— 部屋別の“最小口数・高さ”と、将来拡張まで失敗しない設計 —
建築士が、実務の順番で解説します。
家づくりの後悔で挙がりやすいのが「コンセント・配線」。
・ダイニングで延長コードが常設
・キッチンの同時使用でブレーカーが落ちる
・家具で隠れて使えない
・ルーター位置が悪くWi-Fiが不安定
本稿は、“今日の図面”にすぐ反映できるチェックリスト付きで、部屋別に必要口数の目安、高さ、回路の考え方をまとめています。
1|まずやること:家電の“同時使用”を書き出す
図面に入る前に、家族の24時間をベースに同時に動く機器を出します。
・ダイニング:ホットプレート/卓上IH/ノートPC充電/スマホ充電
・キッチン:電子レンジ+電気ケトル+食洗機(+IHのブースター)
・リビング:掃除機+ロボ掃除機充電+スタンドライト
・洗面・脱衣:洗濯乾燥機+アイロン
→ 「同時○口必要」という設計のゴールが決まります。
コツ:家具のサイズを確定(or仮決め)し、“家具の可動範囲+50mm”を立入禁止帯として描いてから配線を置くと、隠れて使えない事故を防げます。
2|部屋別|最小構成と高さの目安
以下は“等身大の生活機器”から組み立てた標準案(私案)**です。暮らしに合わせて±調整してください。
LDK
・壁2口 ×6〜8
・床コンセント ×1〜2(ダイニング中央が有効)
・TV背面:電源×2+LAN(必要なら同軸)
・カウンター上:2口×2
高さの目安:天板+100〜150mm
・スイッチ=FL+1100mm
ダイニング
・床1(テーブル中央)+壁2口×2
→ 延長コード常設を回避。ホットプレート/卓上IHの消費電力(1,200〜1,400W)を想定。
キッチン
・専用回路:冷蔵庫/電子レンジ/食洗機(ガスなら乾太くん)
・小型家電用:2口×3(ケトル・ミキサー・コーヒー等)
・足元:ロボ掃除機基地(隠蔽できると◎)
主寝室
・ベッド両側:2口+USB/Type-C
・クローゼット内:1口(除湿・掃除機充電)
・足元灯:就寝導線に合わせて
子ども室
・机まわり:2口×2
・ベッドまわり:2口×2(学年で配置が変わる=左右両対応が安全)
玄関・廊下・階段
・玄関収納内:1口(除湿・工具充電)
・廊下端×2/階段上下:掃除の差し替えを無くす
洗面・脱衣
・洗濯機専用×1、洗面2口×2、アイロン用×1
・ガス乾燥機を検討する場合は位置・排気ルートを先決め
屋外・車庫
・屋外防雨2口×2(アプローチ/庭)
・将来EV/PHV用200V:配管だけでも先行(分電盤の空きも確保)
3|回路計画の基本(専用回路・分電盤)
専用回路の考え方:
キッチンのレンジ/食洗機/冷蔵庫と、洗濯乾燥機は専用。電子レンジ+ケトルの同時使用など1.5kW級の重複を許容する設計に。
分電盤:
“使用頻度×負荷”で回路を分散。LDKは1回路に詰め込まず、LD(照明・コンセント)を分けると停電時の影響を局所化できます。
将来拡張:
露出レール照明や天井ファンのための天井補強+電源、EV用予備ブレーカを確保。
4|通信(ONU/ルーター・有線LAN)の置き方
・置き場所:家の中心寄りの物入/収納に“ONU/ルーター棚”を作り、そこから各室にCat6Aを1本以上。
・Wi-Fiだけに頼らない:在宅ワーク・TV配信・NASは有線が安定。
・弱電の整理:電源タップ/ケーブルダクトを造作に組み込み熱を逃がす。
5|3分チェックリスト(コピペOK)
□ ダイニング:床1/壁2×2で延長コード常設を回避
□ キッチン:レンジ・食洗・冷蔵庫=専用回路/小型家電用の口数確保
□ 掃除動線:廊下両端・階段上下・収納内に1口
□ 寝室:ベッド両側2口+USB/Type-C、クローゼット内1
□ 通信:中央収納にONU/ルータ棚+各室LAN(Cat6A)
□ 屋外:防雨2口×2、将来EV用200Vは配管先行
□ 家具干渉:可動範囲+50mmを“立入禁止帯”にして配置済み
□ 回路:LDとKを分離/分電盤に拡張余白あり
6|よくある落とし穴と回避策
・家具で隠れて使えない → 家具図を先に置き、立入禁止帯を描いてから配線する
・ダイニングのタコ足 → 床コンセント+壁口の組合せで“同時3口”を確保
・キッチンでブレーカー落ち → 専用回路+使用想定の同時ワット数で計画
・Wi-Fiが弱い → ルータ中央配置+有線バックボーン
・屋外作業で延長コード → 屋外防雨コンセントをアプローチと庭の両側に
7|まとめ
配線計画は“面積”ではなく行為の設計です。
・同時使用を先に決める
・家具→配線→回路の順でレイヤーを重ねる
・通信と将来拡張まで一枚の図に集約する
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