クリスマスにデートして、年末にフラれた

記事
コラム



「楽しかったはずなのに」という混乱


新年を迎えて間もない1月の午後。ダイキのオフィスに入ってきたクライエントは、少し疲れた表情をしていた。年の瀬の慌ただしさとは違う、何か重いものを抱えているような空気が漂っている。

窓の外では、まだ正月の飾りが残る街並みが見える。新しい年の始まりを祝う雰囲気とは対照的に、クライエントの表情には暗い影が落ちていた。

ダイキ「今日はどんなことでお話しされたいですか?」

クライエントは椅子に座り、しばらく視線をさまよわせてから、ゆっくりと口を開いた。

クライエント「年末に...付き合ってた女性に別れを告げられたんです」

ダイキ「そうだったんですね」

クライエント「でも、その前まで、すごく楽しそうだったんですよ。クリスマスの時期に一緒にイルミネーション見に行ったり、ご飯食べに行ったり。笑顔もいっぱいあって...」

クライエントは手元のコップを見つめながら、記憶を辿るように話を続けた。

クライエント「彼女、イルミネーションを見て『きれいだね』って言ってくれて。レストランでも『ここ、いいお店だね』って喜んでくれて。僕、ちゃんとできてるって思ってたんです」

少し間を置いて、クライエントは続けた。

クライエント「それなのに、年内最後に会った時、急に『ごめんなさい、これ以上は無理』って」

ダイキ「それは突然に感じられたんですね」

クライエント「はい...何が悪かったのか、全然わからなくて。自分では楽しませようと色々考えたつもりだったんです。デートプランも一生懸命考えて、彼女が好きそうなお店も調べて...」

クライエントの声には、困惑と自己否定が入り混じっていた。

繰り返される別れのパターン


ダイキ「これまでの恋愛では、どんな感じでしたか?」

クライエントは少し困ったような表情を浮かべ、視線を落とした。

クライエント「実は...似たようなことが何回かあって」

ダイキ「似たようなこと、というと?」

クライエント「最初は良い感じなんです。マッチングアプリで出会って、初デートも盛り上がって。2回目、3回目も楽しく過ごせて。でも、しばらくすると...なんか、相手が距離を置き始めるというか」

クライエントは深くため息をついた。

クライエント「今回も、クリスマスの頃はマメに返信してくれたのに、年末に近づくにつれて返信が遅くなって。『忙しいのかな』って思ってたんですけど...」

ダイキ「返信が遅くなった時、どう感じていましたか?」

クライエント「不安でした。でも、会った時は笑顔だったし、『楽しかった』って言ってくれたから、大丈夫だろうって...」

クライエントは自分の膝を見つめながら、小さな声で続けた。

クライエント「僕、何かやっちゃってるんですかね...いつも同じパターンで。最初は良いのに、気がついたら終わってる」

その言葉には、繰り返される失敗への諦めと、自己否定が滲んでいた。

ダイキ「同じパターン、というのが気になっているんですね」

クライエント「はい...正直、また自分がダメだったのかなって。もう30近いのに、まともに恋愛できない自分が情けなくて」

クライエントの目には、涙が浮かんでいた。

「楽しい」の意味を探る


ダイキ「その女性は、別れを告げる時、何か理由を言っていましたか?」

クライエント「『あなたといると楽しい。でも...』って言われました」

ダイキ「楽しい、でも?」

クライエント「『でも、それだけなんです』って」

クライエントは首を傾げ、困惑した表情を浮かべた。

クライエント「楽しいのに、なんで別れるんですか? 僕、意味がわからなくて...むしろ、楽しいなら一緒にいたいって思うんじゃないんですか?」

ダイキ「楽しいのに別れる、というのが腑に落ちない感じなんですね」

クライエント「そうなんです。デートの時、笑ってたし、『面白いね』とか『楽しかった』って言ってくれてたんですよ。僕、ちゃんとデートを成功させてたと思ってたのに...」

