく。
机の上を片づける。
鉛筆や消しゴムを用意しておく。
テレビなど、気が散りやすいものから少し距離を取る。
特別な教材を買わなくても、できることはあります。
大切なのは、子どもの意志の強さだけに頼るのではなく、自然と取り組みやすい環境を作ることです。
③ 親が全部やらせるのではなく、始めるところを手伝う。
宿題をしない子どもに対して、最初から最後まで付きっきりで見ていると、親も疲れてしまいます。
かといって、「自分でやりなさい」と突き放すだけでは、うまくいかないこともあります。
そんなときは、最初の数分だけ一緒に取り組んでみる。
「最初の問題だけ一緒に見ようか」
「今日の宿題、どれくらいあるか確認してみよう」
「ここまでできたら、あとは自分でやってみようか」
始めるきっかけを作って、少しずつ本人に任せていく。
最初から完璧に自立させようとしなくてもいいのです。
親が手伝うことと、子どもの代わりにやることは違います。
子どもが自分でできる部分は任せ、難しい部分には必要なサポートをする。
そのバランスを探していきたいですね。
3.今日からできる! 宿題のイライラを減らす5つの工夫。
ここからは、忙しいママでも取り入れやすい方法を紹介します。
① 帰宅直後に宿題を強制しない
学校から帰ってきたら、少し休憩する時間を作る。
ただし、休憩が長くなりすぎると切り替えが難しい子もいるので、本人と相談して時間を決めてみましょう。
「15分休んだら宿題にしようか」
そんなふうに、休憩の終わりを見えるようにするのもひとつの方法です。
② 宿題の量を見えるようにする
「宿題を全部やる」と考えると、負担に感じる子もいます。
そんなときは、今日やることを紙に書いてみる。
□ 計算プリント
□ 漢字練習
□ 音読
終わったらチェックを入れる。
何が残っているかが分かり、達成感も得やすくなります。
もちろん、学校から出された宿題を勝手に減らすという意味ではありません。
やるべきことを見える形にして、取り組みやすくする工夫です。
③ 「全部終わったら」だけでなく、途中の頑張りも認める
宿題が終わったときだけ褒めるのではなく、取りかかれたことや、自分で考えたことにも目を向けてみる。
「今日は自分から机に向かえたね」
「分からないところを聞けたね」
「最後まで頑張ったね」
具体的に伝えると、子どもも自分の何がよかったのか分かりやすくなります。
ただし、何でも大げさに褒める必要はありません。
普段の会話の中で、できたことを自然に認める。
それだけでも、子どもが自分の成長に気づくきっかけになります。
④ 兄弟や友達と比べない
「お兄ちゃんはもう終わってるよ」
「〇〇ちゃんは自分でできるんだって」
こうした言葉を言いたくなることもあると思います。
でも、誰かと比べられると、宿題そのものよりも「自分はできない子なんだ」という気持ちが強くなってしまうことがあります。
比べるなら、その子の昨日と今日。
昨日より少し早く始められた。
今日は一人で一問解けた。
そんな変化を見つけていく。
成長のペースは、一人ひとり違います。
今すぐできるようになることだけを求めず、少しずつ身につけていく過程も大切にしたいですね。
⑤ 親も完璧を目指さない
これも忘れたくありません。
宿題をさせなければ。
毎日きちんと勉強させなければ。
将来困らないようにしなければ。
そう思うほど、親の気持ちにも余裕がなくなります。
でも、毎日理想どおりに進む家庭なんて、そう多くはないはずです。
疲れている日もある。
予定が崩れる日もある。
親子でイライラしてしまう日もある。
そんな日は、まず気持ちを落ち着けて、できるところからやり直せばいい。
宿題の習慣を身につけることは大切ですが、それだけで子どもの将来が決まるわけではありません。
親子の関係を大切にしながら、少しずつ習慣を作っていきましょう。
4.それでも宿題をしないときは?
ここまで工夫しても、なかなか宿題をしないことはあります。
そんなときは、もう一度、理由を探ってみてください。
宿題の内容が難しすぎないか
学校生活で疲れ切っていないか
集中しにくい環境になっていないか
何から始めればいいか分からなくなっていないか
視力や読み書き、注意の向け方などに困りごとがないか
もし、宿題だけでなく、学校生活全般で強い困りごとが続いている場合は、担任の先生に相談してみるのもひとつの方法です。
子どもの様子を家庭と学校の両方から見てもらうことで、これまで気づかなかった原因が分かることもあります。
何でも家庭だけで解決しようとしなくていいのです。
そして、どうしても親子でぶつかってしまうなら、一度、宿題について話す時間を作ってみてもいいと思います。
「宿題のことで毎日怒りたくないんやけど、どうしたらやりやすいと思う?」
親の困りごとを伝えながら、子どもの考えも聞いてみる。
子どもだって、自分なりに考えていることがあるかもしれません。
大人が一方的に正解を決めるのではなく、親子で方法を探していく。
その経験も、子どもが自分で考える力につながっていくのではないでしょうか。
最後に。今、宿題をしないことだけで、子どもの未来を決めなくていい。
毎日、宿題をしない子どもを見ていると、不安になりますよね。
このままで大丈夫なんだろうか。
勉強が嫌いになったらどうしよう。
もっと早くから習慣をつけたほうがいいんじゃないか。
そんなふうに思うのは、子どもの未来を大切に考えているからこそだと思います。
でも、宿題をなかなかやらない今の姿だけで、その子の将来まで決めつける必要はありません。
今は、親の声かけが必要な時期なのかもしれない。
自分で時間を管理する練習をしている途中なのかもしれない。
分からないことを、うまく伝えられずにいるのかもしれない。
子どもが今どこでつまずいているのかを知ることができれば、関わり方は変えていけます。
そして、忘れたくないことがもうひとつ。
子どもに自分から行動できるようになってほしいのなら、親がすべてを管理するのではなく、少しずつ自分で考える機会を渡していくこと。
最初からうまくいかなくてもいい。
今日、宿題を始めるまでに時間がかかったとしても、明日また工夫すればいい。
「宿題しなさい!」と言ってしまった日があっても、次の日から声のかけ方を変えてみればいい。
子育ては、一度の声かけで結果が出るものではありません。
毎日の小さな関わりの積み重ねです。
宿題を終わらせることだけに目を向けるのではなく、子どもが自分で考え、行動できるようになる過程も見守っていきたい。
そして、ママ自身も、毎日完璧にできなくていい。
頑張りすぎて疲れたときは、少し肩の力を抜いてくださいね。
子どもと一緒に、親も少しずつ成長していけばいいのだから。
今日も、子育てを頑張っているママへ。
宿題のことでイライラしてしまう自分を責めすぎず、明日はひとつだけ、声のかけ方を変えてみませんか?
ママの心の休憩室
子育ての悩みを、一人で抱え込まなくてもいい。
子どもへの関わり方に迷ったときも、自分の気持ちに余裕がなくなったときも。
安心して話し、自分なりの答えを見つけていける場所を作っていきたいと思っています。