不動産業を20年以上行っていると、色々な登記にあいます。
個人、法人は当たり前です。
役所も頻繁にあります。
各所有者が亡くなっている、廃業していることも多々あります。
所有者だけでなく、抵当権者も同じです。
存在しない場合があります。
それでも権利として残っているので、債務が無いなら抹消する必要があります。
抵当権では、たまに大正、明治に設定された抵当権も出てきます。
当時の金額で1万円、相当な高額でした。
しかし、現在では低いです。
抹消する場合、仮に債務が残っていたとしても、今の金額の1万円です。
債権者がいれば支払って完了できます。
隣接地の所有者も関係します。
測量の時です。
特に、確定測量のときに誰が所有者なのか、調べる必要があります。
地域によっては役所の税務課が非常に優秀な場合があります。
土地所在確認図(字図)に、所有者の氏名等を記載してくれています。
その年の1月1日時点の所有者が記載されます。
とても便利です。
謄本は参考にできます。
ただし、住所移転登記が義務化されますが、実際の所有者がどこにいるかは、確定しません。
それでも登記上の住所があるだけでも、何らかの連絡方法がでてきます。
字図に所有者が記載されていても、連絡方法が極めて厄介な場合があります。
役所の場合です。
なぜ?
現存する役所の場合、すぐに連絡できます。
そうではない場合、とても困ります。
以前に出会ったのは、官有地、です。
公の土地であることは分かります。
どの役所なのか、が分かりません。
現在の役所で片っ端から確認することになります。
財務省、国交省、都道府県、市町村、財産区などです。
各役所も誰が所有者なのか、確証がない限り言い切ることができません。
そのため、所有者特定までやたらと時間がかかることがあります。(ありました。)
それでも官有地なので、現存する役所のどこか、になります。
まだマシです。(でした)
今回、また面倒な役所がでてきました。
役所の名称は特定されています。
農商務省です。
?です。
農林水産省ではありません。
明治から大正にかけて存在し、約100年前に解体された役所でした。
現存していません。
農商務省は解体後、いくつかに分かれ、今は農林水産省ではないか、というレベルです。経済産業省の可能性もあります。
ここからは土地家屋調査士の力が必要です。
とはいっても調査士なら誰でもOK、というわけではありません。
対応できる人は極めて少ないです。
以前に二重登記、二重地番が複数ある土地の解決を行った土地家屋調査士がいます。この人に依頼します。
軽く説明しただけで、厄介であることは瞬時に把握されました。
それでも、対応できそうだと分かりました。
上手くいく場合と、そうではない場合の2通りがあるようです。
上手くいくことを期待します。
この厄介な隣接地の境界を確定させることが、今回の査定地の所有者に必要です。
売却する場合、この農商務省名義の土地から派手に立木が越境してきています。
切れ、と言いたいのですが、誰に言えばいいのかわからない状態です。
改正民法を活用し、はみ出てきている部分は切ります。
本来なら、所有者がすべきことです。
費用も所有者が負担しないといけません。
連絡のしようがないので、民法上の手続きでの対応です。
連絡が付くようになれば、隣接地に有益な部分については費用を償還してもらいます。本来、する必要が無い作業と費用だからです。
査定地の所有者には驚きました。
94歳男性です。
年齢から耳は衰えています。
ですが、パソコンの使用は全く問題ありません。
メールは得意とのことでした。
耳だけ衰えたようですが、他は健康そのものです。
今も研究内容があるようでした。
考古学の。
依頼者は国立大学の名誉教授でした。
海外にも多数、今問題になっている国にも行かれていました。
所有する書物があまりにも多く、住宅は重量物のピアノが余裕で対応できるレベルの補強がされていました。
書物は可能な限り役所等に寄贈されています。
他にも工芸品や美術品があるので、文化財の関係者が欲しがっているようでした。
頭を使い続ける人、健康面は非常に良くなるのだと分かりました。
定年退職で、急激に劣化する人とはまるで違います。
生き方の参考にしたいと思います。