クライエントの声には、やり切れなさが滲んでいた。

ダイキ「その『楽しい』と、彼女が恋愛に求めていたものは、もしかしたら違うものだったのかもしれませんね」

クライエントは少し驚いたような顔をした。

クライエント「え...? 楽しいは楽しいじゃないんですか?」

ダイキ「たとえば、友達と遊んで『楽しかった』という時と、好きな人と過ごして感じる『楽しい』って、同じですか?」

クライエントはしばらく黙って考えていた。窓の外を見つめ、何かを思い出すように目を細めている。

クライエント「......違う、かもしれないです」

ダイキ「どう違うと思いますか?」

クライエント「うーん...友達とは、ただ楽しく過ごせればいいけど、好きな人だと...」

クライエントは言葉を探すように、ゆっくりと話し始めた。

クライエント「もっと、こう...特別な感じ? ドキドキするとか、この人といると安心するとか...いや、待って」

クライエントは自分の言葉に引っかかったように、口を止めた。

クライエント「安心する...って、いいことじゃないんですか?」

「安心」と「ドキドキ」のズレ


ダイキ「彼女から『安心する』と言われたことがあるんですか?」

クライエント「はい...一度だけ、クリスマスの少し前に。『〇〇さん(クライエント)といると、なんか...安心する』って」

ダイキ「その時、どう思いましたか?」

クライエント「すごく嬉しかったです。信頼してもらえてるって思って。これは良い方向に進んでるって」

クライエントは少し俯いた。

クライエント「でも...今思うと、それって恋愛感情じゃなかったってことですよね」

ダイキ「安心すると、ドキドキする。どう違うと思いますか?」

クライエントは考え込んだ。その表情には、何か大切なものに気づきかけているような緊張感があった。

クライエント「安心するって、たぶん...一緒にいて気を使わなくていいとか、リラックスできるとか、そういうことですよね」

ダイキ「はい」

クライエント「でも、ドキドキするって...もっと、こう、特別な感じ。この人のことをもっと知りたいとか、触れたいとか...」

クライエントは顔を赤らめながら、続けた。

クライエント「友達には感じない、特別な感情、ですよね」

ダイキ「そうですね。彼女が言った『楽しい、でもそれだけ』というのは、もしかしたら...」

クライエント「......友達として楽しい、ってことだったんだ」

その瞬間、クライエントの表情が大きく変わった。何かに気づいたような、でも認めたくないような、複雑な感情が顔に浮かんでいる。

クライエントは両手で顔を覆った。

クライエント「そっか...僕、ずっと友達みたいな関係を作ってたんだ」

気づきの深まり


ダイキ「今、何が見えてきましたか?」

クライエントは顔を覆ったまま、しばらく動かなかった。静かな時間が流れる。

やがて、クライエントはゆっくりと顔を上げた。目は少し赤い。

クライエント「デートの時、僕が意識してたことって...『楽しませる』ことだけだったんです」

ダイキ「楽しませる、と」

クライエント「はい。面白い話をして笑わせたり、美味しいお店を探したり、きれいな景色を見せたり。それが、デートだと思ってました」

ダイキ「それは大切なことですよね」

クライエント「でも...それって、友達と遊ぶのと、どう違うんだろう」

クライエントは自分の手を見つめた。

クライエント「友達と遊ぶときだって、面白い話をするし、美味しいお店に行くし、楽しい場所に行く。僕、デートでも同じことしかしてなかったんだ」

ダイキ「デートで必要だったことは、他に何だと思いますか?」

クライエント「......相手のことを、もっと深く知ろうとすること、かな」

その言葉を口にした瞬間、クライエントの目から涙がこぼれた。

クライエント「彼女のこと、全然知らなかったんです」

見えていなかった相手の気持ち


ダイキ「全然知らなかった、というと?」

クライエントは涙を拭いながら、震える声で話し始めた。

クライエント「クリスマスのイルミネーションを見た時...彼女、途中で急に黙ったんです。きれいだねって盛り上がってたのに、ふと横を見たら、じっと夜空を見上げてて」

ダイキ「その時、どうしましたか?」

クライエント「......何もしませんでした。『どうしたの?』って聞かなかった。なんか、せっかくの楽しい雰囲気が重くなるのが嫌で」

クライエントは自分の拳を握りしめた。

