要望を無視するCMクリエイターたち(その5)

記事
ビジネス・マーケティング
前回からの続きです。

・・・・・・・・・・・・・

一週間後、下請け制作会社から出されたCM案絵コンテを見て、がっかりしました。
なんだ、みんな同じか!セリフも何も全くダメだ!
長年、CMクリエイターたちと仕事をしてきた人の意識を変えることは、簡単にはできないんだな、と落胆しました。

広告業界の人たちは、タレント事務所とテレビ局の力の前で、忖度する体質になっています。
タレントさんにそんなことは言わせられない、そんなことはさせられないと忖度し、スポンサーがこれをタレントさんに言ってほしいと意向を示しても、忖度するあまり、「それは、普通ではありません、カッコ悪いですよ!自信がありません!タレントさんに言わせるより、ナレーションで行きましょう」と、こちらの意向は無視します。それが業界の掟だと言わんばかりの態度、雰囲気なのです。下請けの制作会社のスタッフは、さらに忖度の度合いは激しいものになります。

結果、CMの脚本は、すべて自分一人の頭で考えて書き直すしかないなと覚悟を決めました。
その日は朝方まで夜を徹して、脚本、セリフをすべて書き直しました。
出来上がった脚本は、原形をとどめていませんでした。

スポンサーのトップ自らがメガホンを取り、監督、企画、脚本、チーフスタイリストまでこなす、前代未聞のCMを制作することにしたのです。

・・・・・・・・・・・・

このような事件を経て制作されたはズキルーペのCMは、CM・TV業界内はおろか、日本中でも話題になりました。
続編として、舘ひろしさん、武井咲さん、小泉孝太郎さん、松岡修造さんなどのバージョンも登場し、さらにはソフトバンクとのコラボCMまで制作され、CM各賞を総なめにしたのはご存知のとおりです。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す