ずっと飲み込んでいた言葉が、 今、ここで出てきた

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コラム
家の前まで来て、
凪はバッグから鍵を取り出した。

そのとき。

スマートフォンが、もう一度震える。

今度は短く、はっきり。

胸が一瞬、跳ねる。

画面を見る。

——悠真。

さっきの優しい一行とは違う。

ごめん。
さっき言わなかったけど…
今日、凪と一緒にいられて嬉しかった。

凪の指が、止まる。

夜の音が、すっと遠のく。

——言わなかった、って。

橋でも。
カフェでも。
駅前でも。

ずっと飲み込んでいた言葉が、
今、ここで出てきた。

胸の奥が、熱くなる。

嬉しい。
でも、それ以上に——

「どうして今?」

という気持ちが混ざる。

返事を書こうとして、止まる。

また消す。

画面に映る文字が揺れる。

私も楽しかった

それだけじゃ足りない。

ありがとう

それも違う。

——本当は。

“嬉しかった”って言われたことが、
こんなにも嬉しい。

しばらくして、
凪はゆっくり打つ。

……私も。
だから、また行こう。

送信。

すぐには既読がつかない。

夜は静かに戻る。

でも凪は分かっていた。

今日のこの一通で、
もう「静かなまま」ではいられなくなったことを。

恋は、
はっきり一歩進んでしまった。
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