第13話 なにもなく健全です。
ご飯を食べたあとは、またソファーで横になってしまい、夕ごはんも食べることなく寝続けてしまったみたい。
目が覚めたら、私用に用意してもらった部屋のベッドの上で、碧斗くんが運んでくれたんだと思う。
少し小腹が空いている感じ。
近くに置いてあったスマホで時刻を確認すると、深夜2時を過ぎたあたり。
スマホを充電しながら近くにおいてくれている碧斗くんの、細かい気配りを感じた。
(キッチンにいってみようかな)
音を立てないように扉を開けて廊下に出る。
碧斗くんの部屋から漏れる光はなく、当然寝ている時間である。
そっとそっと物音に気をつけてキッチンまでいくと、お皿の上に並んだ小さなおにぎりが2つ。
ちょうど私が食べ切れるサイズで作ってあり、碧斗くんの文字で、お腹空いたら食べてね。と書いてあった。
この家にきてから、碧斗くんの優しさを感じてばかり。
すごく安心できていることにも、気づいている。
寝てばかりだもん。
食べては寝て、碧斗くんに運んでもらって、自分がなにもできない人間みたいに、堕落していく⋯。
洗濯物も、洗い物もしてない。
掃除も、明日の支度も⋯。
「明日から仕事なのに⋯」
こんな自分が情けなくて、恥ずかしくて。
それでも、お腹は空くし、私の手は自然とおにぎりに手が伸びていた。
食べている間に考えるのも、碧斗くんのこと。
同居はこのまま、甘えてしまうとして、体調を整えて、自分のことは自分で、碧斗くんと役割分担して、協力できるようにならないと⋯。
食べ終わったお皿を、今のうちに洗うか、音で起こしてしまうかもしれないから、明日の朝にするか悩んでいると、背後にすっと気配が。
「っつ⋯!!」
びくっと跳ねる体を、優しく包みこむように抱きしめる温もりが同時にきて。
ふわっと香る匂いに、硬直はすぐに解けた。
「びっくりしたーーー⋯」
「茉由さん、遅いんだもん⋯」
大きな身長を丸めて、首筋に柔らかい肌を埋めてくる。
耳元で聞こえる碧斗くんの声は、眠たさを含んでちょっと甘えた感じに聞こえた。
「起きたのわかったから、戻って来るの待ってたんだけど⋯、思いの他、戻ってくるの遅いから⋯」
私が潰れない程度に体を預けて甘えてくる。
大きなわんちゃんみたい。
「ちょっと、考え事しちゃって⋯」
「今は余計な事を考えないで、たくさん寝たらいいよ。俺がちゃんと明日、起こすし。大変だったら車で送っていくし」
「碧斗くんの負担が増えるよ⋯」
「全然。茉由さんのためなら、なんだってできるよ。だから、元気になったら、ご褒美に抱かせてね」
「⋯⋯碧斗くん、そういう女性には困ってないって言ってなかったっけ?」
「もう、その子たちで勃たないわ」
信じられない発言を聴いた気がするけど、碧斗くんも、寝ぼけているのだろう。
しかも、その子たちってことで、複数いるの確定だし⋯。
「もう寝よ。明日俺が洗うし。寝れないなら俺がいっしょに寝るから」
そういうと、私の返事を確認する前に、私のことを抱き上げて、どんどん私の部屋に向かって進んでしまう。
細身に見えるのに、抱き上げているときに密着する体からは、引き締まった固い筋肉が確認できる。
器用に部屋の扉を開けると、そっとそっと優しく、私をベッドに下ろした。
優しく見下ろす目線が、一瞬男の目になったと思ったら、触れるだけの優しいキスをして。
一緒のお布団に入りこみ、私を優しく包み込むように、すっぽり碧斗くんの中に閉じ込めえて、寝てしまった。
この状態で寝れるなら、私は碧斗くんの対象外だと思うんだけど⋯。
私も安堵して、そのまますっと、さっきよりも深い眠りに入っていった。