富太郎の『ちょこプレ2』2024.9.22

富太郎の『ちょこプレ2』2024.9.22

記事
コラム
富太郎が気の向くままに、再び「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「役員等の損害賠償責任」

 その昔、昭和の時代に、関東県内で販売するパンを製造しているY社代表
取締役aさんが、Y社が関西地区に進出するために市場調査を実施していた
にもかかわらず、自ら資金を調達してY社と全くの別会社であるZ社を設立
した上で、Z社の代表取締役として関西地区で製パン業を経営したことに対
して、会社の支配権を獲った経営陣がaさんに対して「損害賠償」を求める
裁判を起こしました。

 この事件を考えるうえでの関係法令を、以下に示します。

 株式会社の「取締役」は、業務を執行します(会社法348条)。
そして取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を順守し、株式会社の
ため忠実にその職務を行わなければなりません。(355条【忠実義務】)

 そして取締役が次の行為を場合には、『株主総会』において、「当該取引」
につき重要な事実を開示し、その『承認』を受けなければなりません。
(356条【競業及び利益相反取引の制限】)
① 自己又は第三者のために株式会社の「事業の部類に属する取引(競業)」
 をしようとするしき。
② 自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
 (直接取引
③ 株式会社がが取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間に
 おいて株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
 (間接取引

 取締役が、会社の承認を得ずに「利益相反取引」をした場合には、『会社と
取締役との間の取引は無効になる。 ただし、会社は第三者の悪意(当該取引
が利益相反取引に該当し、かつ、取締役が会社の承認を得ていないことを知っ
ていること)を証明しない限り、第三者には取引が無効であることを主張でき
ない。』との判例があります。(最判昭43.12.25、最判昭46.10.13)

 そして、取締役が「競業及び利益相反取引」の制限の規定に違反し、自己
又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしたときは、当該
取引によって取締役、第三者の得た利益の額は、上記①の損害額と推定され
ます。
 また、取締役は会社の承認を得ていても、利益相反取引で株式会社に損害が
発生したときは、次に掲げる取締役はその職務を怠ったもの(任務懈怠)と
推定されて、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負い
ます。  (会社法423条①)
一 取引をした取締役 (張本人)
二 当該取引を決定した取締役
三 当該取引に関する取締役の承認の決議に賛成した取締役

 なお、二、三の取締役は「過失がないことを立証」した場合には、免責され
ますが、一の利益相反をした取締役(張本人)は『無過失責任』です。
(会社法428条【取締役が自己のためにした取引に関する特則】)

 ただ、上記の責任は『総株主の同意』があれば、免除することができます。
(会社法424条【株式会社に対する損害賠償の免除】)

 また、株主が一人しかいない一人会社[イチニンガイシヤ]の場合は、利益相反取引
をしても、一人株主の利益(=会社の利益)を害することがないので、『会社の
承認を受けることは不要である。』との判例もあります。(最判昭45.8.20)

 一方、利益相反取引をした張本人ではなくても、取締役(役員等)がその
職務を行うについて「悪意又は重大の過失」があったときは、当該取締役
は、これによって『第三者』に生じた損害を賠償する責任を負います。
(会社法429条【役員等の第三者に対する損害賠償責任】)
 この第三者には、『株主』も含まれます。

 張本人以外の取締役も、代表取締役の業務執行一般を監視する義務
善管注意義務[役員等の会社に対する一般的な注意義務(会社法330条、
民法644条)]の一内容として負う。』との判例(最判昭48.5.22)があり、
この監視義務違反の任務懈怠は、株主から請求を受ければ、上記429条に
基づく損害賠償義務の要件となります。
 冒頭の裁判では、裁判所(東京地裁)は、被告の代表取締役aさんの
善管注意義務」「忠実義務」「(関西地区への進出機会を奪った)競業
避止義務違反を認定しました。

 創業ワンマン社長だったaさんは、「自分の会社だ。」との意識が強かった
のだと思います。 これは、昭和の時代の話ですが、令和の現在では尚更、
『会社と代表者の立場は分けて、経営判断をしていくことが必要』だと
会社経営をめぐるいろいろな事件を見聞きするたびに、強く感じます。

今回は、以上です。 
過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎

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「自身の身や権利を守るための、最低限の法知識」
 です。 




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