いつから特許権が使える?

記事
法律・税務・士業全般
 前々回に記載した相談ランキング第3位の特許権が成立するまでの期間について解説します。

 結論:「ほったらかし」にすると5年くらいの期間がかかります。

 まず、「5年」の内訳を解説します。特許出願は、出願から原則3年間審査請求ができます(例外あり)。この審査請求という手続きがされないと、特許庁は審査を進めず、「ほったらかし」になります。いつ審査請求するかは出願人の自由という制度ですので、審査請求を出願時にしないと、最大3年の「ほったらかし」が発生します。これが「5年」の60%を占める「3年」です。

 次に、審査請求から審査官の判断(拒絶理由通知の場合もありますし、一気に特許査定の場合もあり、これは内容によります。一般的には「ファーストアクション」等と呼ばれます。)まで、1年強程度の時間がかかります。これは法令等で決まっている期間ではありませんので一律の期間は特定できません。「1年」は特許庁が統計で出している平均値です。おそらく、先行文献が多いような技術分野は時間がかかることは予想できます。

 「5年」のうちの残り「1年」について説明します。
 特許出願に対して初回の審査官の判断で特許査定が出る確率は低く(9割に拒絶理由通知が出ると言われます。)、拒絶理由通知に対応(「中間処理」と言われる処理です。)をし、審査官が再度判断をするという期間が概ね半年~1年程度かかります。これも法令等で決まっている期間ではありません。あくまでもそういう場合が多く、このくらいの期間になる場合が多いですという話になります。

 上記の3つの期間を総計すると「3年+1年+1年=5年」という計算になります。あくまでも平均的な数値で参考にしてください。

 「5年は長い!」という思う方が多いと思います。
 この「5年」は短くできます。結論的には「半年~1年」程度までは弁理士に依頼すれば大抵の場合が可能です。「審査請求」、「早期審査」等といった権利化を急がせる制度が用意されているからです(ただし、早期審査制度の利用は条件があります)。さらに審査を速くさせる制度もあります。

 なお、前提ですが、どういった特許出願も「特許権」にできるわけではありません。それは内容及び出願書面の準備の仕方に大きく左右されます。上記の期間はあくまでも審査の結論(「特許査定=特許権成立の見込みが立った」の場合と、「拒絶査定=ダメ」の場合)が出るまでの期間です。ご参考まで。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す