倒れたまま

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みなさんは玄関から外に出る時に、右足から出ますか?左足から出ますか?

私はそんなことを考えたことがありませんでしたが、ある芸能人の女性2人が、このような会話をしているとネットで読んだことがあります。日常で繰り広げられる会話には、いろいろあるのだな~と感心したことを覚えています。

私はたぶん右足から出ます。そうすると、玄関から出る時に右足から出ようとして、何だかぎこちない感覚になりました。無意識にやっていたことを意識するようになると、違和感が生まれたりして・・・。そうこうするうちに意識しすぎて、右足から出ないと気持ち悪くなってきて、それが儀式のようになり始めました。そうしないと何か悪いことが起きるような気になって、その観念が止められず、何度も何度も右足から玄関を出る動作を繰り返し行ってしまう・・・。そして、玄関から出られなくなり、疲れ切って外出もできなくなるという悪循環が起きる・・・。このような特徴を持つのが、強迫神経症です。

これはあくまでも例えですので、私は強迫神経症ではありません。でも、このような症状を持っている方は1~2%(50~100人に1人)の割合でいらっしゃいます。きわめて強い不安感や不快感(強迫観念)をもち、それを打ち消すための行為(強迫行為)を繰り返すのです。

私が支援した学生のなかに、強迫神経症の学生がいました。その学生は、カフカの『変身』という小説が好きでした。自らの症状を何とかしたいという変身願望が強かったのかもしれません。

このカフカですが、婚約者に向けて次のような手紙を書いていることが、頭木弘樹さんの『絶望名人カフカの人生論』で紹介されています。「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。 将来にむかってつまずくこと、これはできます。 いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」なんというネガティブ!絶望名人と言われるゆえんでしょうか。

私たちは誰もがネガティブな思考をします。世の中には、ネガティブは悪いことと捉える傾向があります。ネガティブはネガティブを呼び、悪循環を繰り返す傾向があるのかしれません。でも、このネガティブはこの地球上に生まれた人間特有の感情のような気がしています。それならば、このネガティブも眺め回して楽しむぐらいの余裕があったほうが、より人間らしく生きられるのかもしれないな~と思ったりもしています。
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