建築・リノベーション編【第10回】瑕疵担保責任と住宅瑕疵保険の違い~安心して住める家のために知っておくべきこと~

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マネー・副業
こんばんは。
長崎県で古民家活用や民泊設計のサポートをしている、二級建築士の"たくえい"です。

今回は、「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」と「住宅瑕疵保険(じゅうたくかしほけん)」の違いについて解説します。

建築やリノベーションの現場で、施主と事業者の間でしばしばトラブルになるのが「引き渡し後に出てきた不具合」。たとえば、「壁にひびが入っている」「雨漏りしている」「床が沈む」などです。

これらの問題にどう対処すべきか? そして、誰が責任を負うのか? を理解しておくことは、安心して家を購入・改修するうえで非常に重要です。

◆ 瑕疵担保責任とは?

瑕疵担保責任とは、簡単にいえば「売主や施工業者が、完成後に見つかった欠陥について責任を負う義務」のことです。

「瑕疵(かし)」とは、完成した建物に本来あるべき性能・品質が欠けている状態、つまり「見えなかった欠陥」を指します。たとえば以下のような事例が該当します:

・構造部分の不具合(梁が傾いている、基礎に亀裂がある) 
・雨漏り、水漏れ ・断熱材が適切に施工されていない

これらは、完成直後には分からないことも多く、住み始めてから数ヶ月~数年経ってから発覚するケースもあります。

◆ 瑕疵担保責任の対象と期間

新築住宅の場合、住宅品質確保促進法(通称:品確法)により、「構造耐力上主要な部分」および「雨水の侵入を防止する部分」については、売主(または請負人)に10年間の瑕疵担保責任が課されています。

つまり、新築住宅で柱や基礎に問題があった場合、引き渡しから10年以内であれば、売主(または施工会社)に無償で修理してもらえるという制度です。

中古住宅やリフォームの場合は、法的な義務期間は明確に定められていませんが、一般的に売買契約や工事契約で「引き渡し後○ヶ月」などと定められています。たとえば、「引き渡しから2年間の瑕疵担保期間」といった形です。

◆ 住宅瑕疵保険とは?

瑕疵担保責任に関連してよく登場するのが、「住宅瑕疵保険」です。これは、住宅に瑕疵(欠陥)が見つかった場合に、その補修費用などを保険会社が補償する制度です。

重要なポイントは、保険の対象が「売主や施工業者の責任を補填するもの」であること。つまり、施工会社が倒産したり、対応してくれない場合でも、住宅瑕疵保険に加入していれば、施主は保険会社から補修費用の支払いを受けられる、という安心があります。

◆ 新築住宅と住宅瑕疵保険の義務

2009年以降、日本では新築住宅の売主(事業者)には、住宅瑕疵担保責任保険への加入、または保証金の供託が義務づけられています。

つまり、新築住宅を供給する事業者は、必ずいずれかの方法で「万一の瑕疵に備える手段」を講じなければならないということです。

実際、多くの中小の工務店や設計事務所では、「住宅瑕疵担保責任保険」へ加入しています。保険に加入している住宅であれば、保険証券(保証書)や保険法人による検査済証などが交付されます。

◆ 中古住宅やリノベ物件ではどうなる?

中古住宅やリノベーション済み物件には、新築と違って保険加入の義務はありません。

しかし、実際には「既存住宅売買瑕疵保険」や「リフォーム瑕疵保険」といった任意加入の保険制度があります。

これらの保険では、インスペクション(建物状況調査)を前提に、

・主要構造部の劣化
・雨漏りの有無
・設備の不具合

などをチェックしたうえで、一定の品質基準を満たした住宅に対して保険を適用します。

中古住宅の購入やリノベーション物件の取引では、こうした保険に加入しているかどうかが、「安心できるか」の重要な判断材料になります。

◆ 保険と責任の違いを知っておく
ここまでの内容を簡単にまとめると:
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つまり、瑕疵担保責任は「誰が責任を持つか」の話、 住宅瑕疵保険は「費用を誰が負担するか」の備えです。

リノベーションや空き家活用の場面では、特に中古住宅の取り扱いが多くなります。こうした物件では、瑕疵の見落としや、契約後のトラブルが起こりやすいので、インスペクション+瑕疵保険のセット導入が有効です。

◆ 実際のトラブル事例

ここで、発生し得るトラブル事例を紹介します。

【事例1:購入後に雨漏りが判明】
築30年の中古戸建を購入したAさん。リノベーション済みと説明を受けていたが、入居後3ヶ月で天井から雨漏り。
→売主に問い合わせたところ「引き渡し後のことは関係ない」と言われた。
→調査の結果、屋根の一部の防水施工不良が原因と判明。
→契約時に瑕疵担保期間が明記されておらず、泣き寝入りに。
【教訓】中古住宅購入時は、契約書に瑕疵担保責任の範囲と期間を明記すべき。

【事例2:施工会社が倒産】
新築住宅を購入したBさん。引き渡し後1年で基礎部分の不具合が発覚。
→修理を依頼しようとしたが、施工会社が倒産。
→幸い、住宅瑕疵保険に加入していたため、保険会社が補修費用を負担。
【教訓】新築住宅購入時は、保険証券の有無と内容を必ず確認すること。

◆ 安心できる住まいのために

家づくりや購入は、一生に何度もあることではありません。だからこそ、「見えないリスク」への備えが大切です。

・瑕疵担保責任=施工者や売主の義務
・住宅瑕疵保険=万一への金銭的備え

この2つは、表裏一体の仕組みです。

中古住宅でも、リフォーム済み物件でも、「保険が付いているか?」「契約内容は明確か?」を意識して、安心して住める家を手に入れましょう。

次回(第11回)は、「リノベと建築確認申請の関係」について取り上げます。
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