【投資・業界分析】住宅設備業界

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「消費増税の駆け込みや反動減はほとんどない」と思われていた?

2019年夏まで住宅設備の大手メーカー各社はそう考えていた。しかし、実際はリフォームで駆け込み需要が発生。さらに「どうせ買えるなら良いものを」と中高価格帯商品の販売が好調だった。加えて原燃料価格や物流費の高騰を理由に、値上げを進めたことも寄与した。その結果、19年度決算で営業利益を改善させた会社が続出した。
こうした状況は2020年に入って暗転した。新型コロナウイルスの影響が直撃し、2月中旬から中国の協力会社から調達する一部資材に遅れが生じ、生産面で混乱が起きた。大半のメーカーの納期が通常水準に戻ったのは6月に入ってからだった。生産面での問題は収束に向かっているが、懸念されるのが大口の客先である住宅業界やリフォーム業界の動向だ。とくに大手ハウスメーカーでは春先の受注が軒並み2~3割も減少し、新築向け需要の停滞は避けられない。
採算性のよいリフォームも、工事業者との接触を避けたい消費者が多く、先送りが発生している。そのため、20年度・21年度の業績低迷は必至の情勢となっている。
仮に21年度以降に反動で盛り返したとしても、人口減少による国内の新築市場縮小という構図は変わらない。安定したリフォーム市場を取り込みながら、いかに海外市場でのシェアを拡大できるか。コロナ禍で、業界の抱える構造問題がいっそう明確となった。

業界規模は?

新設住宅着工戸数88万3,687戸(2019年度、国土交通省「建築着工統計調査報告」)
住宅リフォーム市場5.7兆円(18年度、住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅リフォームの市場規模」)

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国内の得意先である住宅、非住宅の市場規模は成熟状態にある。人口減少でさらなる縮小が見込まれるため、各社は安定しているリフォーム市場と成長余地のある海外市場開拓に注力する。
尚、21年3月に新設住宅着工戸数は前年同月比を21か月ぶりにプラスとなった。しかし、減少傾向にあることに変わりはない。

代表企業は??

5938 LIXILグループ
キッチン・サッシで1位となっている。住宅設備機器の国内最大手、世界でも有数。2011年4月にトステム、INAX、新日軽、サンウェーブ工業、東洋エクステリアが統合して発足。18年10月以降の人事をめぐる混乱は収束。欧州の建材会社やLIXILビバ(3564)など非中核事業売却やコスト削減を継続している。その結果、サッシ、水回りともに営業利益は上昇している。

6752 パナソニック
旧パナ電工の住設建材事業などを継承。内装建材や照明、システムキッチン、衛生陶器などを手掛ける。
コクヨから商業施設向け什器事業を買収した三協立山(5932)とシステムキッチンの大手であるタカラスタンダード(7981)と業務提携している。
また、床材や内装材、ドア、収納などを展開しており、伊藤忠商事からも出資を受けている大建工業(7905)と業務提携している。

5929 三和ホールディングス
シャッターで国内最大手、国内外で買収を積極的に推進している。

8130 サンゲツ
インテリア専業商社、壁紙でダントツ。カーテンや床材も高シェアとなっている。専門知識が伴うため、代理店と施工業者が介在するのが一般的。内装は工事終盤で日程に余裕がないことも多く、サンゲツは小ロット、翌朝配送という商流で差別化をしている。




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