未知とのデュエル(改訂版)

記事
コラム
 慢性腰痛を機に、職をやめ実家に帰っていた時期がある。
 もう3年も前の話だ。

 地元はど田舎で、とにかく病院までが遠い。
 実家での生活がどんなものかあげるとーー病院は自転車で30分、歯医者は35分、ATMが40分……
 車がないと生活できないというのに、都会に出て運転を5年サボっている間、乗り方をすっかり忘れてしまった。
 腰が痛いのに自転車に乗るなんて、これいかに。
 てなわけで、近所に開業したと噂の整体へ歩いて行ってみることにしたんだ。

 徒歩20分の距離を倍近い時間かけ、不意に襲う痛みに、
「グフっ!」
「ぅわぁあ!」
「全速前進DA!」
と呻いているうちに、無事?到着。
 そこは、派手な宣伝看板とか一切ない、どでかいガラスを使用したシャレオツな外観をしていた。ガラス張りだが周囲が林に覆われてるので、外から内装全部は見えない。

 まあ、警戒しておくにこしたことはない。(こんなど田舎に整体院怪しすぎるZE)
 木陰から院内を覗くと、私とそう歳のころが変わらない整体師さんが一人、カウンターに座っているのを視認する。
 建物の広さ的に、個人事業ってやつなのかも。
 対人恐怖症の傾向がある私は内心、よっしゃ逃げるか!と十字を切りつつも扉を押した。

 ——結果から言うと。
 整体師さん、めちゃくちゃ話しやすい方でした。
 紆余も曲折なく、整体師さんとは無事打ち解けることに成功し、憂鬱気味だった静養期間に楽しみまでできたのであった。
 おしまい。



 で、終わればよかったのに。
 悲しきかな。
 私は、自身が歩くオカルト引き寄せマシーンであり、近年は呼び寄せる種類が変化した傾向にあり、常にデュエルが行える臨戦体制を保っておかなければならない身の上なのだと、今回の件でいやと言うほどまなばされたのであーる。

 それは幾度目かの触診中。
 世の仕事人がたわいもない世間話を交わす昼下がり頃のこと。
 過ごし方は違えど、気が緩むと会話が生まれるのは人間あるあるだ、などと達観しかけていた時だ。
 整体師さん(奴)は——弾けた。

「実は僕ね、宇宙人なんです」
「出身は〇〇銀河系なんですが」
「都会よりここの方がいい、と出たので最近越してきました」
「〇〇(私)さんはどこから?」

 ……。
 …………ん?
 あれ、これ、私も宇宙人か?
 流れ的に私も宇宙人になるやつか??
 てかなんの話してこうなった?

 思考がかっ飛んでいる私をよそに、奴は続ける。

「〇〇(私)さん、タロット始めましょうか」

 まるで意味がわからんぞ!
 ……そう叫べたらどれほどよかったか。悔しい。
 いかんせん、今は急所(頸椎)を奴に取られている。
 まさか腰痛の合併で首も治療せんといかんことになったのが、こんなピンチを招くとは。
 しかしながら。
 容易に逃げだせない状況下で体制的有利も取りつつ、気が熟すまで攻撃を仕掛けないこの徹底ぶり。
 只者じゃないな?

 間違いなく、ここで選択を誤れば——やられる。

 ならば、私が取る行動は1つだ。
 光の如く家まで駆け、自転車にまたがり近所(自転車35分の距離)にある本屋でタロットカードを買う。
 シャッフル、そして1枚ドロー。
 引いたのは——
 運命の輪!無論、正位置ィ!

 後日、整体師さんに結果を報告して、ターンエンド。
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