第三者や故人、フィクションのキャラクターの意思を、自身の主張や主観的な解釈に合わせて「代弁」して正当化しようとする『イタコ論法(イタコ芸)』。そもそも「イタコ」とはどんな存在なのか、『イタコ論法』が用いられるケースなどについて解説しています。
■『イタコ論法(イタコ芸)』とは?
第三者や故人、フィクションのキャラクターの意思を、自身の主張や主観的な解釈に合わせて「代弁」して正当化しようとする『イタコ論法(イタコ芸)』。
主にSNSやオタクカルチャーの文脈で用いられる「ネットスラング」として知られています。
ビジネスシーンにおいては、職場で議論する場合やマネジメント対象者の振る舞いとしてこの論法が用いられる場合には注意が必要になります。
■そもそも「イタコ」とは?
「イタコ」は、死者の霊を自分に乗り移らせて言葉を伝える霊媒師の「口寄せ」に由来しています。
東北の「南部地方」と呼ばれる、青森県東部や岩手県の北部・中部には、現在も「イタコ」がいるとされています。
この「イタコ」は、主に盲目や視覚障害を持つ女性が修行を経て継承してきた伝統的な民間霊媒師(シャーマン)で、死者の霊を体に降ろす「口寄せ」だけでなく、祈祷や厄払い、祭祀などの役割を担ってきました。
「イタコ」という存在の認知が広がるようになったのが、明治末期。
1894年~1895年に起こった日清戦争、1904年~1905年に起こった日露戦争で亡くなった方々の声を聴きたい遺族のために、「イタコ」が口寄せを行ったことが知られています。
「イタコ」がいる東北の「南部地方」では、「死者の魂は恐山に向かう」と信じられているため、恐山に出向いて口寄せをするとされています。
■『イタコ論法』の例
●推しキャラの「代弁者」となる
●代弁者として振る舞い「世論を偽装しよう」とする
●自身の主張を正当化させるために「故人を利用」する
◆推しキャラの「代弁者」となる
「私の推しキャラはそんなことは言わない!」と、マンガなどのファンタジーのキャラクターの「代弁者」となり、原作者や公式設定へ不満や批判を述べる。
◆代弁者として振る舞い「世論を偽装しよう」とする
政治家が、「世間の人たちはこう思っている!」と、自身の主張を「多数派の総意」と見せかけて正当化させ支持を得ようとする。
◆自身の主張を正当化させるために「故人を利用」する
「亡くなったあの人が生きていれば、こう言うはずだ!」と、故人の意思を自身の主張に賛同させるケースも、『イタコ論法』に該当します。
権威のある故人の過去の発言を自分勝手に解釈して主張を押し通そうとするケースもそうですし、事故(事件)で亡くなった被害者の方の意思を勝手に代弁するケースも当てはまります。
顕著な例は、2026年に起こった「辺野古ボート転覆事故」です。
沖縄県名護市の辺野古沖で米軍基地抗議船2隻が転覆し、修学旅行の「平和学習中」だった高校生と船長の2人が死亡した事故。
被害に遭った2人を悼み、辺野古漁港を訪れて海に向かって手を合わせ花束を手向けた際の抗議活動家の発言が、物議を醸すことになりました。
報道陣の取材に応じた活動家の一人は「(事故が起こり)本当に申し訳ない。(被害に遭った高校生の)思いはきっと『辺野古のこんな無謀な工事はやめてくれ』という意味で辺野古に来ていただいたと思う」と述べました。
実際には、亡くなった高校生は、反基地活動の抗議船という説明を受け「辺野古コース」からの変更希望を出していましたが、抽選に外れてやむなく乗船することになっていたことが明らかになりました。
こういった経緯を理解せず、自身らの主張(活動)を正当化させるために故人の意思を勝手に解釈して「代弁」する姿勢は、人としての倫理観が欠落しているとしか言いようがありません。
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