(中学生向け)大学附属の高校について

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コラム
中学生向けに志望校の決め方についての話をした際に、大学附属の高校を選択する人が増えているというようなことを書きました。そこで今回は大学附属の高校(系属校など別の名称もありますが、ここでは一括りに内部進学ができる学校の総称として「附属校」と言うことにします)について詳しくお話していきたいと思います。

大学附属の高校に行くことの是非については人によって様々な意見があると思いますが、個人的には十分「アリ」だと思っています。普通の進学校よりもいい、と言いたいわけではなく、一定の条件を満たせば第一志望にしてもいいくらいに魅力があると考えている、ということです。

ひとくちに大学附属と言っても、たくさんの学校があります。一番わかりやすいのは早稲田大学や慶應義塾大学の附属高校でしょうか。大学受験をせずに早稲田・慶應に進学できるということで、これらの高校は非常に人気で激戦区となります。したがって、このレベルになると行きたいと思ったからといって簡単に行けるような学校ではないですが、このような最難関の大学附属以外にもたくさんの附属校があります。
いわゆるMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の附属や、日東駒専(日本・東洋・駒澤・専修)の附属、成成明獨國武(成城・成蹊・明治学院・獨協・國學院・武蔵)や関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館)など有名人気校にはほとんどの学校で附属校があります。中には高校からの入学は受け入れていなかったり(中学受験のみ)、附属という名前でも無条件で進学できるわけではなかったりする学校もあるので注意は必要です。

これらの大学附属以外にも各地域にいくつも大学附属の高校はありますし、寮生活をふまえて地元から出る人もいるでしょうから、一概に大都市圏に住む人に限った話ではありません。ですから、誰でも興味を持てば受験することはできますので、「自分には縁のない話」ということはないでしょう。ですので、この記事を読んで少しでも興味を持ってくれた人は「大学附属」で検索すれば全国の附属校の一覧が見られると思いますので、ぜひ調べてみてください。

さて、いよいよ本題というか、ここからはこれらの附属校を目指すことをおススメする理由についてお話しします。

①大学受験を回避できる
大学受験をしなくていい、というだけでも魅力はありますが、そういう後ろ向きな発想ではなく、大学受験をするために必要な勉強や時間を高校生活の充実のために充てることができるのがメリットです。部活動に打ち込んだり、ゼミや研究での学習に時間をかけたりすることができて、一足早く大学生らしい勉強を経験できます。その結果として将来への見通しが立てやすくなると言えるでしょうから、大学での過ごし方や就職を考える際にもプラスが見込めます。

②合格できる可能性が高い
大学受験は全国の受験生で少ない定員を争うことになりますし(倍率10倍以上はよくある話)、試験内容の難易度も格段に上がります。それに比べて、高校受験であれば限られた地域の人との争いですし(倍率は2~4倍が主)、試験内容も中学レベルですから受験対策をするうえでも授業のしやすさが全然違います。
それだけでなく、そもそもの大学受験の複雑さや多様性を考えても高校受験のほうが確実に楽です。とりあえず、同じ大学を目指すにしても大学からの入学よりも高校からの入学のほうが格段に合格可能性は上がります。大学受験も高校受験も指導してきた身からすると、目指すところに附属校があるのであれば、大学附属の高校を受けることをおススメしたいです。
例をあげると、高校入試における偏差値が65くらいの高校に入ったとしても、その高校で真ん中よりも下の成績になってしまうと、おそらく偏差値50前後の大学に合格できるかどうかという状況になる、みたいなイメージです。各都道府県のトップ校にあたる偏差値70以上の高校でも、全員が早慶に合格できることはなく、上位100人くらいが目指して合格できるかどうか、でしょうか。
もっと具体的な話をすると、日本大学の系列校である都内の高校(偏差値60前後)の学校を滑り止めにして偏差値65の公立高校に進学した生徒がいたとします。その子が高校での成績が400人中200位くらいだった場合、日本大学に確実に合格できるかと言ったら全然そんなこともなく、学力レベルを基準としての最終学歴が逆転する可能性もおおいにあるでしょう。そんな感じです。
これらはマイナスのイメージというか、うまくいかなかった場合の保険的な意味での話なので、もちろん高校に入ってからがんばって勉強すればより上位の大学に行ける可能性も十分ありますから、結局は自分次第ではありますが、そういうことも起こりうる、という事実は知っておいて損はないでしょう。

次は大学附属を目指すうえで絶対に気にしておくべき注意点です。単純に楽そうだから附属がいい、という決め方はさすがによろしくありません。

①行きたい大学が決まっているかどうか
将来は絶対にこの大学に行きたい、とはっきり決まっているのであればその大学附属を目指す価値はおおいにあるでしょう。ただ、その大学に自分が行きたい学部があるのかをちゃんと調べておく必要がありますし、高校での成績次第で自分の希望する学部に進めるかどうかが決まるので、進学後もがんばって勉強する必要があることは念頭に置いておきましょう。

②進路変更がしにくい
変えられない、というわけではないですが、なかなか難しいと言わざるを得ないでしょう。附属に通いながら他大学に進学を希望する人は少なからずいます。その場合、高校側からの支援はほとんど受けられませんし(なにしろ受験しないのが前提ですから)、多くの学校は他大学の受験を希望した時点で内部進学の権利がなくなるようなので、うっかり希望する進路が変わってしまった場合はかなり不利益が発生します。要するに、柔軟性に欠けるということです。したがって進路希望が不安定というか曖昧な場合、なかなか附属校はおススメしにくいです。このことも頭に入れておきましょう。


附属校の受験を検討する場合、このあたりを受験前に必ず検討しましょう。ものによっては学校説明会等で直接聞いてみないと調べられない事柄もありますので、受験を本格的に考える場合は大学受験をパスする分、他の人よりも早く将来を見据えた決定を迫られることになりますので、そこの覚悟はしっかりと持ったうえで目指してもらいたいと思います。いずれにせよ、大学附属校の希望者が増えている傾向は確かにありますので、興味があれば一度考えてみてもいいと思います。
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