「契約書の作成を行政書士に依頼したいけれど、費用はいくらかかるのだろう?」
「契約書の種類によって料金は変わる?」
「できるだけ費用を抑えたいけれど、何を基準に依頼先を選べばよいのか分からない」
このような疑問をお持ちの個人事業主・フリーランス・中小企業の担当者も多いのではないでしょうか。
契約書は、取引条件を明確にし、将来のトラブルを防止するための重要な書類です。
しかし、専門家に作成を依頼する際の費用は分かりにくく、事務所によって料金が異なることもあります。
実際、行政書士の契約書作成費用には、全国一律の料金が定められているわけではありません。
今回は、契約書作成に強い行政書士の立場から、費用の考え方、料金が変わる理由、見積りの確認ポイントについて解説します。
1.契約書作成を行政書士に依頼すると費用はいくら?
① 契約書作成の料金は事務所によって異なる
行政書士の報酬額は、原則として各行政書士が自由に設定しています。
そのため、同じ「業務委託契約書」という名称であっても、依頼する事務所や具体的な作成内容によって費用が異なります。
例えば、次のような契約書を考えてみましょう。
A:比較的シンプルな業務委託契約書
業務内容が明確になっている
報酬は固定額
契約期間は短期間
特別な権利関係や複雑な条件がない
B:複雑なシステム開発委託契約書
開発範囲や仕様の整理が必要
複数段階の支払条件がある
検収や仕様変更の手続を定める必要がある
著作権や既存プログラムの取扱いを整理する必要がある
開発遅延や不具合に関する責任分担が重要になる
どちらも契約書の作成ですが、必要となるヒアリングや条項の検討内容は大きく異なります。
そのため、単純に「契約書1通いくら」と比較するだけでは、費用の妥当性を判断できません。
② 費用の相場はどこで確認できる?
契約書作成費用を調べる際には、日本行政書士会連合会が公表する報酬額統計も参考になります。
同連合会では、行政書士の報酬に関する全国的な統計調査を実施しています。
ただし、統計上の金額は、すべての契約書に適用される標準料金ではありません。
実際の費用は、契約内容や依頼する業務の範囲によって異なります。
また、各事務所の料金表に「○○円~」と記載されている場合、その金額で必ず作成できるとは限りません。
正確な費用を知るには、取引内容を伝えたうえで個別に見積りを依頼することが重要です。
2.契約書作成の料金が変わる5つの理由
① 契約書の種類
契約書には、さまざまな種類があります。
例えば、次のようなものです。
業務委託契約書
秘密保持契約書(NDA)
売買契約書
取引基本契約書
システム開発委託契約書
Webサイト制作委託契約書
OEM契約書
フランチャイズ契約書
代理店契約書
契約書の種類によって、検討すべき事項は異なります。
例えば、秘密保持契約書では、秘密情報の範囲、利用目的、開示先、秘密保持義務の期間などが重要です。
一方、システム開発委託契約書では、開発仕様、納期、検収、仕様変更、著作権、不具合への対応など、より多くの事項を整理する必要が生じる場合があります。
そのため、契約書の種類は料金を左右する要素の一つとなります。
② 取引内容の複雑さ
同じ種類の契約書でも、取引内容によって作成の難易度は変わります。
例えば、業務委託契約書であれば、次のような違いがあります。
比較的シンプルな取引
業務内容が限定されている
報酬が固定額
成果物がない
契約期間が短い
複雑な取引
複数の業務を委託する
固定報酬と成果報酬を組み合わせる
成果物の著作権を移転する
再委託を予定している
長期間の継続取引を行う
複雑な取引では、個々の条項を作成するだけでなく、条項相互の整合性も確認する必要があります。
例えば、著作権の移転時期を「報酬の全額支払時」とする場合、支払条件や検収条件との関係も整理しなければなりません。
料金は契約書のページ数だけではなく、取引条件の整理や検討に必要な作業量によっても変わります。
③ 契約条件がどこまで決まっているか
契約書作成を依頼する段階で、取引条件がどこまで整理されているかも重要です。
