「自分に優しくできない」人にこそ必要なセルフコンパッションとは

「自分に優しくできない」人にこそ必要なセルフコンパッションとは

記事
コラム
セルフコンパッション、という言葉は聞いたことありますか?
「自分自身に慈悲の心を向ける」ことです。
慈悲とは「悲しんでいる人に寄り添う」こと。それを自分自身に対して行うことです。

人は、他人が悲しんでいると優しくできるのに、自分が悲しくてもそれを否定したりねじ伏せたり、悲しんでいること自体を責めてしまったりします。
ケアラーのように、常に責任やタスクに追われている人は尚更です。

「自分に慈悲の心を向けている場合じゃない」と思われたかもしれません。
その状態は、いつまで続きますか? 今週いっぱいですか? 今月で終わりますか?
もしずっと続くなら、「それどころじゃない」をずっと続ける予定ですか?
それで半年後、1年後、どうなっていますか?

想像出来ない、したくない、と思ったら、出来ればこの先も読み進めていただきたいです。

1.セルフコンパッションの3要素


セルフコンパッションとはクリスティーン・ネフ氏が提唱した概念です。慈悲、とは仏の教えですよね。それを西洋の学者から逆輸入している感じがちょっとおもしろいです。

セルフコンパッションには、3つの柱があります。

➊自分自身に優しくする
➋共通の人間性:誰もが同じ感情を経験している
➌マインドフルネス:今の自分の苦しみを認める

書籍などではこの順番で説明されますが、実際に取り組むとしたら「➌⇒➋⇒➊」の流れが分かりやすいと思います。

まずはマインドフルに今の自分の辛さを感じて受け止める。
その感情は自分一人の者ではなく、古今東西誰もが感じている、共通の人間性であることを知る。
その状態にある自分に、自分で優しくする。

という流れですね。

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2.セルフコンパッションがケアラーに必要な理由


冒頭でお話したように、責任感やタスクに追われているケアラーに「自分に優しくしましょう」と言ったところで「分かっているけど今はそれどころじゃない」と思われてしまいがちです。

それは事実かもしれません。
ケアラーはとにかく余裕がありません。今までは複数人でやっていたことを一人でやらなければいけなくなるのです。体や手を動かすだけじゃない、考えるのも選ぶのも決めるのも全部自分一人です。体力だけでなく集中力も使うから、常に疲労困憊です。

その状態で「自分に優しくしましょう」と言われても「は?」ですよね。
不要だとは思わない、理論として正しいことも分かる、でも『優先順位』で考えたらグッと下がってしまう。
他にもっとやらなければいけないことがたくさんあるから、と。

ですが、それは本当ですか?
後回しにしていいんですか?
自分の辛さや苦しさ、ストレスをそのままにして、一体いつまで頑張り続けることができるでしょうか。

『そんなに長く頑張る予定はない。長引く前に家族が元気になってくれる予定だから』

と思ったかもしれません。こう思う気持ちはよく分かります。私たちケアラーにとっての希望ですよね。
しかしもしそれが少しでも長引いたら。今よりもっと限界が近づいてしまうかもしれません。
そして無事家族が回復したとして、代わりに自分が倒れてしまったら。また同じ生活が始まってしまいますよね。

3.ケアラーがセルフコンパッションしたらどうなる?


ケアラーが自分に慈悲的に優しくできると、色んなメリットが考えられます。

➊自分だけを責め続けるループから抜け出せる

ケアラーはとにかく自分を責めます。少しでも家族の状態が悪くなったり、努力の結果が想定をしたわまったりすると、タイミングや外部要素よりも「自分の努力足らなかったからだ」と結論付けます。
これは私自身も経験があるのですが、自分を責めるほうが楽なのです。自分が原因なら、自分がどうにかすれば問題は解決・回避できると思えるからです。

しかし実際は、責める+もっと頑張る⇒疲労とストレスの増加、というルートに進んでしまいがちです。
それにストップをかけることが出来ます。

➋セルフケアを後回しにしなくなる

ケアラーは家族のためにはあれこれ工夫しますが、自分のことは何もしませんよね。
友達と会う回数も減り、趣味の時間を家族ケアに当て、仕事が好きでも家族のために残業や昇進を断ったりします。
「自分らしく過ごす時間」があっという間に消滅するのです。
自分らしく過ごせる時間が減れば減るほど、確かに目の前のタスクは減るかもしれませんが、自分の疲労やストレスは逆に増加します。家族が元気になったとしてもいずれ自分が倒れます。

セルフコンパッションに取り組むことで、「自分か家族か」の二択思考から解放され、自分のケアにも前向きに取り組めるようになります。

➌「誰かに話してみようかな」と思えるようになり、孤独感が薄まる

ケアラーには孤独な人が多いです。
周りに人はいます。友人も、病気になった家族以外の家族もいるでしょう。
けれど本心が言えない。家族のケアが辛いとか、将来が不安だとか、そういった本音の辛さを口に出来ない。相手に心配をかけるから、というのもあるでしょう。または「離婚すれば?」みたいな極端なアドバイスに戸惑うからかもしれません。
そうやって自分一人で抱え込むことで、どんどん孤独感が増して行ってしまうのです。

セルフコンパッションでは、シチュエーションは人それぞれでも、感情は人間共通のものだ、と知ることが出来ます。辛いのも苦しいのも自分だけじゃない、だから自分が悪いとか頑張ってないとかそういうことじゃないんだ、と理解することが出来ます。

そう思えることで「誰かに話してみようかな」と、一歩踏み出すことができるようになります。

4.セルフコンパッションは甘えでも逃げでもない


自分に優しくする、と聞くと、それを逃げや甘えと考えるかもしれません。
そういう教育をずっと受けて来たので、ある意味仕方がないかもしれません。

ただ、今まで教えられてきたことだけでは乗り越えられない問題を前にしているのが、ケアラーです。
ならば、今までやったこと無いことを試してみる価値はあるのではないでしょうか。



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