はじめに
「人生100年時代」という言葉を耳にするようになり、私たちの働き方や生き方は大きく変わりつつあります。
かつてキャリアとは「職歴」を指すものでしたが、今やそれは人生全体の歩みと捉えられています。そんな時代だからこそ、個人の幸せと社会への貢献を両立させる「ウェルビーイングキャリア」の重要性が、ますます高まっているのではないでしょうか。
今回のY-Biz(ワイ・ビズ)は、ウェルビーイングとは何かを改めて整理し、それが私たちのキャリアとどう深く結びついているのか、そして、よりウェルビーイングなキャリアを築くために何ができるのかを深堀していきたいと思います。
ウェルビーイングとは?単なる健康を超えた「満たされた状態」
まず、「ウェルビーイング」という言葉、よく聞くけれど具体的にどういう意味?と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。ウェルビーイングは、単に病気でないという身体的な状態だけを指すのではありません。世界保健機関(WHO)は、ウェルビーイングを「肉体的、精神的、社会的にすべてが満たされた状態」と定義しています。
もう少し具体的に言うと、ウェルビーイングとは、瞬間的な「楽しい」や「嬉しい」といった感情だけでなく、人生全体の充実感、生きがい、人とのつながり、そして社会への貢献といった多岐にわたる要素を含む、持続的な幸福感や良好な状態のことです。
ポジティブ心理学の提唱者であるマーティン・セリグマン氏は、ウェルビーイングを構成する5つの要素「PERMAモデル」を挙げています。
・Positive Emotion(ポジティブ感情): 喜び、感謝、希望など、前向きな気持ちを持つこと。
・Engagement(エンゲージメント): 何かに夢中になり、時間を忘れて没頭すること。
・Relationships(人間関係): 家族、友人、同僚との良好な関係を築き、支え合うこと。
・Meaning(意味・意義): 自分のしていることに価値や目的を見出し、貢献感を抱くこと。
・Accomplishment(達成): 目標を達成し、成長を実感すること。
これらの要素がバランス良く満たされることで、私たちは心身ともに満たされた「ウェルビーイングな状態」に近づくことができるのです。
キャリアは「生き方」そのもの!ウェルビーイングとの深いつながり
では、このウェルビーイングと私たちのキャリアは、どのように関係しているのでしょうか?
人生100年時代において、キャリアは「仕事」や「職歴」といった狭い意味合いを超え、「どのような人生を歩むのか」という生き方そのものを意味するようになりました。つまり、私たちのキャリアにおける選択や経験は、ウェルビーイングの各要素に直接的、あるいは間接的に大きな影響を与えるのです。
例えば、
・仕事のやりがいや楽しさを感じることは、「ポジティブ感情」を高めます。
・仕事に没頭し、集中できる時間は「エンゲージメント」につながります。
・職場での良い人間関係は、「人間関係」のウェルビーイングを育みます。
・自分の仕事が誰かの役に立っている、社会に貢献していると感じられることは、「意味・意義」を与えてくれます。
・目標を達成し、成長することは、「達成」の喜びをもたらします。
このように、私たちのキャリアはウェルビーイングを育むための重要な土台となる一方で、もし仕事に不満やストレスが募れば、それはウェルビーイングを損なう原因にもなりかねません。だからこそ、自分のウェルビーイングを意識しながらキャリアを築いていくことが、これからの時代には不可欠なのです。
人生100年時代を豊かに生きるための「ウェルビーイングキャリア」の特性
人生100年時代を迎える現代では、働き方が多様化し、一度のキャリアで定年まで働くという従来のモデルは過去のものになりつつあります。この新しい時代におけるウェルビーイングキャリアには、いくつかの重要な特性が見られます。
・学び直しと自己成長の継続: 長い人生において、新たな知識やスキルを習得する「学び直し(リスキリング・リカレント教育)」は、キャリアの選択肢を広げ、自己成長を通じてウェルビーイングを高める鍵となります。特にシニア層においても、学びを通じて仕事に意義ややりがいを感じることがウェルビーイングに強く関連することが分かっています。
