真実を知ったら最後⑺

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小説
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Chapter7
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許さない。

愛されるのは私だけでいい。
両親からの注目を浴びるのは私一人で充分だ。

その日の夜、私は電気もつけず両親の帰宅を待った。

昔のことを思い返す。
両親と一緒にキャンプした日。
お母さんと初めてカレーを作った日。
お父さんと一緒に釣りに行った日。
色んなことを次から次へと思い出す。

あぁ、楽しかった。




でも、私の他に子供ができて、
私が一番じゃないなら、こんな両親もう要らない。


ーーーーーーーーーーーーガチャーーーーーーーーーーーー

ドアを開ける音がした。

お母さんが帰ってきた。

お母さんは重そうな買い物袋を持っていた。
暗闇で目が慣れていないのか、電気のスイッチをつけるのに手こずっている。

私は静かに近づくと、
持っていた鈍器でお母さんの頭を思い切り殴った。


ーーードンッーーー


鈍い音がした。
倒れているお母さんの頭から血が流れている。
私はすぐに、準備していた包丁でお母さんのお腹を突き刺した。


このお腹にいる赤ちゃんが憎い!憎い!憎い!私の幸せを奪って!


何度も何度も何度も包丁でお腹を突き刺した。
気付いたら床や家具はお母さんの血で染まっていた。

包丁を握る力が緩む。

鉄の臭いと母の匂いが混ざり、手には生暖かい感触が伝わってくる。


次はお父さんだ。
帰りを待って、同じように殺した。

両親を殺した後、私は洗面所に向かい、
体についた返り血と包丁を洗い流し、着替えた。

なぜだか殺した後は穏やかな気持ちになれた。


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ジュースを飲みながらこの後どうすればいいのかを考えた。

そういえば、しーちゃんがアトリエ部屋の鍵をたまに郵便受けに入れてるのを見たことがある。
その鍵を使って中に入り、今日起こったことを全部しーちゃんのお父さんのせいにしよう。アトリエ部屋の中で私が大きな怪我をしていれば、みんなは私が誘拐されたと思うだろう。しーちゃんのお父さんは仕事でいないはずだから行くなら今しかない。

まるでお母さんと観たサスペンス映画のようでワクワクしてきた。


しーちゃんのお父さんには悪いけど、
私は幸せになるために生まれて来たんだから捕まるわけにはいかない。



静まり返った部屋を後にし、私はしーちゃんのお父さんのアトリエ部屋に向かった。


アトリエ部屋に着くとドアの隣に小さな郵便受けがあった。
中に手を入れるとすぐに鍵を見つけることが出来た。

その鍵でアトリエ部屋の中に入った。

相変わらず部屋の中は絵具のような独特な匂いがしていた。
この部屋は言葉に出来ないほど居心地がいい。


私はさっき洗った包丁を取り出し、自分の太腿を斬りつけた。
しーちゃんのお父さんが犯人になるように、深く深く自分の脚を斬りつける。

これで大丈夫だ。

意識が朦朧としながら私はアトリエ部屋にあった固定電話で警察に電話をした。
しーちゃんのお父さんが私の両親を殺し、私を誘拐したあと太腿を斬りつけたと話し、居場所を伝え電話を切った。

警察の到着を待っている間にも太腿からどんどん血が流れる。
冷や汗が止まらない。

お願い早く来て!
私まで死にたくない!

どのくらい待っただろうか。
警察がやっと私の居場所を特定し見つけてくれた。
いろんな声が同時に飛び交う。

「倉本里奈ちゃんね?もう大丈夫よ!安心していいから」

こんなにも私のことを心配してくれるんだ。
親以外に心配されたり注目を浴びたりすることが滅多にない私にとって初めての体験だ。

気持ちいい!最高の気分だ!もっと私を見て!

「ママとパパは?」

注目されることの喜びを知ってしまった。
もっとこの感覚を味わいたかった。

次第に意識が遠のき、この日を境に記憶を失った。

















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