「今日、学校どうだった?」
「別に。」
「何か楽しいことあった?」
「普通。」
子どもとの会話を増やしたくて質問しているのに、返ってくる言葉はいつも短い。
もう少し話してほしいと思って質問を重ねると、今度は「うるさい!」「もういい!」と不機嫌になってしまう。
そんな経験はありませんか?
小学生になると、子どもの世界は少しずつ広がっていきます。
学校で過ごす時間が増え、友達との関係が深まり、自分なりの考えや価値観も育っていきます。
一方で、親からすると、以前より何を考えているのか分からなくなったように感じることもあるでしょう。
もっと話を聞いてあげたい。
でも、干渉しすぎるのもよくない気がする。
反抗的な態度には、どう対応すればいいのだろう。
実は、親子の会話が難しくなる背景には、子どもの成長に伴う心理的な変化が関係しています。
今回は、小学生の子どもの気持ちを理解しながら、親子の関係を育てていく関わり方について考えてみたいと思います。
1.「学校どうだった?」に答えないのは、話したくないからとは限らない
学校から帰ってきた子どもに、今日の出来事を聞く。
これは、子どもの様子を知りたいという親の自然な気持ちですよね。
でも、子どもはなかなか話してくれません。
実は、ここで知っておきたいことがあります。
子どもは、学校で起きた出来事を言葉にして整理することが、大人ほど得意ではない場合があります。
例えば、友達と少し嫌なことがあったとします。
本人の中ではモヤモヤしているけれど、何が嫌だったのか、どうして悲しかったのか、自分でもうまく説明できない。
そんなときに「何があったの?」「誰と?」「どうして?」と質問を重ねられると、余計に答えにくくなることがあります。
つまり、話したくないのではなく、まだ言葉にできていない可能性もあるのです。
では、どうすればいい?
質問攻めにするよりも、子どもが自然に話せる空気をつくってみましょう。
例えば、
「今日も一日お疲れさま」
「給食何だった?」
「今日、何か面白いことあった?」
そして、返事が「別に」だったとしても、無理に会話を続けなくて大丈夫。
「そっか。また話したくなったら聞かせてね」
それだけでも十分です。
大切なのは、話すことを強制しないこと。
子どもにとって、話したいときに話せる相手でいることが、安心して気持ちを伝えられる関係につながります。
2.反抗的な態度の裏には、自分で決めたい気持ちがある
「宿題しなさい!」
「今やろうと思ってた!」
「早く片付けて!」
「分かってるって!」
こんなやり取り、ありませんか?
親からすれば、子どものためを思って声をかけているのに、反抗的な態度を取られると腹が立ってしまいますよね。
でも、少し視点を変えてみましょう。
小学生になると、子どもは少しずつ自分の意思を持ち、自分で考えて行動したいという気持ちを強めていきます。
心理学では、このような自分の行動や選択を自分で決めたいという欲求を「自律性」といいます。
例えば、毎朝の着替え。
親が「早く着替えて」と言うと嫌がるのに、自分で決めた時間なら動けることがあります。
これは、着替えること自体が嫌なのではなく、誰かに行動を決められることに抵抗を感じている可能性があるのです。
もちろん、すべての反抗が自律性によるものとは限りません。
疲れやストレス、気持ちの切り替えの難しさなど、さまざまな要因が関係することもあります。
では、どう関わればいい?
命令するのではなく、選択肢を渡してみましょう。
例えば、
「宿題しなさい!」ではなく、
「宿題は帰ってすぐする?それともおやつを食べてからにする?」
「早く準備して!」ではなく、
「先に歯磨きする?それとも着替える?」
このように、親が必要な枠組みをつくりながら、子ども自身に選ばせるのです。
自分で選んだという経験は、自分の行動に責任を持つ練習にもなります。
親がすべて決めるのではなく、子どもが決められる部分を少しずつ増やしていきましょう。
3.子どもに干渉しすぎると、自分の気持ちを話さなくなることもある
ここは、少し考えてみてほしいところです。
子どものことが心配だからこそ、親はいろいろなことを聞きたくなります。
「誰と遊んだの?」
「何をしていたの?」
「どうしてそんなことをしたの?」
「先生に何か言われた?」
でも、子どもからすると、すべてを確認されているように感じることもあります。
例えば、友達と遊んで帰ってきた子どもに、毎回詳しい状況を聞いていたらどうでしょう。
最初は答えていても、次第に「何でも聞かれる」「自分のことを全部知られてしまう」と感じるかもしれません。
子どもにも、自分だけの気持ちや考えを持つ時間が必要です。
親子であっても、心の中まですべて共有しなければならないわけではありません。
大切なのは、監視ではなく見守ること
例えば、友達とのトラブルがあったとき。
すぐに相手の子の名前や経緯を聞き出そうとするのではなく、
「何かあったみたいだね」
「話したくなったら聞くよ」
「困ったときは一緒に考えようね」
と伝えてみましょう。
ただし、いじめや暴力、安全に関わる問題、強い心身の不調が疑われる場合は、本人が話すのを待つだけではなく、親から丁寧に確認し、学校などと連携することも必要です。
見守ることと、放っておくことは違います。
子どもの様子をよく観察し、必要なときには手を差し伸べられる距離にいることが大切です。
4.会話で大切なのは、正しい答えを返すことより気持ちを受け止めること
例えば、子どもがこんなことを言ってきたとします。
「今日、友達とケンカした」
そのとき、どんな言葉を返していますか?
