特許出願の注意点

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法律・税務・士業全般
 個人・ベンチャー企業の方は、特許出願は初めての方がとても多いです。この方々から相談されるベスト3(筆者の業務上での経験・体感からです。公式なデータに基づくものではありません。)は下記のようなものです。

(特許出願 お悩みランキング)
 第1位:(費用は)いくらかかりますか?
 第2位:これ(出願する発明)特許になりますか?
 第3位:特許になるまでどれくらいの期間がかかりますか?

 実は、上記の疑問への回答は1つしかないです。その回答は「場合によります。」です。「・・・それでは回答になってない!」、おっしゃる通りです。そこから先は説明が必要になります。
 今回は、上記第1位の「費用」について簡単に説明します。

 ほとんどの場合、費用は大きく分けて、弁理士費用と特許庁へ納める費用の2種類があります。
 そのうち、後者で特許庁へ納める費用は、一律に決まっています。これは特許庁のホームページでも公開されています。例えば、検索エンジンで「産業財産権関係料金一覧」を検索すると公開しているページがヒットします。
 一方で、弁理士費用は、特許事務所・弁理士ごとに決められる為、究極的には見積・問い合わせをしないと把握はできません。ただし、概ねの相場はあります。また、日本弁理士会がアンケートを取って平均額が公開もされています。
 例として、①弁理士に頼らず自分で書類作成する場合、②弁理士依頼の場合を見積もってみましょう。

①弁理士に頼らず自分で書類作成する場合
 「自社出願」や「内作」と呼ばれる(法律等で決まっている名称ではなく通称です。)手続方法です。
 弁理士に頼らないため、弁理士費用が「0」になります。すべて自分で行う場合、つまり、最小限の費用で出願する場合には、「1万4千円」(上記の「産業財産権関係料金一覧」等で確認して下さい。たまに改定されます。)を特許庁へ納めれば出願できます。

 注意点1)
 ここで注意したい(特に初めての人がよく誤解している点)のは、「出願」しただけでは「特許権になりません」という点です。特許法上、「出願」という手続きとは別に「審査請求」という手続きが必要なのです。これの費用が高いのです(上記の「産業財産権関係料金一覧」をご覧下さい)。最低でも14万円弱程度(請求項数で加算されます。)が必要になります。ただし、これを安くする支援制度が別にあります。

 注意点2)
 出願書面は、法令によって方式が定まっています。出願書面を作る上で最も特殊なのが「特許請求の範囲」という書面(英語呼称で「クレーム(Claim)」と呼ぶ場合も多いです。)です。これが一般的な文章と大きく違うため、慣れた人でないと難しい書面です。究極的には、これが完璧に書けるのであれば特許業界で食べていけるぐらいに特殊かつ複雑なものです。これらは「知的財産相談・支援ポータルサイト」や特許事務所のホームページ等でサンプルが公開されています。ご参考まで。

②弁理士依頼の場合
 弁理士費用は約20~30万円程度が相場でしょう。ただし、公的な支援制度があります。これも相談すれば弁理士を通して手続きできる場合が多いです。しつこいようですが、値段は弁理士によって違います。
 ちなみに相談だけですと、相談手数料を単独に支払う場合が多いですが、出願依頼を前提に相談すると、相談手数料部分は無料・出願手数料に含まれる場合が多いです。

 最初に記載しましたが、正確には見積を取るのがよいです。
 以上、「費用」の大雑把な話でした。


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