飲食店を経営していると、売上総利益率(以下、利益率)が上がらないという悩みは絶えません。飲食店だけではなく、製造業がもっている悩みです。
商品を仕入れて販売する小売業は、仕入れ原価は契約で決まっています。しかし、製造業は原料を仕入れ加工するという作業が伴います。よって、自己努力で原価が決まる性質を持っているのです。
そもそも「ロス」とは
「利益率が上がらない」という悩みの意味はどのような内容なのでしょう。
例えば、飲食店の経営において利益率を70%として売価と原価を設定しているのに、現実には(決算の結果)、55%の利益率しか取れていない・・・という実態です。この差の15%がロスになり利益率が上がらない「悩み」になっているのです。
勿論、ロス率が0%であれば理想ですが、これは不可能です。
この15%のロスをどのようにして減らしていくのかが課題です。そのためにはロスの原因を知っておかなければいけません。知ることにより自分の「強み・弱み」を知り、経営の「精度」を上げていくことが重要なのです。
見えないロスの原因
1.廃棄ロス
廃棄ロスは、原材料や商品の廃棄により生じるロスです。消費期限切れや製造段階による失敗等です。
在庫管理や調理手順の不注意を無くせば、ある程度防げます。特にパンや弁当などの事前製造に多く見られます。売上動向や生産計画が重要です。
ロスを恐れると売上に影響がでます。売れ残りは多少必要なのです。事前製造商品の売れ残りは、できれば10%程度を目標にしましょう。
2.値下げロス
閉店前の「100円引き」等が値下げロスです。基本的にレストランや喫茶店は値下げをしません。パン・惣菜・弁当類は値下げをする場合があります。
大切なことは、値下げをするかしないかの判断です。私は値下げをしませんでした。確かに売り切る目的では有効だと思います。残すより現金化する方が有効と考えるからです。
しかし、顧客から見た「価格に対する信頼性」には疑問が残ります。また、値下げをしなければ売りにくくなります。同時に値下げが多くなるとは、利益率が上がらない一番の原因になることがあります。
3.原価変動ロス
原価変動の原因は、肉・野菜・魚の価格相場変動です。特に野菜・魚は激しく変動します。メニューの原価計算を、相場の低い時期の価格で計算すると、原価の差が発生し利益率は下がります。
特にキロ単位で仕入れる野菜は、価格変動だけでなく廃棄する部分も少なくありません。下処理で廃棄する部分が多いからです。原価計算は、原価変動や下処理を考慮した平均的な価格で計算しましょう。
4.量り込みロス
測り込みロスは、100g盛り合わせるつもりが120gにしてしまった場合です。感覚で盛り合わせる場合は、時々計量器でチェックしましょう。
また、「ごはん大盛」等の要望に応える場合も、それを前提にした原価計算が必要です。
まとめ
利益率の改善には、「見えないロス」を見つけ出さなければいけません。そのためには利益構造を理解し、「管理している状況」を作りだす必要があります。
分析をすることが目的ではありません。問題を見つけ、次の施策を立てるためには必要だからです。感覚的な判断より理論的な判断の方が、説得力もあり理にかなっているからです。
「見えないロス」の原因と見つける努力は、飲食店の利益率を上げる効果だけではなく経営の骨格を理解することでもあります。将来の可能性を導きだす大きな力になるのではないでしょうか。
次回は、より一層「ロスの実態」に踏み込んだ「ロス率の把握」についてお話しさせて頂く予定です。