断るための「難しい」は、difficult ではありません

断るための「難しい」は、difficult ではありません

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定例の進捗会議です。
先方の担当者が、納期を1週間早められないかと聞いてきました。
数字を見るかぎり、できません。

言いたいのは、これです。

その件は難しいと思います。

3秒、考えてみてください。

答えです。

I don't think that's going to work.

「難しい」は、断りの言葉です

出てきそうなのは、こちらだと思います。

I think it's difficult.

意味は通ります。ただ、相手には断りとして届きません。

英語の difficult は、やる前提で、その大変さを言う語です。
難しいと言われた相手は「では人を増やしますか」「どこが難しいですか」と、
解き方の話を始めます。こちらは断ったのに、交渉のほうが続いていく。

日本語の「難しい」は、そこが違います。
できない、と言う代わりに、できなさの程度だけを口に出す。
断ると言っていないのに、断りとして通じる。聞いた側が補ってくれるからです。

英語には、その補いがありません。
断るなら、断ると先に言うことになります。

I don't think that's going to work.

否定が文の前に来るのが、英語らしいところです。
「うまくいかないと思う」ではなく、「うまくいくとは思わない」。
そのうえで going to work(この先うまく回るか)と言うので、
あなたが悪いのではなく、その案が回らないという形になります。

日本語の「難しい」が持っているやわらかさは、difficult ではなく、
この I don't think のほうが引き受けています。

場面を1つずらすと

難しいですが、やってみます。
It's going to be tight, but we'll try.

やる前提のときは difficult ではなく tight。ここでようやく、大変さの話になります。

今日ひとつ

断るつもりで difficult と言いそうになったら、I don't think … に置き換えてみてください。
やわらかさは残ります。消えるのは、交渉の続きだけです。

明日は「まだ何とも言えません」。この断り方は、自分の口ではなく時計を指します。

断るときの「難しい」、そちらの現場では何と言い換えていますか。

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