私は近代史を学ぶときに、当時の人々の氣持ちや考えを知ろうと意識します。
太平洋戦争を経験した多くの国民は、負け戦の悲惨さと平和な暮らしの尊さを強く実感し、それが戦争の教訓として今日まで語り継がれてきました。
しかし、私は思うのです。
その教訓は、古今東西の人々の普遍的な思い。例えば、戦国時代を経験した人々も同じような思いを教訓として得ていたのではないだろうかと。
では、日本近代史ならではの、それまでの歴史では得られないような教訓はないのでしょうか?
私は、「西洋人による植民地支配と人種差別を拒絶した日本人が、アジア諸国民に対して差別意識を持ち、植民地支配にまで及んだ」ということが、教訓として筆頭に上がるものと思います。
日本人が、中国人・朝鮮人・東南アジア人をそれぞれ、チャンコロ・チョン・土人と呼ぶことがあったこと。
植民地における食料配給でも、日本人家庭には赤身肉を多く、台湾人家庭には脂身肉を多くしていたなど、その差別意識を表す沢山の記録があります。
第一次世界大戦の観戦で総力戦を知った職業軍人らは、満州での植民地経営の必要性を強く認識しました。
列強がそれぞれの勢力圏を争う、厳しい時代であったことは事実です。しかし、生き抜くために差別意識が必要だったでしょうか?
いいえ。その差別意識は、戦争に勝っても負けても抗日精神を育て、日本人の安心安全を危うくするだけだったでしょう。