・多様な働き方とキャリア形成: 副業、フリーランス、起業、再就職など、働き方は多様化しています。個人の価値観やライフステージに合わせて、柔軟にキャリアを形成していくことが、ウェルビーイングの向上につながります。
・キャリアの連続性ではなく「接続性」: キャリアの「線」として捉えるのではなく、異なる経験や学びが「点」として繋がり、新たな価値を生み出すという視点が重要です。様々な経験をポジティブに捉え、次へと活かす視点を持つことが、変化の激しい時代に求められます。
・仕事を通じた「意義」の追求: 収入だけでなく、仕事を通して社会に貢献している実感や、自分の存在意義を見出すことが、ウェルビーイングキャリアの重要な要素となります。特にシニア層では、収入補填だけでなく、社会とのつながりや健康維持、仕事を通じた成長実感が働く大きな理由となっています。
あなたのウェルビーイングキャリアを支援するために役立つ視点
キャリアコンサルタントとして、皆さんがウェルビーイングなキャリアを築くために、いくつかの理論と方法をご紹介します。
*理論的視点
1. ポジティブ心理学: 自身の「強み(ストレングス)」を発見し、それを仕事でどう活かせるかを考えることで、エンゲージメントや達成感を高めます。
2. 自己決定理論: 人は「自律性(自分で選択し決定したい)」「有能感(自分の能力を発揮したい)」「関係性(他者とつながりたい)」という3つの基本的な心理的欲求が満たされる時に、内発的動機づけが高まり、ウェルビーイングが向上すると考えられています。自分のキャリア選択がこれらの欲求を満たしているか、振り返ってみましょう。
3. キャリアアンカー理論: エドガー・シャインが提唱する「キャリアアンカー」とは、キャリアを選択する際に最も重要視する価値観や動機のことです。自身のキャリアアンカー(専門性、管理能力、自律、安定、起業など)を理解することで、より自分らしい満足度の高いキャリアパスを見つける手助けになります。
4. プランド・ハプンスタンス理論: J.D.クランボルツが提唱したこの理論は、キャリアの8割は偶然の出来事によって形成されるという考え方です。偶然の出来事を単なる幸運と捉えるのではなく、自ら積極的に行動し、学び、成長の機会として活かす「計画された偶発性」の考え方は、不確実な時代においてウェルビーイングキャリアを築く上で非常に重要ですし、キャリアコンサルタントはこの偶発性を前向きに捉える支援を行います。
*実践的アプローチ
1. 自己理解の深化:
・価値観・興味の明確化: 自分が本当に大切にしているものは何か、何に興味があるのかを深く掘り下げます。
・強みの発見と活用: ポジティブ心理学の強み診断ツール(例えば、VIA-IS)などを活用し、自分の持ち味を認識し、仕事でどう活かすかを考えます。
・キャリアアンカーの探求: 自身のキャリアアンカーを特定し、それを満たすキャリアパスを検討します。
2. ライフプランニング: 仕事だけでなく、プライベートや社会活動を含めた人生全体のバランスを考え、将来の目標や計画を具体化します。柔軟な働き方を検討し、ワークライフバランスだけでなく、「ワークエンゲージメント(仕事へのポジティブな心理状態)」を高める視点も大切です。
3. レジリエンス(回復力)の向上: 困難な状況に直面しても、それを乗り越え、しなやかに立ち直る力を養います。ストレス対処法の習得や、信頼できる人との関係構築が役立ちます。
4. キャリアストーリーの再構築: 過去の経験をポジティブな視点から振り返り、学びや成長の物語として再構築することで、未来への希望を育みます。
5. 意味・意義の探求: 自分の仕事がもたらす社会的な価値や、個人的な充足感を深く掘り下げ、仕事への「意味」や「意義」を再発見します。これは、仕事のモチベーションや満足度を大きく向上させます。
6. コーチングとキャリアカウンセリングの活用: 専門家との対話を通じて、自身の考えを整理し、新たな視点を得ることは非常に有効です。特に「WellからWillへ」というアプローチでは、クライアントの現状のウェルビーイング(Well)を起点に、未来の目標(Will)を明確にし、その実現を支援します。
キャリアコンサルタントの支援が不可欠な理由とその効果
