ある関東の医療法人(眼科)の関係者より、かつて弊所で設立・申告業務に関与していた医療系MS法人(以下、「当該法人」)の解散に関するご相談をいただきました。
なお、医療法人自体については弊所は関与しておらず、MS法人(医療関連のサポート業務を行う法人)のみが関与対象です。
現状の整理
当該法人は12月決算の株式会社で、平成28年12月期まで弊所で法人税等の申告を実施していました。
平成29年1月以降は、異動届を提出のうえ「休眠状態」となっており、以後の税務申告等は行っていません。
最近、眼科の先生(関係者を通じて)から「法人を解散したい」とのご依頼を受けました。
医療法人の顧問税理士からは「法人設立時のデータは元の会計事務所(弊所)にあるはずなので、そちらで手続してもらってほしい」と言われたそうです。
回答)
以下のとおり、法人解散に関する流れを具体的かつわかりやすく整理しました。税務・登記の両面から説明していますので、顧客説明や受任検討の際にご活用ください。
■ 休眠中法人の申告と解散の流れ
【前提】
法人に「休業」という制度はありません(個人と違い、事業をしていなくても法人としての義務が継続します)。
よって、毎年法人税・住民税の申告が必要です(たとえ売上ゼロでも)。
ただし、国税には「除斥期間」(=5年を経過すれば申告を求められなくなる期間)がありますので、
平成29年1月~令和1年12月期分の申告書は提出しても受理されない可能性が高いです。
■ 今後の対応ステップ
STEP①:株主総会で「解散」の決議をする
取締役が招集し、株主総会を開催して「解散」を決議します。
議事録を作成し、登記や税務署への提出書類に使います。
STEP②:法務局に「解散登記」を行う
解散決議後、2週間以内に法務局で「解散登記」を行います。
登記の際には、下記書類が必要です:
解散の株主総会議事録
登記申請書
印鑑届書など
STEP③:解散確定申告を提出(法人税・消費税)
解散日までの期間を決算期として、2ヶ月以内に申告書を提出します。
たとえば、解散日が令和6年8月10日なら、申告期限は令和6年10月10日。
通常の申告書と同様に、法人税・消費税・都道府県民税・市町村民税の申告が必要です。
所得ゼロでも必ず提出が必要です。
STEP④:清算結了の手続き
解散後は「清算中」の法人となり、資産の精算や債務の処理を行います。
資産・負債がなく、残余財産もない場合は、「残余財産なし」の決議をします。
STEP⑤:清算結了登記
財産整理が終わったら、株主総会で「清算結了」を決議します。
決議から2週間以内に、法務局で「清算結了登記」を行います。
これで法人としての法律上の存在が消滅します。
STEP⑥:清算確定申告の提出(最後の申告)
清算結了の日の翌日から遡って、清算期間(解散日の翌日~清算結了日)を1事業年度とし、法人税等の最終申告書を1ヶ月以内に提出します。
■ まとめ:スケジュールイメージ(例)
日付 内容 令和6年8月10日 解散決議日(この日をもって「解散日」) ~8月24日 解散登記(法務局へ提出) ~10月10日 解散確定申告の提出(2ヶ月以内) 令和6年9月15日 清算結了決議(残余財産なし等) ~9月29日 清算結了登記 ~10月29日 清算確定申告(清算結了後1ヶ月以内)