今回は説明が難しい。
これは、椅子に座ってやることにしましょう。
パートナーは相手の前肩と肩甲骨を両手でホールドするような形になります。
左の肩へのアプローチだとしますと、施術する人は相手の左側に相手の方を向いて座ります。
左の掌で相手の前肩を包むようにして、右手は肩甲骨の下部の先細りになっていく部分、そこを下から指先で掬い上げるように支えます。
そして、両手同時に真上方向に数センチ程上昇させます。
これは何をやってるのかと言いますと、第30回でご紹介した肩を持ち上げてゆっくり降ろす呼吸、これを、自分の筋力を全く使わずに経験してもらう、そんなケアをやっているのです。
パートナーの両手で、自分の肩、今ご説明しているのは左の肩、それをググっと持ち上げてもらえる。
すると、その作用で本当に体が勝手に息を取り込んでくれているのを実感出来ます。
そしてパートナーの両手で、自分の自然な呼気の速度に合わせるようにそっと丁寧に肩を元の位置へと降ろしてもらうのです。
一回から二,三回、どうぞやってみてください。
普段の自分が、どれだけ頑張って緊張を当たり前に抱えて生きているかが分かり過ぎて、そして、ワークによってもたらされた平和な感覚との差に驚くかも知れません。
反対側の肩をやってもらう前に、良い機会ですから違いを充分に味わってください。
きっと、体の中心に線があって、そこを境に左右で別人のように感じることでしょう。
施術する側のコツは幾つかありまして、先ずはやっぱりビビッて恐る恐る相手に触らないことです。特に肩甲骨を下から掬い上げる指先は、割としっかり目に、多少肩甲骨の裏の隙間に食い込む位しっかりとホールドしてあげてください。
そして持ち上げる際は、相手の体軸が反対側へ傾く程には上げ過ぎないことです。ほんの数センチ上昇させれば充分に吸気は流入して来ます。
更に、これが最も大切な事ですが、持ち上げて高さの頂点まで達したら、相手の持つ呼吸のポテンシャルを尊重する意味で、心地好い " 間 " を共にしてあげて頂きたいのです。
肩が柔らかく持ち上げられている時、それが起点となって全身に空気を取り入れる為のスペースが広がり続けます。
その大切なほんのひと時を大切にイメージしてあげるのです。
(これを、施術する側の都合で間も設けずに繰り返すとしたら、今やろうとしていることとは真逆、息せき切って走った後の、正に"肩で息をする"ような状態となってしまいます)
きっと多くの人にとって、そんな豊かな呼吸のゆとりが自分の体に内包されていることなど無自覚で、自分一人だけで呼吸に集中するだけではなかなか出会うのが難しい、そんな世界を味わい直す機会となります。
肩が降りてから、もしもう一度挙上させてあげる時は、今度は肩の重みや存在感を利用してゆっくり静かに、それでいてしっかりと息を排出している体の事情をよく汲み取って、ここでもちゃんと間を感じてから次の行程へと進んであげるようにしてください。
手を離す時も急にパッと離してしまわずに、ゆっくりと、そっと配慮のあるタイミングで離してあげると、本当に違いが出ますよ。
片方が終わった後も、両肩が終わった後も、感覚を味わう時間をたっぷりと取るようにしてください。
最後に、これはやってもらう側のことですが、頑張り屋さんほど能動性が板に付いていて、相手の両手に任せ切れずについつい自分で肩を動かしてしまう傾向が出ます。
最初の内は何度やっても完全にリアルお任せモードに切り替わらないかも知れません。
そんな時はどうぞ焦らずに、今出来る範囲でパートナーに預けてみてください。
パートナー側も、任せ切れない相手の緊張を指摘したりせずに、ちょっと肩の滞空時間を長めに取るなどして、肩をあやすように、回数も余り多くせず、優しく労わってあげてください。
これ、昨日の予告通りにサラッと文章化しちゃってますけど、結構難易度高めです。
つづく