例えば、依頼者が次の事項を明確にしている場合、作成作業を進めやすくなります。
誰と契約するのか
何を依頼するのか
報酬はいくらか
いつまでに業務を完了するのか
どのような場合に契約を終了できるのか
一方、「新しい事業を始めるので契約書を作ってほしい」という段階では、契約の仕組みや当事者の役割から整理する必要がある場合もあります。
そのような案件では、単なる文書作成にとどまらず、契約条件を明確にするためのヒアリングや検討が必要になります。
ただし、契約条件がすべて決まっていなければ相談できないわけではありません。
未確定事項がある場合は、その内容を伝え、どこまで対応してもらえるかを確認するとよいでしょう。
④ 新規作成か、既存契約書の修正か
契約書の依頼には、大きく分けて次の方法があります。
新規作成
取引内容をヒアリングし、契約条件を整理したうえで契約書を作成する方法です。
既存契約書の修正
すでに存在する契約書をもとに、必要な条項を追加・修正する方法です。
既存契約書の修正は、新規作成より費用を抑えられる場合があります。
しかし、必ずしも修正の方が簡単とは限りません。
例えば、既存契約書に次のような問題がある場合です。
実際の取引内容と条項が合っていない
必要な条項が不足している
条項同士が矛盾している
当事者の責任分担が不明確になっている
このような場合には、部分的な修正では対応できず、契約書全体の再構成が必要になることもあります。
そのため、既存契約書がある場合でも、まずは内容を確認してもらうことが重要です。
⑤ 修正対応や打合せの範囲
契約書は、一度作成すれば必ず完成するとは限りません。
初稿を確認した結果、業務内容や報酬条件などについて追加の調整が必要になることもあります。
そこで確認したいのが、修正対応や打合せの範囲です。
例えば、
修正は何回まで対応してもらえるのか
修正費用は基本料金に含まれるのか
ビデオチャットによる打合せは可能か
追加料金が発生するのはどのような場合か
といった点です。
料金が安くても、修正や追加の打合せに別料金が発生する場合、最終的な費用が想定より高くなる可能性があります。
3.契約書作成の見積りで確認したい5つのポイント
契約書作成を依頼する際には、金額だけでなく、サービス内容も確認しましょう。
特に注意したいのは、見積金額に何が含まれているかという点です。
例えば、契約書の初稿作成だけが対象なのか、完成までの修正対応も含まれているのかによって、サービス内容は異なります。
また、契約書の作成途中で新しい業務や契約条件が追加された場合には、当初の依頼範囲を超えることもあります。
依頼後の認識違いを防ぐためにも、見積りの段階で確認しておくことをおすすめします。
4.前編のまとめ|契約書作成費用は作業内容によって変わる
契約書作成を行政書士に依頼する際の費用は、契約書の種類、取引内容の複雑さ、契約条件の整理状況、修正対応の範囲などによって異なります。
全国一律の料金があるわけではないため、実際の取引内容を伝えて見積りを確認することが重要です。
また、料金を比較する際には、金額だけでなく、どのような作業が含まれているかを確認しましょう。
契約書は、単に文章を作成するだけでなく、取引条件を明確にし、当事者間の認識の違いを防ぐためのものです。
後編では、契約書作成を依頼する前に準備しておきたい情報や、行政書士への相談方法、依頼先を選ぶ際の注意点について解説します。
契約書作成のご相談は、ファビスト行政書士事務所へ
ファビスト行政書士事務所では、個人事業主・フリーランス・中小企業の皆様を対象に、各種ビジネス契約書の作成をサポートしています。
一般的な雛形をそのまま使用するのではなく、取引内容や当事者の立場、ご希望の契約条件を丁寧に確認し、実務で使いやすい契約書の作成を目指しています。
「契約書の作成費用について相談したい」
「新規作成と既存契約書の修正のどちらが適切か分からない」
このような場合も、お気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別案件に対する法的判断を示すものではありません。