いつまで続くか物語~№13

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コラム
建物の陰、段ボールのそば。
昼間でも薄暗い場所に、寝転んでいる男がいた。浮浪者だ。

主任は、驚くほど自然に近づいていった。
声は穏やかで、妙に優しい。

「兄ちゃん。カネいるか?」

男が薄く目を開ける。警戒と諦めが混じった目。

主任は続けた。

「その服、買ったるから。すぐ脱げや」

――え?

頭が追いつかない。
優しく追い剥ぎ、という矛盾した光景が目の前で起きた。

しかし主任は、本当に“買った”。
その場で男に現金三千円を渡し、さらに新品の作業服を一着、手渡した。

「ほら、これも持ってけ。寒いやろ」

男は何度も頷いて、くしゃくしゃの服を脱ぎ、代わりに新品を抱えた。
主任は受け取った古い作業服を、何の躊躇もなく袋に詰めた。

そして私に言った。

「これや」

私は、袋の中の、使い古されて汗と埃を吸い込んだ作業服を見た。
新品よりも、圧倒的に“本物”の匂いがした。

その瞬間――なぜだか分からないのに、胸の奥が少し熱くなった。
この人、優しい。
なのに、やってることは荒っぽい。
でも筋が通っている気がした。

(……なんやこの主任。優しくて、カッコええやん)

そう思ってしまった自分に、少し驚いた。

つづく・・・
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