これ特許になりますか?

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法律・税務・士業全般
 前回、相談で2番目に多い相談ですと記載しました「これ特許になりますか?」という疑問に答えようと思います。

 まず、この相談は相談してくる人の立場によって回答が変わります。それは特許権を成立させるには、技術的な要件と、法的・書式的な要件の両方が備わっていないといけない為、これを別々に回答する必要があるからです。

法的・書式的な要件とは
 一言で言えば、特許出願した書面が完璧であって、手続きも完璧でないと、たとえノーベル賞級の技術が使われていても特許権は成立しません。これが純粋に「知財力」=「技術力」ではないともいえる、特許が技術と法律の2面性を持つともいえる点でしょう。
 例えば、特許出願を無事完了しても、審査請求という手続きがされなければ特許権は絶対に成立しません。一方で、米国や意匠・商標はこの手続きが不要です。このように知的財産制度は複雑な為、一種の「落とし穴」的な要素が多く、1つでもミスがあると全部失敗となる要素があります。こういったリスクを減らす為、一般的には代理人をつけることになります。

技術的な要件とは
 技術者の立場の人が最も気になる点です。特許出願で技術者が最も関係するのは「新規性」と「進歩性」であるといってもよいでしょう。一言でまとめるならば「公知技術との違い」です。
 「新規性」及び「進歩性」は、特許庁の審査官という公務員の方が最終的には判断しますが、これの運用は、「審査基準」という特許庁が公開しているマニュアルに沿って判断されます。詳しくは弁理士に相談した方がよいですが、特許になるか否かを判断するには、「(公知技術に)どういった似たような技術がある?」と「出願する対象の技術は何が違う?」の2点です。
 乱暴に言えば、競合他社の同じような製品は何ですか?というのは、やはり最前線で研究開発をされている技術者の方が最も詳しい・調べられる場合が多いので、その情報が必要ということになります。
 一方で、ここにも落とし穴があります。技術者・実務家の方は実際に流通している製品や実用化されている技術にはとても強いですが、法律上の「公知技術」はこれ以外も考慮されてしまうことです。
 もう少し踏み込みますと、「不意打ち」になることが多いのは、大手メーカの特許出願の公報です。少し乱暴に言ってしまえば、アイディアだけでとりあえず出願・公開はされたものの、実用化されていない「没ネタ」や「防衛出願」と言われるものがハードルとなります。これらは実用化されていないので実務家の方ほど知らないことが多いという落とし穴です。これの対策は、まず調査することです。こういった相談も弁理士ならば答えてくれます。

 以上のような大きく2つの要素を総合して特許が成立しそうか否かを回答することになります。参考まで。
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