「生成AIで契約書を作れるのに、行政書士に依頼する必要はあるの?」
「契約書の雛形を使えば、専門家に依頼しなくても問題ないのでは?」
現在では、生成AIやインターネット上の雛形を利用して、契約書の原案を作成することができます。
そのため、契約書を最初から専門家に依頼する必要があるのか、疑問に感じる方もいるでしょう。
確かに、生成AIや雛形は便利なツールです。
しかし、契約書作成で重要なのは、一般的な条項を並べることだけではありません。
事業内容や取引条件に応じて、どのようなリスクがあるのかを整理し、それに対応する契約条件を設けることが重要です。
例えば、同じ業務委託契約書であっても、Webサイト制作、システム開発、広告運用、コンサルティングなど、業務内容によって検討すべき事項は異なります。
また、発注者と受注者では、重視する契約条件が異なる場合があります。
そのため、契約書の内容や取引の複雑さによっては、雛形や生成AIで作成した契約書を後から修正するよりも、最初から行政書士に作成を依頼した方が合理的な場合があります。
前編では、契約書を最初から行政書士に依頼することによる費用・時間のメリットについて解説しました。
後編では、次の3つのポイントを中心に、契約内容やリスク対策の観点から解説します。
雛形や生成AIでは取引特有のリスクを見落とすことがある
発注者・受注者の立場に合わせた契約書を作成できる
契約締結後のトラブルを防ぐためのルールを事前に整理できる
5.雛形や生成AIでは、取引特有のリスクを見落とすことがある
現在では、生成AIを利用して契約書の原案を作成することもできます。
生成AIは、契約書の構成を考えたり、一般的な条項の文案を作成したりするうえで便利なツールです。
しかし、生成AIが作成した契約書が、そのまま個別の取引に適しているとは限りません。
なぜなら、契約書に必要な内容は、事業内容や取引条件によって異なるためです。
同じ業務委託契約でも、必要な条項は異なる
例えば、次のような業務委託契約を考えてみましょう。
Webサイト制作委託契約
修正回数、納品・検収、著作権、保守業務の範囲などが重要になります。
システム開発委託契約
仕様変更、追加開発、検収、知的財産権、第三者ソフトウェアの利用などが問題になります。
広告運用業務委託契約
広告予算、運用権限、成果指標、広告媒体の仕様変更、成果保証の有無などを整理する必要があります。
コンサルティング業務委託契約
業務範囲、成果物の有無、報酬体系、成果保証の有無、責任範囲などが重要になります。
これらはいずれも業務委託契約ですが、契約書に盛り込むべき内容は異なります。
重要なのは、必要な条件を洗い出すこと
生成AIでも、十分な情報を与えれば、個別の取引を踏まえた契約書の原案を作成することは可能です。
しかし、そもそも何を決めておくべきなのか分からなければ、必要な情報を十分に与えられないことがあります。
例えば、システム開発契約で、受注者が以前から保有しているプログラムの取扱いを検討していなければ、著作権の帰属に関する問題が残る可能性があります。
また、広告運用契約で、広告媒体の審査やアカウント停止などを想定していなければ、受注者の責任範囲が曖昧になることがあります。
行政書士に最初から依頼するメリットは、依頼者がまだ認識していない検討事項をヒアリングによって整理し、契約条件に反映できることにあります。
6.発注者・受注者の立場に合わせた契約書を作成できる
契約書は、同じ取引であっても、発注者と受注者のどちらの立場で作成するかによって、重視すべき事項が異なります。
例えば、業務委託契約書の中途解約条項を考えてみましょう。
発注者としては、事業方針の変更などに対応できるよう、一定の条件で契約を終了できる仕組みを設けたいと考える場合があります。
一方、受注者としては、突然契約を終了されると、確保していた人員や既に発生した費用が無駄になる可能性があります。
そのため、十分な予告期間や、契約終了時の報酬精算について定めておきたいと考えるでしょう。
また、損害賠償条項についても、発注者と受注者では重視する点が異なります。
発注者は、契約違反によって損害が発生した場合に、適切な賠償を受けられるようにしたいと考えます。
一方、受注者は、委託料に比べて過大な賠償責任を負わないよう、責任の範囲や上限を明確にしたいと考えるでしょう。
このように、契約書には、当事者の立場や事業上の事情に応じた設計が必要です。
行政書士に最初から依頼することで、依頼者の立場や取引内容を踏まえ、どのような契約条件が適切なのかを整理しながら契約書を作成できます。
ただし、一方当事者に有利な条項であっても、適用法令によって効力が制限される場合があります。
また、相手方との合意が成立しなければ、その条件で契約を締結できるわけではありません。
重要なのは、単に自分に有利な条項を並べることではなく、事業上のリスクと取引の実現可能性を踏まえて契約条件を設計することです。
