伝わらないのは、気持ちがないからじゃない
デザインのやり取りをしていると、「うまく伝わらないな」と感じる瞬間があります。
決して相手に気持ちがないわけではなく、ただ「どう言えばいいか分からない」だけのことがほとんどです。
色や雰囲気など、感覚的な要素を言葉にするのは本当に難しい。
「もう少しやわらかい感じ」「ちょっと明るく」など、同じ言葉でも人によって受け取り方が少しずつ違います。
だからこそ、やり取りの中で小さな工夫が大きな助けになります。
言葉よりも「見えるもの」で伝わること
あるお客様は、最初に「ピンクゴールド系で、30代女性向け」という言葉で方向性を伝えてくださいました。
私はいくつかデザイン案をお見せしたのですが、しばらくお返事がなく、どう感じておられるのか分からないまま時間が過ぎていきました。
ところが後日、「こんな雰囲気が好きです」と画像を送ってくださったんです。
その瞬間、方向性がぱっと見えて、デザインが一気にお客様のイメージに近づきました。
最初にお見せした案とはまったく違う雰囲気になりましたが、最終的にはとても満足していただける仕上がりに。
このとき改めて感じたのは、「言葉よりも画像で伝わることがある」ということ。
“見る”という感覚は、感情の共有をスムーズにしてくれるのだと思います。
スムーズなやり取りのためにできる工夫
修正依頼をするときに、少しだけ意識すると良いのは「どう直してほしいか」ではなく、「どう感じたいか」を伝えること。
たとえば、
「もう少しやわらかい雰囲気にしたい」
「もう少し信頼感がある感じに」
など、感情を中心に伝えると、デザイナー側も受け取りやすくなります。
そこに「こんな感じが近いです」と画像を添えるだけで、伝わる精度がぐっと上がります。
デザインのやり取りは、正解を探す作業ではなく、感性をすり合わせる対話。
言葉と画像、その両方をバランスよく使うことで、お互いが心地よく進められます。
「伝える」から「分かり合う」へ
修正のやり取りは、ときにすれ違いが生まれやすい場面でもあります。
でも、そこに“気持ちを伝えようとする誠実さ”と“相手を理解しようとする姿勢”があれば、やり取りそのものが信頼を深める時間になります。
デザインは、完成品だけでなく、その過程も大切です。
言葉と画像、そして少しの想像力を合わせながら、
「伝える」から「分かり合う」へ。
そんな関係づくりを、これからも大切にしていきたいと思います。