事務室の壁に、今週の稼働率のグラフが貼ってあります。
海外の上司に、その数字を説明する番が回ってきました。
言いたいのは、これです。
稼働率が9割を切りました。
3秒、考えてみてください。
答えです。
The operating rate has dropped below ninety percent.
日本語の「切る」1語が、英語では2語に分かれます
「切る」を cut にすると、自分で削ったという意味になります。
稼働率を意図的に下げた、という報告です。言いたいことと、ちょうど逆になる。
日本語の「切る」は、ある線を下回るということを1語で言えてしまいます。
英語はこれを2つに分けます。
・どちらへ動いたか → dropped / fell
・どの線に対してか → below ninety percent
drop below で「下回った」。動きと基準を、動詞と前置詞で分担している。
面白いのは、同じ「切る」が場面ごとに別の英語になることです。
・稼働率が9割を切った → dropped below ninety percent
・価格が1万円を切った → fell under ten thousand yen
どちらも「動き+線」の形は同じで、線を示す語だけが below と under に分かれます。
さらに、線を越える向きが上のときは、動詞ごと変わります。
10秒を切った(記録)→ broke ten seconds
記録の「切る」は下回ることですが、英語では壁を破るとして扱われる。
日本語がどれも「切る」で済ませているところに、英語は3通りの見方を持っています。
日本語の「切る」が担っているのは、動きでも基準でもなく、
「越えてはいけない線があって、それを越えた」という感覚のほうです。
線の名前は文脈が教えてくれるので、言わずに済んでいます。
場面を1つずらすと
今月は初めて9割を超えました。
We went above ninety percent for the first time this month.
上回るほうは above や over。drop below と対になります。
明日は
「ロットは100個単位でお願いします」。この「単位」を unit と訳すと通じません。
話者の国と地域は、選べます
アメリカ/イギリス/オーストラリア/ニュージーランド/インド。
全文を1つに統一しても、文ごとに混ぜても構いません。
市販の教材のナレーションは、ほとんどがアメリカ英語です。
一方、仕事で実際に話す相手はそうとは限りません。
話す相手の国・地域が決まっているなら、そこに寄せて作れます。