7.契約締結後のトラブルを防ぐためのルールを事前に整理できる
契約書は、契約締結時に内容を確認するためだけの文書ではありません。
実際に取引を進める中で問題が発生した場合に、当事者がどのように対応するのかを判断するための重要な資料でもあります。
例えば、次のような場面です。
発注者から追加業務を依頼された
受注者の納品が遅れた
納品された成果物に不具合があった
委託料の支払いが遅れた
契約を途中で終了させる必要が生じた
こうした場合に、契約書で対応方法が明確になっていれば、当事者間の認識の違いを減らすことにつながります。
例えば、追加業務について、事前に見積りを提示し、発注者の承諾を得た場合に実施するというルールを設けておけば、追加報酬を巡るトラブルを防ぎやすくなります。
また、契約終了時の報酬精算方法を定めておけば、途中解約によって発生する金銭的な問題を整理しやすくなります。
もちろん、契約書を作成すれば、すべてのトラブルを防げるわけではありません。
しかし、想定される問題について事前にルールを定めておくことで、トラブルの発生可能性を減らし、問題が生じた場合の対応を明確にすることができます。
契約書作成に費用をかけることは、単に文書を購入することではなく、取引上のリスクを整理するための投資と考えることもできます。
契約書の自作や修正依頼が適している場合もある
ここまで、最初から行政書士に契約書作成を依頼するメリットを解説しました。
ただし、すべてのケースで新規作成が最適というわけではありません。
例えば、既に専門家が作成した契約書があり、取引条件の一部だけを変更したい場合には、既存の契約書を修正する方が合理的なこともあります。
また、定型的で取引内容が単純な契約については、適切な雛形を利用することで、十分に対応できる場合もあります。
重要なのは、契約書を自作するか、専門家に依頼するかという形式的な違いではありません。
必要な契約条件が整理されているか、契約書全体に矛盾がないか、実際の取引で想定されるリスクに対応できているかという点です。
特に、次のような場合には、最初から行政書士に契約書作成を依頼することをおすすめします。
新しい事業やサービスを開始する場合
これまで締結したことのない種類の契約を作成する場合
取引金額が大きい場合
継続的な取引を予定している場合
著作権やノウハウなどの知的財産権が関係する場合
業務内容や責任範囲が複雑な場合
発注者・受注者の間で詳細な条件を決める必要がある場合
このような契約では、既存の雛形を修正するよりも、取引条件の整理から始めた方が、実務に合った契約書を作成しやすくなります。
まとめ|契約書作成は、費用だけでなく契約内容とリスク対策で考える
後編では、契約書を最初から行政書士に依頼するメリットについて、次の3つのポイントを解説しました。
取引特有のリスクや検討事項を整理できる
発注者・受注者の立場に合わせた契約書を作成できる
契約締結後のトラブルに備えたルールを設けられる
契約書は、文章が整っていればよいというものではありません。
事業内容や取引条件に合っていること、各条項に矛盾がないこと、実際の取引で問題が生じた場合に機能することが重要です。
そのため、契約書作成を専門家に依頼する際には、単純に作成費用だけを比較するのではなく、契約条件の整理やリスクへの対応まで含めて考えることをおすすめします。
契約書を一度自作してから修正するよりも、最初から専門家と契約条件を整理した方が、結果として時間や費用を抑えられることがあります。
契約書をゼロから作成したい方は、行政書士へご相談ください
ファビスト行政書士事務所では、個人事業主・フリーランス・中小企業の皆様を対象に、各種ビジネス契約書の作成をサポートしています。
当事務所が重視しているのは、単に雛形の文章を変更することではありません。
事業内容や取引条件を丁寧にヒアリングし、実際の取引に合わせて契約書を一から作成することです。
例えば、次のようなご相談に対応しています。
「新しい事業を始めるので、契約書をゼロから作成したい」
「生成AIで契約書を作ることも考えたが、最初から専門家に任せたい」
「発注者・受注者の立場に合った契約条件を設けたい」
「契約書に何を定めるべきなのか、整理するところから相談したい」
当事務所では、ヒアリングを通じて、事業内容や契約条件を確認しながら契約書を作成しています。
また、完成までの修正回数を制限せず、原則として追加料金のない明確な料金体系で対応しています。
契約書の種類やご依頼内容によって対応範囲が異なる場合がありますので、詳細は事前にご案内いたします。
契約書を自分で作ってから修正を依頼するのではなく、最初から専門家に任せるという選択肢も、ぜひご検討ください。
契約書作成に強い行政書士が、事業内容や取引条件に合わせた、実務で機能する契約書の作成をサポートいたします。
※本記事は一般的な契約実務について解説したものです。個別の契約における法的な取扱いは、具体的な事実関係、契約内容、適用法令等によって異なります。