ストレングスファインダーでも見つからなかった「本当の強み」の見つけ方 ― 行動型自己理解のすすめ

記事
コラム

「これが自分の強みです」と言い切れない苦しさ


就職面接で「あなたの強みは何ですか」と聞かれ、言葉に詰まった経験はないだろうか。

Eさん(20代後半・事務職)は、この質問がずっと苦手だった。友人からは「いろんなことができてすごいね」と言われる。確かに、ちょっとしたデザインもできるし、文章も書ける。数字の処理も嫌いじゃないし、人の相談に乗るのも好きだ。

でも、どれも「プロフェッショナル」と呼べるレベルではない。いわゆる「器用貧乏」。何でもそこそこできるけれど、「これだけは誰にも負けない」というものがない。

自己分析ツールもいくつか試した。性格診断、適性検査、いろいろやった。結果には「あなたは調和を重視するタイプです」「コミュニケーション能力が高いです」なんて書いてある。でも、それを読んでも「だから何?」としか思えなかった。

世間には「まず自分の強みを見つけて、それを活かせる仕事を探しましょう」というアドバイスが溢れている。でも、その「まず見つける」の段階で止まってしまっている人が、実はものすごく多い。

ここで一つ、根本的な問い直しをしてみたい。そもそも「強み」とは、どこかに隠れていて発見するものなのだろうか?

第1章: 「強み探し」がうまくいかない本当の理由


自己分析ツールの多くは、あなたの性格や傾向を「分類」することを目的としている。内向的か外向的か、論理型か感情型か。これらのツールは、一種のスナップショットだ。「今のあなたはこういうタイプです」と、静止画を見せてくれる。

しかし、人間は変化する。二十歳の時の自分と、三十歳の時の自分では、得意なことも興味も違う。もっと言えば、去年と今年でも変わっている。静的な分類に基づく「強み」は、あくまで「過去の自分の傾向」に過ぎない。

ここに根本的な問題がある。多くの人は「強み」を「生まれつきの資質」のように捉えている。才能のように、どこかに埋まっていて、正しい方法で掘り出せば見つかるもの、と。

でも、熟達した人々の行動パターンを研究した知見によれば、強みとはもっと動的なものだ。彼らは「自分は何ができるか」を先に考えるのではなく、まず「自分は誰であるか」「何を知っているか」「誰を知っているか」という三つの問いから出発する。

一つ目の「自分は誰であるか」とは、経歴や肩書きではない。自分のアイデンティティ、価値観、何に心が動くかという根本的な部分だ。

二つ目の「何を知っているか」とは、学歴や資格のことだけではない。趣味を通じて得た知識、生活の中で身についた知恵、これまでの経験から学んだことすべてを含む。

三つ目の「誰を知っているか」とは、人脈の広さではない。「困った時に連絡できる人」「一緒に何かできそうな人」「自分に刺激をくれる人」のネットワークだ。

この三つは、自己分析ツールでは測定できない。なぜなら、これらは「分類」ではなく「棚卸し」だからだ。そして、この棚卸しから得られるものは「あなたはこういうタイプです」という答えではなく、「あなたにはこういう手持ちの材料があります」という出発点だ。

第2章: 行動の中で「強み」を見つけた人たちの話


Fさんの場合 ― 「何もない」が実は宝の山だった

Fさん(30歳前後・事務系の仕事をしていた)は、自分には「売りになるスキル」が何もないと思っていた。前職ではルーティン業務がメインで、特別な専門知識もない。資格も特に持っていなかった。

仕事を離れた期間中に、ある学びの場で「自分の手持ちの材料を書き出してみましょう」というワークに参加した。最初は「書くことなんてない」と思っていたが、いざ書き始めると意外なほどたくさん出てきた。

「学生時代にバックパッカーで東南アジアを回った経験がある」「料理が好きで、友人の誕生日にはいつも手料理を振る舞っている」「職場で新しいシステムが導入された時、誰よりも早く使い方を覚えて周りに教えていた」「中学生の頃から日記をつけている」。

一つ一つは「強み」と呼べるような大げさなものではない。でも、ファシリテーターにこう言われた。「これだけ材料があれば、何かは始められますよね」と。

Fさんは結局、「新しいツールやサービスをいち早く使いこなして、わかりやすく人に伝える」という自分の特性に気づいた。これは自己分析ツールでは「情報収集力」とか「教育適性」と分類されるかもしれないが、そんなラベルよりも、実際に行動する中で「あ、自分ってこれが好きで、しかも周りに感謝されるんだ」と体感したことの方がはるかに強力だった。

Gさんの場合 ― 「趣味の掛け合わせ」が仕事になった

Gさん(30代前半)は、複数の趣味を持っていた。写真撮影、文章を書くこと、そして人の話を聞くこと。どれもプロフェッショナルレベルではなかったが、それぞれをそこそこ楽しんでいた。