クライエント「だから、すぐに別の話題を振ったんです。『次はどこ行く?』って。彼女は『うん、いいね』って笑顔を作ってくれたけど...」

ダイキ「その笑顔は、どんな笑顔でしたか?」

クライエント「......作り笑いだった気がします。今思えば」

クライエントは両手で頭を抱えた。

クライエント「僕、楽しい雰囲気を作ることに必死で...彼女が何を感じてるか、何を考えてるか、全然見ようとしてなかったんです」

ダイキ「それに気づいたんですね」

クライエント「はい...最後に会った時、彼女が『最近、どう思ってる?』って聞いてきたんです」

ダイキ「彼女の質問に、どう答えましたか?」

クライエント「『楽しいよ、また会いたいね』って...」

クライエントは顔をしかめた。

クライエント「彼女は、僕がどう思ってるか、真剣に聞きたかったんだと思います。でも僕は、軽い感じで答えちゃって」

ダイキ「軽い感じ、というと?」

クライエント「『楽しい』だけで。彼女のことをどう思ってるか、これからどうしたいか、そういうことを全然言わなかった」

クライエントは深く息を吐いた。

クライエント「彼女は、僕の本気度を確かめたかったんだと思います。でも僕は...その質問の意味すら、分かってなかった」

一方通行だった思い


ダイキ「その時の彼女の表情は、覚えていますか?」

クライエントは目を閉じて、記憶を辿った。

クライエント「少し...寂しそうな顔をしてました。『そっか』って小さく言って、それから黙っちゃって」

ダイキ「それでどうしましたか?」

クライエント「また別の話題を振りました。『年末年始、何するの?』とか。楽しい話をしようとして」

クライエントは自嘲するように笑った。

クライエント「僕、ずっとそうだったんです。相手が黙ったり、何か深刻そうな顔をしたりすると、とにかく明るい話題で盛り上げようとする」

ダイキ「それはなぜでしょう?」

クライエント「......重い雰囲気が怖かったんだと思います。真剣な話になると、どう答えていいか分からなくて」

クライエントは俯いた。

クライエント「結局、僕が求めてたのは『楽しい時間』だけだったのかもしれません。相手の本当の気持ちに向き合うのが、怖かったんだ」

ダイキはしばらく沈黙を保った。クライエントの深い気づきを、じっくりと受け止めるために。

クライエント「僕...相手を『楽しませる』ことはできても、相手と『つながる』ことができてなかったんですね」

その言葉を口にした瞬間、クライエントの目から再び涙がこぼれた。しかし、この涙は先ほどとは少し違う。諦めではなく、何かを理解した人の涙だった。

過去の恋愛体験を振り返る


ダイキはクライエントが落ち着くのを待ってから、ゆっくりと質問した。

ダイキ「その『楽しませる』ことに意識が向いていたのは、何かきっかけがあったんでしょうか?」

クライエントは少し考えてから、遠い目をして話し始めた。

クライエント「昔...大学の時に好きだった人がいて」

ダイキ「どんな方でしたか?」

クライエント「すごく明るくて、いつも笑顔で、人気がある人でした。サークルでも中心にいて、みんなから好かれてて」

クライエントの声には、懐かしさが滲んでいた。

クライエント「僕も、その人の笑顔が好きで...一緒にいるだけで、こっちまで明るくなれるような、そんな人だったんです」

ダイキ「その方との関係は、どうなったんですか?」

クライエント「ある日、サークルの飲み会の後、その人が一人で泣いてるのを見たんです。別の男子に告白して、断られたって」

クライエントは少し寂しそうに笑った。

クライエント「いつも笑顔だった人が泣いてるのを見て...すごくショックでした。でも同時に、『僕がいれば、この人を笑顔にできるのに』って思ったんです」

ダイキ「それで?」

クライエント「後日、告白しました。『僕は君を笑顔にできる』って。でも...『ありがとう、でも友達でいて』って言われて」

クライエントは深くため息をついた。

クライエント「その時から、『楽しませる』ことが大事だって思い込んでたのかもしれないです。笑顔にすれば、好きになってもらえるって。でも...」

ダイキ「でも?」

クライエント「それだけじゃダメだったんですね。相手の気持ちを、ちゃんと受け止めることも必要だった」

クライエントは自分の膝を見つめた。

クライエント「あの時、その人は失恋で傷ついてたんです。でも僕は、『笑顔にしたい』って自分の思いばかり押し付けて。その人が何を感じてるか、どんな慰めが欲しいのか、聞こうともしなかった」