「あなたも悪かったんじゃない?」
「そんなことで怒らなくてもいいでしょ」
「仲直りしなさい」
親としては、問題を解決してあげたいという気持ちから、ついアドバイスをしたくなります。
でも、子どもが最初に求めているのは、解決策ではないかもしれません。
本当は、ただ自分の気持ちを聞いてほしいだけかもしれないのです。
例えば、
「そっか、それは嫌だったね」
「悲しかったんだね」
「それで、どう思ったの?」
このように、まずは子どもの気持ちを受け止めてみましょう。
心理学では、自分の感情を言葉にして整理することを感情の言語化といいます。
子どもは、自分の気持ちを聞いてもらい、言葉にしていく経験を重ねることで、少しずつ自分の感情を理解する力を育てていきます。
そして、気持ちが落ち着いてから、
「これからどうしたい?」
「一緒に考えてみようか?」
と問いかけてみるのもいいでしょう。
すぐに答えを与えるのではなく、子ども自身が考える時間をつくることも大切です。
5.親子の会話は、質問の数より安心できる時間で育つ
ここで、少し意外に感じるかもしれない話をします。
親子の会話を増やそうと思うと、どうしても「何を聞けばいいか」を考えてしまいがちです。
でも、会話は質問を増やせば自然に増えるものではありません。
むしろ、何も話さなくても一緒にいられる時間が、親子の安心感につながることがあります。
例えば、
・一緒に料理をする
・散歩をする
・テレビを見ながら笑う
・寝る前に隣で過ごす
・車の中で何気ない話をする
こうした何気ない時間の中で、子どもが突然学校の話を始めることがあります。
正面から向き合って「話してごらん」と言われると話しにくくても、何かを一緒にしているときには自然と言葉が出てくることもあるのです。
大切なのは、会話を目的にしすぎないこと。
親子で同じ時間を過ごす中に、自然な会話が生まれる余白をつくってみましょう。
6.子どもとの距離感に正解はない
小学生になると、子どもは少しずつ親から離れ、自分の世界を広げていきます。
昨日まで何でも話してくれていたのに、今日は何も話してくれない。
甘えてきたと思ったら、急に「一人にして」と言う。
そんな変化に、戸惑うこともあるでしょう。
でも、親から離れようとする姿も、成長の一つです。
だからといって、親を必要としなくなったわけではありません。
自分で決めたいときもあれば、甘えたいときもある。
話したいときもあれば、そっとしておいてほしいときもある。
子どもの気持ちは、日によって変わります。
親も、いつも完璧に対応できるわけではありません。
イライラしてしまう日もあるし、話を聞く余裕がない日もあります。
そんなときは、少し時間を置いてから、
「さっきは強く言いすぎちゃったね」
「もう一回お話ししようか」
と伝えればいいのです。
親子関係は、一度もケンカをしないことが大切なのではありません。
すれ違ったときに、またつながり直せることも大切なのです。
おわりに
子どもとの会話が難しいと感じるとき、私たちはつい「どうすれば子どもが話してくれるのか」「どうすれば反抗しなくなるのか」と考えてしまいます。
でも、少しだけ視点を変えてみてください。
子どもを話させようとするのではなく、話したくなったときに話せる親でいること。
子どもの行動をすべて管理するのではなく、自分で考える余白を残してあげること。
そして、何かあったときには、いつでも戻ってこられる安心できる場所でいること。
それが、親子の信頼関係を育てていくのではないでしょうか。
子どもとの距離を縮めるために、いつも近くにいる必要はありません。
少し離れて見守ることも、子どもを信じる大切な愛情の一つです。
今日、子どもが何も話してくれなくても大丈夫。
何気ない「おはよう」や「おかえり」、一緒に笑った時間も、親子の関係をつくる大切な一歩です。
ママも無理をしすぎず、子どもの成長に合わせて、親子の距離を少しずつ見つけていきましょう。