【外資系コンサル養成講座】リサーチ編:ビジネスパーソンとしての必須スキル?

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ビジネス・マーケティング

この記事では、新卒後に外資系コンサルで働いた筆者(サイテル)の生の経験やスキルを発信していくことを目的としています。
具体的には市場調査(リサーチ)、資料作成(パワーポイント、エクセル)、分析といったスキルセットを指しますが、まずは経営コンサルティングの基礎的なスキルである「リサーチ(調査)」について、質の高い大量の情報をスピーディーに集め、整理、分析をするための、その具体的な手法をお伝えしたいと考えています。

これから連載する記事をご覧いただければ、だれでも外資系コンサルの基礎的なスキルが身につくと思いますし、日々の業務で生じる調査、リサーチについて悩むことはとても少なくなるのではないかと思います。

そもそもリサーチスキルとは何なのか?

皆さんは、調査(リサーチ)という言葉をどのように捉えているでしょうか、ビジネスマンの方であれば、以下のような状況に直面したことは多いのではないでしょうか

・○○業界(市場)について調査して報告しろと上司や経営陣から求められたが、何をどうやって調べたらよいか分からない。または時間が全く足りない
・競合他社について調査する必要があるのだが、何をどうやって調べたら良いか全然わからない
・消費者ニーズ、市場規模、成長性、現在のトレンド等、ビジネスに必要な情報収集を進めていかなければならないが、うまく情報を集められない。集められても大量のバラバラの情報を整理できず、モヤモヤしてしまう
これだけインターネットで情報収集ができるようになった世界ですから、インターネットで記事を検索したり、書籍を購入して読んでみたりするものの、結局うまく整理できないという経験は誰にでもあるのではないでしょうか、

私が外資系コンサルの会社に新卒で入社した頃はまさにそのような感じでした。必要最低限のリサーチスキルがなく、インターネットで情報収集をするものの、あれでもない、これでもないとインターネットブラウザのタブばかり増えていきました。今思えば、リサーチスキルが本当に足りていなかったと思います。

最終的なゴールは「アウトプット」

リサーチスキルはビジネスパーソンであれば必須のスキルです。この記事ではビジネスパーソンのスキルを「インプット」→「プロセス」→「アウトプットイメージ」の3つに分解して考えてみたいと思います。
まずは分かりやすく、あえて最終工程のアウトプットから考えてみたいと思いますが、プレゼン資料やワード資料といった資料作成のスキルが「アウトプット」のスキルに当たります。ここでは、いかに質の良い多くの情報をコンパクトかつスピーディーに整理してアウトプットするかが求められます。ビジネスの現場において、意思決定、合意形成を円滑に進めるために、この最後のステップはあえて言うまでもなく、重要なステップとなります。

次に、プロセスですが、このステップで求められるのは、「ロジカルシンキング」、「クリティカルシンキング」等のスキルですが、これらのスキルを駆使するためには、問題を解決するための、分析の技法を鍛える必要があります。
そして、「インプット」ですがこれは、どのようなアウトプットを出すか、何をどうやって考えるのか、という2つのステップの前提となる情報を集め、調べるステップです。必要な情報を、どのように集めて、整理し、加工して、意味のあるアウトプットを作成するか。このインプットで重要になるのはそのようなことであり、そのスキルを高めることがこの記事のテーマであるリサーチスキルの向上に他なりません。

リサーチスキルがビジネスパーソンにとって必須スキルである理由

では、なぜこのリサーチスキルが重要になるかというと、1つ目の理由はDX(デジタルトランスフォーメーション)に代表されるデジタル化といった環境変化への対応のためです。テクノロジーの進化により、あらゆるビジネスの領域がデジタル化を余儀なくされています。顧客や消費者の動きが変化し、既存のビジネスの前提が大きく覆っています。そのような時代にあっては、常に新しい技術や顧客・消費者の動向にアンテナを張って、潜在的なニーズを満たし続け、掘り起こしていかなければなりません、常に新しいことをリサーチするスキルがなければ、あっという間に時代遅れになってしまうという世の中になってしまいました。

2つ目の理由は「グローバリゼーション」です。グローバリゼーションの加速により、企業の競争・領域はますます刻一刻と変化していきますし、スピーディーで変化していきます。おそらく自社のターゲット市場や顧客も大きく変わってくると考えられます。まだ経験したことがない市場について、リサーチし、調べなければなりません。ライバル企業もグローバルレベルで出現しており、ライバル企業の研究も見えている企業だけでなく、「見えない」ライバルをどう捉え、「何を攻略するか」、「何を見習うか」をリサーチする必要があります。

ビジネスの舞台がグローバルに広がる中、不確実性への対処もこれまで以上に真剣に取り組み必要が出てきますし、新しいエリアや事業に取り組む際に発生するリスクについて、できるだけ極小化するために「リサーチ」する必要性があります

インターネット時代におけるリサーチスキルの意義

 私たちは検索を通じて知りたい情報にすぐアクセスできるような時代になりました。夏休みの自由研究から大学生の卒業論文まで、調べたいキーワードを入れれば、瞬時に知りたい情報が手に入ります。YouTubeには、バレないカンニングの方法まで動画がアップロードされています。ある大学生は誰かが書いた記事をそのままコピー&ペーストをして、それを卒業論文として提出しているかもしれません。

しかし、こういったことは社会人の私たちやビジネスの現場でも散見されることです。上司から「調べておいて」を言われて提出した報告書はただ、インターネットにあった情報をコピー&ペーストしたに過ぎない。このようなインターネット検索の結果をビジネスの意思決定のインプットにしようとする思考停止は非常に危険であると言わざるを得ません。
リサーチとは、単なる情報収集ではなく、ビジネスの意思決定を後押しするインサイトを抽出するための行為です。存在する情報を整理して、その本質を見抜くことが本来の目的です。

本質的な情報を即時に収集することは不可能

そもそも、インターネットが発達した現代でも、ビジネスの意思決定につながるような有意な情報を瞬時に得ることはほぼ不可能です。断片的に存在する情報をつなぎ合わせ、意思決定に寄与するレベルまで整理、加工をする必要があります。本当に重要なインサイトは普通に調べて出てくるものではないですし、そんなに簡単なものではありません。インサイトを得るためには、考え続けながら、情報を加工していくことが求められるのです。

また、リサーチした情報を分析することも非常に大事です。この分析力には、その人の嗜好の深さが問われます。リサーチした結果を表面的に理解するのではなく、その背景にどのような意味合いがあるのかを把握しなければなりません。

リサーチとは、単なる情報収集ではなく、本質的には「考える作業」であると考えられます。何を考えるべきかをリサーチして、リサーチして得た結果を見てまた考えて再加工し、足りないことがあれば、リサーチをして、最終的には理想の姿に近づいていく。これがビジネスの意思決定につながるインサイトを抽出することであり、リサーチの本来の姿であり、重要な価値であると思います。リサーチは思考がなければ、情報をただ集めるだけの作業になり、その瞬間に価値のない行為になってしまいます。

次回予告

次回の記事では、リサーチの基本的な流れについて解説していきたいと思います。詳しくは次回の記事でお伝えしますが、いきなりリサーチを開始するのではなく、目的やリサーチプランの設計をまず初めに行うことが大事なポイントとなります。

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