深い気づき──「楽しませる」と「つながる」の違い


ダイキ「今、その時のことをどう思いますか?」

クライエントはゆっくりと言葉を選びながら話した。

クライエント「僕、ずっと一方通行だったんだと思います。相手を楽しませよう、笑顔にしようって、自分の思いを押し付けるだけで」

ダイキ「一方通行、というと?」

クライエント「相手が何を感じてるか、何を求めてるか、聞こうとしなかった。相手の気持ちを受け取ることができてなかったんです」

クライエントは両手を握りしめた。

クライエント「恋愛って、一方通行じゃダメなんですよね。相手の気持ちを受け取って、自分の気持ちも伝えて、お互いに影響し合う。それが『つながる』ってことなのかな」

ダイキ「それは大きな気づきですね」

クライエント「はい...痛かったですけど、やっと分かりました」

クライエントの目には、もう涙はなかった。代わりに、何か新しいものを見つけたような、静かな決意が宿っていた。

「楽しい」だけでは足りなかったもの

ダイキ「彼女が求めていたものは、何だったと思いますか?」

クライエントはしばらく考えてから、ゆっくりと答えた。

クライエント「たぶん...ちゃんと自分のことを見てほしかったんだと思います」

ダイキ「自分のことを見る、とは?」

クライエント「楽しそうに笑ってる表面だけじゃなくて。ふと黙った時の気持ちとか、何気ない質問の裏にある不安とか。そういう、見えにくい部分も含めて、ちゃんと受け止めてほしかったのかな」

クライエントは窓の外を見た。

クライエント「友達なら、楽しく遊べればそれでいい。でも、恋人は...もっと深く、お互いのことを知り合いたいと思うものですよね」

ダイキ「そうですね」

クライエント「僕、『楽しい時間を過ごす』ことが恋愛だと思ってました。でも、それだけじゃなかった。相手の内面に触れること、弱い部分も含めて受け止めること。それが必要だったんだ」

クライエントは自分の胸に手を当てた。

クライエント「彼女も、僕の本当の気持ちを知りたかったんだと思います。『楽しい』だけじゃなくて、僕が彼女のことをどう思ってるのか、本気で好きなのか。それを確かめたかったんでしょうね」

未来への一歩


ダイキ「これから、どんな関係を作っていきたいですか?」

クライエントは前を向いて、しっかりとした口調で答えた。

クライエント「相手の気持ちを、ちゃんと聞ける人になりたいです」

ダイキ「具体的には、どんなことをしたいですか?」

クライエント「たとえば、相手が黙った時。今までは、なんとか話題を変えて盛り上げようとしてたけど...これからは、『今、何考えてる?』って聞いてみたいです」

ダイキ「それは大きな一歩ですね」

クライエント「あと...『楽しかった?』って確認するだけじゃなくて、『どう思った?』とか『何か気になることあった?』とか、相手の本当の気持ちを聞くようにしたいです」

クライエントの表情は、最初の重苦しさから解放され、むしろ前向きな明るさを帯びていた。

クライエント「楽しい雰囲気を作ることも大事だけど、相手が本当に求めてるものが何か、ちゃんと確認したいです。それが、本当の意味で相手を大切にすることなのかなって」

ダイキ「その気づきは、きっとこれからの関係に活きてきますよ」

クライエント「はい...今回の別れは辛かったけど、すごく大事なことに気づけました」

クライエントは少し照れたように笑った。

クライエント「次は、ちゃんと相手とつながれる関係を作りたいです。楽しいだけじゃなくて、お互いの本当の気持ちを分かち合える、そんな関係」

ダイキ「その思いを、大切にしてくださいね」

クライエント「ありがとうございます。今日、話せて良かったです」

クライエントは立ち上がり、窓の外を見た。冬の陽射しが、オフィスの中に差し込んでいる。

クライエント「これから、ちゃんと相手の気持ちに向き合える自分になります」

その横顔には、もう迷いはなかった。

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら