時を越えて、あなたに会いに

記事
エンタメ・趣味
― 第三話:残されたもの ―
昭和二十年三月二十七日。
沖縄・慶良間諸島沖にて、
今野勝郎さんは、
特攻として出撃し、
その命を落としました。
享年二十。
あまりにも短い生涯でした。
浅間温泉での時間から、
それほど年月が経たない中での出来事でした。
子どもたちと過ごした日々。
言葉を交わしたひととき。
それらは、
そのまま過去の出来事として、
静かに時の中へと沈んでいきます。
戦後――
人々はそれぞれの生活へ戻り、
新しい時代を生きていくことになります。
田中幸子さんもまた、
疎開先から戻り、
その後の人生を歩まれていきました。
結婚し、
家庭を築き、
日々の暮らしの中で、
戦時中の記憶は、
少しずつ奥へとしまわれていきます。
けれど――
完全に消えることはありませんでした。
浅間温泉で出会った人。
交わした言葉。
そして、
果たされることのなかった約束。
それらは、
はっきりと形を持つものではなくても、
確かに、
心のどこかに残り続けていたのです。
長い年月の中で、
その記憶は、
語られることも少なくなり、
周囲からは見えないものとなっていきます。
しかし、
消えたわけではありませんでした。
ただ、
静かにそこに在り続けていたのです。
やがて――
幸子さんの人生に、
大きな節目が訪れます。
ご主人との永遠の別れ。
長く共に歩んできた時間に、
区切りがついたそのとき、
心の奥にあった記憶が、
再び、
ゆっくりと動き始めます。
それは、
過去を懐かしむというだけではなく、
「もう一度、確かめたい」
という想いへと変わっていきました。
そしてその想いが、
やがて、
ひとつの行動へとつながっていきます。
鹿児島・知覧へ――
特攻隊員たちの記憶が残る場所へと。
(つづく)
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら