言葉にした瞬間から、人生は少しずつ動き始める。
「言霊」って、ほんまにあると思う。
私は、言葉には人生を変える力があると思っている。
ただし、口に出せば魔法みたいに願いが叶う、という話ではない。
もっと現実的で、もっと深い話。
人は、自分が日々口にしている言葉によって、考え方が変わり、見る景色が変わり、選ぶ行動が変わっていく。
だからこそ、私は自分のやりたいことを言葉にすることが大切だと思っている。
それも、一度だけじゃない。
毎日、何度でも。
なぜなら、人間の脳は、自分が意識していることに関係する情報を拾いやすくなるから。
例えば、今まで何とも思っていなかったお店が、急に気になり始めたりすることがある。
それは、誰かに教えてもらったり、自分が興味を持ち始めたりしたことで、その情報に意識が向くようになるから。
心理学や認知科学では、こうした現象に関連するものとして「選択的注意」という考え方がある。
世の中には、毎日ものすごい量の情報が流れている。
そのすべてを意識することなんてできない。
だから私たちは、無意識のうちに情報を選んでいる。
ここで大切なのが、普段から自分が何を考え、何を言葉にしているかということ。
「私は、こんなことをやってみたい」
「こんな人たちと出会いたい」
「こんな生き方をしたい」
そうやって自分の望みを言葉にすることで、脳はそれに関係する情報を拾いやすくなる。
今まで素通りしていた情報が、素通りできなくなる。
誰かの何気ない話がヒントになったり、偶然目にした投稿が気になったり、今まで知らなかった選択肢が見えてきたりする。
それまでと同じ世界を生きているはずなのに、見えるものが変わってくる。
私は、これがすごく面白いと思う。
人生が動き始めるときって、必ずしも大きなチャンスが目の前に現れるわけじゃない。
自分の中にアンテナが立つことから始まるのかもしれない。
そして、もうひとつ。
言葉にすることの大きな意味は、自分に問いを生み出すことだと思う。
例えば、「私は、こんなことを仕事にしたい」と言葉にしたとする。
すると、次に出てくるのは、
「じゃあ、どうやったらできるんやろ?」
「なんで今の私は、それをしていないんやろ?」
「何が足りないんやろ?」
「そもそも、どうして私はこれをやりたいんやろ?」
そんな問いだったりする。
ただ漠然と憧れているだけなら、そこで終わってしまうかもしれない。
でも、言葉にすると、自分の中で考えるきっかけが生まれる。
考えるから、調べる。
調べるから、知らなかったことを知る。
知るから、今までとは違う選択肢が見えてくる。
そして、また考える。
この繰り返しが、少しずつ自分の未来を具体的なものにしていく。
私は、「なぜ?」と問い続けることには、とても大きな価値があると思っている。
なぜなら、答えを探そうとする人は、目の前の現実をただ受け入れるだけではなく、現実の仕組みを理解しようとするから。
うまくいかないことがあったときも、
「私は向いていないんや」
で終わるのか。
それとも、
「なんでうまくいかなかったんやろ?」
「やり方が違ったんかな?」
「別の方法ならできるんかな?」
と考えるのか。
この違いは、時間が経つほど大きくなっていくと思う。
問いを持つことで、失敗はただの失敗ではなくなる。
次に進むための材料になる。
もちろん、考えれば必ず正解が見つかるわけではない。
でも、問いを持っている人は、答えにつながる情報や経験に気づける可能性が高くなる。
だから私は、やりたいことを言葉にするだけではなく、そこから生まれる「なぜ?」を大切にしたい。
そして、言葉にすることには、もうひとつの力がある。
それは、自分が今いる場所と、これから行きたい場所の違いを明確にすること。
「私は、こんな人生を送りたい」
そう言葉にしたとき、初めて気づくことがある。
「あれ? 今の生活は、私が望んでいるものと少し違うな」
「本当はこうしたいのに、なんで私はこっちを選んでいるんやろ?」
理想を言葉にすればするほど、今の自分との距離が見えてくることがある。
私は、この現実とのズレも大切だと思っている。