変化の激しい現代において、自分一人でウェルビーイングキャリアを築き上げることは容易ではありません。そんな時にこそ、私たちキャリアコンサルタントの専門的な支援が大きな力を発揮します。
*キャリアコンサルタントの必要性
・客観的な視点の提供: ご自身の強みや価値観は、案外自分では気づきにくいものです。キャリアコンサルタントは、客観的な視点から皆さんの潜在的な可能性を引き出し、新たな気づきを促します。
・情報の整理と明確化: 頭の中にある漠然とした不安や願望を、対話を通じて整理し、具体的な目標や行動計画へと落とし込む手助けをします。
・多様な選択肢の提示: 豊富なキャリアに関する知識と情報に基づき、皆さんがこれまで知らなかったような働き方や学びの選択肢を提示し、視野を広げます。
・心理的なサポート: キャリアの転換期や困難な状況において、精神的な支えとなり、レジリエンス(回復力)を高めるサポートを行います。
*キャリアコンサルタントの効果
・自己理解の深化: 質問やワークを通じて、自分の強み、価値観、興味、スキル、そしてキャリアアンカーなどを深く理解し、それに基づいたキャリア形成が可能になります。
・目標設定と計画立案: 漠然としたキャリアの方向性ではなく、具体的に何を、いつまでに、どのように達成したいのかを明確にし、実現可能な行動計画を立てることができます。
・行動への促進: 自己理解と目標が明確になることで、次のステップへ踏み出す勇気やモチベーションが湧き、具体的な行動へと繋がります。
・ウェルビーイングの向上: 自己決定理論で述べた「自律性」「有能感」「関係性」といった心理的欲求を満たすキャリア選択を支援することで、結果的に個人のウェルビーイング全体が向上します。自分の「Will(こうしたい)」を「Well(満たされた状態)」で実現していくプロセスをサポートします。
ウェルビーイングキャリアの課題とこれからのキャリア支援
もちろん、ウェルビーイングキャリアの実現には課題もあります。例えば、経済的な安定性の確保、企業のウェルビーイング経営への理解と実践の推進、多様な働き方に対する社会全体の受容などが挙げられます。日本は国際的に見ても幸福度ランキングが低い傾向にあり、特にファイナンシャル・ウェルビーイングの向上が、今後の大きな鍵となるかもしれません。
しかし、キャリア支援の分野では、個人の強みや内発的動機づけに焦点を当てた支援が加速しています。企業もまた、従業員のウェルビーイング向上が生産性向上や組織へのエンゲージメントに繋がるという認識を深め、健康経営やウェルビーイング経営へと舵を切り始めています。
私たちキャリアコンサルタントは、そうした企業と個人の橋渡し役として、今後ますます重要な役割を担っていくでしょう。
まとめ
人生100年時代は、私たち一人ひとりが自分の人生の主人公となり、主体的にキャリアをデザインできる時代です。単に職歴を積み重ねるだけでなく、「自分がどうありたいか」「何を大切にしたいか」を深く問いかけ、心身ともに満たされた「ウェルビーイングキャリア」を築くこと。それが、これからの時代を豊かに生きるための羅針盤となるでしょう。
もし、ご自身のキャリアについて立ち止まって考えてみたい、ウェルビーイングな働き方についてもっと知りたいと感じたら、ぜひ私たちキャリアコンサルタントにご相談ください。あなたの「Well」な状態から「Will」を導き出し、自分らしい幸せなキャリアの実現を共に目指しましょう。
最後まで読んでいただき誠に有難うございました。
*本ブログ記事(以下「記事」という)で使用されている各種商標・商品名や会社名、人名など(以下「商標」という)は、各権利者に帰属します。
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*企画制作編集:ワイ・キャリアサポーターズ
*この記事の文章作成及び資料調査には、Google社の生成AI「Gemini 2.5Flash」を活用しています。また、音声がある場合は、同社AIスタジオ「Generate speech」の音声解説機能を使って生成しています。
*作成日:2025/07/30
*最終更新日時:2025/07/30 16:50
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