【外資系コンサル養成講座】リサーチ編:いきなり調べるのはNG!

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このブログでは、新卒で外資系コンサルに入社した筆者(サイテル)の経験や取得できたスキルを発信していくことを目的としています。市場調査(リサーチ)、プレゼン資料の作成、分析、企業の戦略立案といった実務的なスキルの他、企業価値評価、企業買収(M&A)、財務モデル、株式投資(ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析)といった専門スキルについても分かりやすい形で発信していきたいと思います。
この記事では、まずは経営コンサルティングの基礎的なスキルである「リサーチ(調査)」について、質の高い大量の情報をスピーディーに集め、整理、分析をするための、その具体的な手法をお伝えしたいと考えています。
これから連載する記事をご覧いただければ、だれでも外資系コンサルの基礎的なスキルセットが身につくと思いますし、コンサルティング業界で働いていない人でも、日々の業務で関連のある人や将来的に経営や投資に関わりたい人にとって有益な情報になるのではないかと考えています。今回の記事では、「リサーチを行うための具体的なステップ」について書いてみようと思います。

リサーチ目的の確認
 リサーチはすぐにでも始めることができますが、闇雲に始めてしまうことはあまりよくありません。私も入社したばかりの頃はいきなりインターネットでリサーチを始めたものですが、あれでもない、これでもないとインターネット上を彷徨ってしまうことになり、ブラウザのタブが増えていくばかりでただ時間ばかりが過ぎていくようなことが何度もありました。やはり、目的意識を持って調べないとただ時間だけが過ぎていきます。また、色々と知識は増えたけど、一番重要なことはよくわからなかったということもありがちなパターンです。このモヤモヤ感はどうしても避けたいものです。
 このようなパターンに陥らないためにも、リサーチをするときは必ず「自分は何の目的でリサーチをしているのか」という目的意識を持ってリサーチする必要があります。そして、リサーチの目的は次の3つの視点を確認すれば十分です。リサーチの量(広さ)と質(深さ)を維持できるようになります。

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視点①:自分が明らかにしたいクエスチョン(問い)
 リサーチを始める前に、「何を知りたいか」ではなく、「そもそもどのような課題を解決したいたのか」という自分が明らかにしたいクエスチョンをはっきりさせる必要があります。例えば、上司から「アメリカのレストラン市場を調べてくれ」と指示が来たとします。この後、皆さんならどうするでしょうか。とりあえず、インターネットでアメリカのレストラン店舗数や業態を調べてみよう、などとは考えてはいけません。そもそも、「アメリカのレストラン市場を知ることで、どのような課題を解決したいのか」、「どんなことをこれからしたいのか」、ということを事前に明確にすべきです。
 このケースでは、上司はアメリカにレストランを出店したいと考えているのでしょうか、それとも食材の仕入れ先を見つけたいのでしょうか。後者であれば、どのような食材なのでしょうか。どのような食材であれば、良いかまで検討する必要があるのでしょうか。
 このように答えるべき問いによってリサーチの方向性はまったく変わってきます。可能な限り、一番最初の段階で「明らかにしたいクエスチョン」を絞り込むことがリサーチを成功させるための第1歩となります。

視点②:プロジェクトの段階
プロジェクトがどの段階にあるかによってリサーチ内容も大きく変わってきます。担当している企画が次の3つの段階のうち、どの段階にあるのか、意識してリサーチに臨んでみてください。

・初期ステージ:基礎を理解し、全体像を把握する
初期段階にある場合、リサーチは調査対象の基礎を理解することまでと考えることが重要です。リサーチを効率的に短時間で終わらせようと思って、最終的な提案書や企画書に書くような重要な情報をこのステージで集めようとしたくなりますが、これはなるべく避けるべきです。
 この段階では、今後の本格的なリサーチのための基礎知識を蓄えることが重要です。新聞記事や企業のホームページ、調査レポートに目を通して、簡単に読み込む程度に抑え、まずは全体像を把握することに意識を集中します。

・仮説立案ステージ:プロジェクトの方向性を決める
 この段階では初期ステージよりももう1歩踏み込んだ深いリサーチが必要です。先ほどの新聞記事や企業のホームページ、調査レポートといった表面的な情報で終わらず、自社と他社を同じ項目で比較して、実際の数値の差異を見るなど、1つ手間をかけて深く調べ、調べるべきポイントを絞り込んでいくことが大事になります。
 留意すべきことは、調べるポイントが見えてきたからと言って、すぐに次にリサーチをはじめるのではなく、いったん立ち止まって冷静に考えることが重要です。自分が知りたいことについてピンポイントで答えてくれるようなことは極めてレアです。真に知りたいような情報は間接的、部分的、散在的に存在していることが殆どです。そのため、自分なりに仮説をもって、その仮説が正しいかどうかという意識を持って調べていかないと、有益な情報をピックアップすることができず、情報の海に溺れてしまいます。

リサーチ編は次回のブログに続きます!
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