人は、今の自分と理想の自分との間に距離があることに気づくと、その差を埋めようと考え始めることがある。
心理学では、自分の信念や価値観と行動の食い違いが不快感につながる現象を「認知的不協和」と呼ぶ。
もちろん、ズレを感じたからといって、誰もが必ず行動するわけではない。
見ないふりをすることもできるし、理想のほうを諦めることもできる。
でも、そのズレに向き合ったとき、自分の行動を変えるきっかけが生まれる。
例えば、「私は、自分で仕事をつくれる人になりたい」と毎日言葉にしているのに、何も調べず、何も行動していなかったらどうだろう。
そのうち、自分自身に問いかけたくなるはず。
「本当にやりたいんやろか?」
「怖いから動けないんかな?」
「小さくても、何か始められることはないんかな?」
言葉が、今の自分を映す鏡になる。
そして、自分が本当に望んでいることを、もう一度考える機会になる。
私は、人間には、自分の中で一貫性を保とうとする傾向があると思っている。
自分はこういう人間だ。
自分はこういうことを大切にしている。
自分はこんな未来を目指している。
そういう自己イメージができてくると、それに合った選択をしやすくなることがある。
「私は挑戦する人間だ」と思っている人は、失敗をしても「じゃあ次はどうしよう」と考えるかもしれない。
「私は人の心を大切にする人間だ」と思っている人は、日々の人との関わり方を意識するかもしれない。
言葉によって自分のイメージができ、そのイメージが行動に影響し、行動が経験をつくり、その経験がまた自分のイメージを強くしていく。
そんな循環が生まれることがある。
だからこそ、私は自分にどんな言葉をかけるかも大切にしたい。
「どうせ無理」
「私にはできない」
「今さら遅い」
そんな言葉を何度も繰り返していたら、挑戦する前から選択肢を狭めてしまうかもしれない。
反対に、
「どうやったらできるんやろ?」
「今の自分にできることは何やろ?」
「失敗しても、そこから何を学べるやろ?」
そう問いかけることができたら、同じ現実に直面していても、考えられる選択肢は変わってくる。
言葉は、現実そのものを直接変える魔法ではない。
でも、現実に対する自分の見方や、そこから選ぶ行動を変える力はある。
私は、それこそが言霊の本質に近いものなんじゃないかと思う。
言葉に魂が宿るというより、言葉を通して、自分の意識や行動に方向性が生まれていく。
そして、その積み重ねが、いつか現実になっていく。
だから私は、やりたいことを毎日言葉にしたい。
まだ形になっていなくてもいい。
誰かに笑われるようなことでもいい。
今の自分には到底できそうにないことでもいい。
大切なのは、今の自分にできるかどうかだけで、未来を決めつけないこと。
言葉にすることで、自分の中に問いが生まれる。
問いが生まれることで、考えるアンテナが立つ。
アンテナが立つことで、今まで気づかなかった情報や可能性に気づく。
そして、少しずつ行動が変わっていく。
その行動が、新しい経験をつくる。
新しい経験が、また新しい問いを生み出す。
そうやって人は、自分の未来を少しずつつくっていくんだと思う。
未来が見えているから、言葉にするんじゃない。
言葉にし続けるから、少しずつ未来が見えてくる。
私は、そう思っている。
人生は、一度の大きな決断だけで変わるわけじゃない。
毎日、何を考えるのか。
どんな言葉を自分にかけるのか。
何に疑問を持つのか。
何を知ろうとするのか。
そして、どんな小さな行動を選ぶのか。
その積み重ねで、少しずつ方向が変わっていく。
だから今日も、自分のやりたいことを言葉にしてみる。
まだ答えが出ていなくてもいい。
現実が追いついていなくてもいい。
今の自分と理想の自分が離れていてもいい。
そのズレに気づけたこと自体が、次の一歩につながるかもしれないから。
自分の人生を、自分の言葉で描いていく。
そして、その言葉に自分の行動を少しずつ近づけていく。
私は、そんな生き方がしたい。
あなたは今日、どんな言葉を自分の未来に向けて投げかけますか?