私は、自宅と店を買い戻した。 ― 失ったものではなく、未来を取り戻したかった。―

私は、自宅と店を買い戻した。 ― 失ったものではなく、未来を取り戻したかった。―

記事
ビジネス・マーケティング
私は、自宅と店を買い戻した。
― 失ったものではなく、未来を取り戻したかった。―

私は、
自己破産をしました。

会社も、
自宅も、
店も失いました。

でも、

不思議と、

そこで人生が終わったとは思いませんでした。

むしろ、

「ここからだ。」

そう思っていました。

営業を再開するきっかけは、

娘でした。

中高一貫校の五年生になった頃、

娘が、

「本気で薬学部を目指したい。」

そう話してくれました。

その言葉を聞いた時、

私は思いました。

まだリタイアするには早い。

もう一度、

働こう。

もう一度、

挑戦しよう。

そう決めました。

店舗を買い戻したのは、

昔の店に戻りたかったからではありません。

娘の夢を応援するためには、

自分で店をやることが、

一番現実的だと思ったからです。

私は、

八月から店の掃除を始めました。

営業を再開しようと思えば、

途中でも再開できました。

でも、

私は急ぎませんでした。

自分が納得した状態で、

再び暖簾を出したかったからです。

今まで手が届かなかった場所まで、

徹底的に掃除しました。

厨房も。

内装も。

壁紙も。

テレビも。

エアコンも。

そして、

油煙でベタベタになったカウンターの椅子も、

一脚ずつ磨きました。

店を磨いていたのではありません。

もう一度、

自分の人生を磨いていたのだと思います。

店名は変えませんでした。

でも、

電話番号は変えました。

メニューも、

一から考え直しました。

私は、

誰かがいなければ営業できない店には、

したくありませんでした。

だから、

自分一人でも営業できるよう、

オペレーションを見直しました。

自分一人の結果なら、

言い訳はできません。

だからこそ、

改善も、

工夫も、

すべて自分の責任になります。

二階には、

三十畳と十五畳ほどの宴会場があります。

営業すれば、

売上は増えたかもしれません。

でも、

私は使わないと決めました。

宴会には、

多くのスタッフが必要です。

私は、

売上よりも、

長く続けられる経営を選びました。

お金より、

自分のストレスを減らすことを優先しました。

それが、

再起した私の経営でした。

営業再開の予定が見えてきた頃、

引きこもっていた私を気にかけ、

連絡をくれていた刈羽村の村長へ、

進捗を伝えました。

「あと四か月くらいで、

営業を再開する予定です。」

村長は、

「よかった。安心した。」

そう言ってくれました。

予定より掃除に時間がかかり、

営業再開は二か月ほど遅れました。

そして、

十一月十六日。

私は、

もう一度暖簾を掲げました。

会社を閉める時、

一人のアルバイトが、

私にこう言ってくれました。

「営業を再開する時は、手伝わせてください。」

その言葉どおり、

営業を再開した日から、

そのスタッフは、

今でも一緒に働いてくれています。

私は、

一人でも営業できる店を作ろうと思いました。

でも、

一人では、

ここまで来られませんでした。

私が取り戻したかったのは、

自宅でも、

店でもありません。

もう一度、

未来へ向かって歩き出せる自分でした。

だから私は、

自宅と店を買い戻しました。


🐾アオ日記

ニャ〜オ!

アオにゃ!🐾

主人は、

毎日、

椅子をゴシゴシ磨いてたにゃ。

「そこまでやるの?」

って思ったけど、

主人は、

店だけじゃなく、

自分の気持ちも磨いていたんだにゃ。

ピカピカになった店で、

また笑顔が増えて、

アオもうれしかったにゃ🐾

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