転機が訪れたのは、あるコミュニティに参加した時だった。そこで出会った人たちの話を聞き、写真を撮り、文章にまとめるということを、最初はただの楽しみとしてやっていた。

すると、「自分の話をこんなに丁寧に聞いてもらえたのは初めて」「写真と文章で自分の物語が形になって嬉しい」という反応が返ってきた。

Gさんは驚いた。自分にとっては「ただ好きなことを組み合わせただけ」なのに、それを求めている人がいたのだ。

ここで重要なのは、Gさんの強みは「写真」でも「文章」でも「傾聴」でも単独ではなく、その組み合わせにあったということだ。一つ一つは平凡でも、三つが組み合わさると、他の誰にも真似できない独自の価値になった。

これは「器用貧乏」の人にとって、とても勇気づけられる話ではないだろうか。突出した一つの能力がなくても、複数の「そこそこ」を掛け合わせることで、唯一無二の強みが生まれ得るのだ。

Hさんの場合 ― 「人に頼る」ことが最大の強みだった

Hさん(20代半ば)は、「自分には強みがない」と長年悩んでいた。仕事でもプライベートでも、いつも「自分一人では何もできない」と感じていた。

しかし、周囲の人から頻繁に言われていたことがあった。「Hさんに相談すると、適切な人を紹介してくれるよね」と。

Hさん自身は、それを「自分に能力がないから人に頼っているだけ」とネガティブに捉えていた。でも実は、「適切な人と人をつなぐ能力」は非常に希少なスキルだ。誰が何を得意としているかを把握し、困っている人と解決できる人を結びつける。これは組織の中で極めて重要な役割である。

Hさんの強みは、自己分析ツールでは見つからなかっただろう。なぜなら、それは「一人で完結する能力」ではなく、「人との関係性の中で発揮される能力」だったからだ。静的な自己分析では、人間関係の中で動的に現れる強みを捉えることは難しい。

第3章: 「強み」を行動の中で見つけるための3つのアドバイス


① 「手持ちの材料リスト」を作成する

ノートを開いて、以下の三つの問いに答えてみてほしい。完璧に書く必要はない。思いつくままに。

「自分はどんな人間か」→ 好きなこと、嫌いなこと、大切にしている価値観、つい夢中になってしまうこと。「何を知っているか」→ 仕事で学んだこと、趣味の知識、失敗から学んだこと、旅行や読書で得た知見。「誰を知っているか」→ 友人、元同僚、趣味の仲間、SNSでつながっている人、家族。

これは自己分析ではなく「棚卸し」だ。正解を探すのではなく、今ある材料を並べるだけでいい。書き出すと、自分が思っていたよりもたくさんの材料を持っていることに気づくはずだ。

注意点として、「でもこれは大したことないし」というフィルターをかけないこと。どんな小さなことでも書き出すのがポイントだ。

② 「小さな実験」を繰り返す

強みは、行動の中で見つかるものだ。だから、「まず考えて、答えが出てから動く」のではなく、「まず動いて、その中で見つける」というアプローチを取ってほしい。

具体的には、週に一つ「今までやったことのない小さなこと」を試してみる。ボランティアに参加する。無料のワークショップに行く。SNSで自分の考えを発信してみる。知り合いに「何か手伝えることない?」と聞いてみる。

大げさなことでなくていい。大事なのは「やってみて、どう感じたか」に注目することだ。「意外と楽しかった」「思ったより得意だった」「全然向いてなかった」。どの結果も、あなたの強みの輪郭を少しずつ浮かび上がらせてくれる。

③ 周りの人の「ありがとう」に注目する

自分の強みは、自分では気づきにくい。自分にとって「当たり前にできること」は、他人から見ると「すごい能力」であることが多い。

だから、周りの人から「ありがとう」と言われた場面を思い出してみてほしい。何に対して感謝されたか。どんな場面で頼りにされたか。

もし思い出せないなら、これから意識して観察してみよう。「ありがとう」が集中するポイントが、あなたの強みが眠っている場所だ。

結論: 強みは見つけるものではなく、作るもの


「自分の強みがわからない」と悩んでいるあなたに伝えたいことがある。強みは、金鉱のようにどこかに埋まっていて、正しい方法で掘れば見つかるものではない。

強みとは、あなたが行動する中で、少しずつ形になっていくものだ。今持っている材料で何かを始めて、その過程で「あ、これは自分に合っている」「これなら人の役に立てる」という手応えを感じた時、それがあなたの強みの萌芽だ。

だから、自己分析の結果に一喜一憂する必要はない。答えはテストの中にはない。答えは、あなたがこれから起こす行動の中にある。

まずは手持ちの材料を並べて、何か小さなことを一つ、始めてみよう。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら