ネットやゲームは敵とは言い切れない

ネットやゲームは敵とは言い切れない

記事
コラム
―不登校の子どもが、もう一度学びにつながる入口になる―

不登校のお子さんが、ネットやゲームばかりしている。

その姿を見ると、保護者の方は不安になると思います。

「勉強しなくて大丈夫なのか」

「このままゲームだけの生活になってしまうのではないか」

「現実から逃げているだけではないか」

そう感じるのは、当然です。

けれど、少し見方を変えると、ネットやゲームは必ずしも敵ではありません。

むしろ、その子がもう一度学びや社会とつながるための入口になることがあります。

ゲームが好きな子は、ただ遊んでいるだけではない場合があります。

キャラクターの能力を比較する。

戦略を考える。

アイテムの効果を覚える。

仲間と役割分担をする。

物語や世界観を理解する。

勝つために何度も試行錯誤する。

そこには、記憶力、分析力、判断力、協力する力、計画する力が含まれています。

大人が「ゲームばかり」と見る世界の中で、子どもは実はたくさん考えていることがあります。

ネットも同じです。

動画を見る。

攻略情報を調べる。

好きな分野について検索する。

SNSで誰かとつながる。

AIを使って絵や文章を作る。

プログラミングに興味を持つ。

これらは、使い方によっては学びの入口になります。

大切なのは、「ゲームをやめさせること」だけを目標にしないことです。

もちろん、生活リズムや健康を守るためのルールは必要です。

依存的になっている場合には、大人の見守りや専門的な支援も必要になることがあります。

しかし、ただ取り上げるだけでは、その子の心の避難所を奪ってしまうことがあります。

必要なのは、その子が何に惹かれているのかを知ることです。

「そのゲームのどこが面白いの?」

「どうやって勝つの?」

「そのキャラクターは何が強いの?」

「その世界観って、どんな話なの?」

「自分で作るなら、どんなゲームにしたい?」

こうした会話から、学びは始まります。

たとえば、ゲームが好きな子なら、プログラミングにつながるかもしれません。

キャラクターが好きな子なら、物語づくりやイラスト、デザインにつながるかもしれません。

攻略が好きな子なら、数学的思考や論理的思考につながるかもしれません。

海外のゲームが好きな子なら、英語に関心を持つかもしれません。

動画が好きな子なら、編集、構成、話し方、発信力につながるかもしれません。

不登校の子どもにとって、いきなり教科書に戻ることは難しい場合があります。

学校の勉強に傷ついている子もいます。

机に向かうだけで苦しくなる子もいます。

「勉強」という言葉に拒否感を持っている子もいます。

だからこそ、好きなことから入ることが大切です。

好きなことには、心が動きます。

心が動くと、知りたいことが生まれます。

知りたいことが生まれると、調べる、読む、考える、書く、話すという学びが自然に始まります。

これは、立派な学びです。

大人がすべきことは、子どもの好きな世界をすぐに否定することではありません。

その世界の中にある学びの芽を見つけることです。

「そんなもの意味がない」と言われると、子どもは心を閉じます。

でも、「そこから何か作れそうだね」と言われると、子どもは少し前を向けることがあります。

ネットやゲームは、使い方を間違えれば危険もあります。

昼夜逆転、課金、SNSトラブル、依存、悪意ある大人との接触。

これらには注意が必要です。

けれど、ネットやゲームそのものをすべて悪者にしてしまうと、子どもが今つかんでいる小さな希望まで見えなくなります。

大切なのは、禁止ではなく、橋をかけることです。

ゲームからプログラミングへ。

動画から表現へ。

SNSから安心できる人間関係へ。

攻略から論理的思考へ。

好きなキャラクターから物語や英語へ。

ネットやゲームを、現実から切り離すものではなく、現実とつなぐものに変えていくこと。

そこに、不登校支援の一つの可能性があります。

お子さんがネットやゲームに夢中になっているとき、保護者の方は焦ると思います。

でも、そこにその子の興味が隠れているかもしれません。

そこに、その子がもう一度学び出す入口があるかもしれません。

子どもの好きなものを否定する前に、少しだけのぞいてみる。

その世界を一緒に面白がってみる。

そこから、次の一歩を探してみる。

不登校の子どもに必要なのは、無理やり現実へ引き戻されることではありません。

安心できる形で、現実ともう一度つながることです。

ネットやゲームは、使い方次第で、その橋になることがあります。

子どもの世界を壊すのではなく、その世界から学びへつなげる。

そこに、その子らしい回復と成長の道があるのだと思います。
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