デザイナーの仕事とは何か?
と問われた場合、
当然のことながら「デザインをすること」という
回答がすぐに思いつくのですが、
それと共に
「クライアント(依頼主)の頭の中の希望イメージを
出来るだけ100%に近く再現するサポートをする仕事」というのが
私の答えうるベストな回答ではないかと思っています。
「希望イメージの再現」という解釈は
「クライアントの言ったことを間違いなく再現する」という解釈として
捉えるのが普通の考え方ではあるのですが、
これは必ずしもそういうことでもないのかな、というのも思っていて、
その伝達・理解・提案の考え方を
簡単な図にしてみました。
例えばクライアントから
「この部分は目立たせたいから爆弾風マークで赤色にしてほしい」
という要望があるとします。
言葉の額面通りの形状・色にすることはもちろん問題はないのですが、
クライアントの真意は
「この部分は目立たせたいから、それを意図したかたちと色にしてほしい」という
要望であり、必ずしも爆弾風マークと赤色がマスト・必須要項ではないことも
実は非常に多い、というのが、私の実感です。
爆弾風マークと赤色がデザインの全体の調和をぶち壊してしまうのでは、と
思われる場合、上記の意図を汲み取って、
代替のベターな提案がこちらから出来るか?
というのがデザイナーの大きな役割ではないか、ということです。
もちろん制作料金や納期等、様々な要因によって、
ベターな提案の方法が変わっていくのは言うまでもないことですが、
そのような提案を行うのがデザイナーとしての使命とも言えるでしょう。
その結果「言われた通りに爆弾風マーク・赤色で良いのだよ」ということも
多々あるのですが、その場合は自分の案を無理強いをしないのも大切です。
ようするに「選択肢を含めたベターな提案」をいかに行えるかが、
制作上、進行上、のカギとなるのです。
「選択肢を含めたベターな提案」と「提案内容の選択」の
繰り返しこそが、
「クライアント(依頼主)の頭の中の希望イメージを
出来るだけ100%に近く再現するサポートをする」ということに
結果的につながっていくのだと、そのように私は思っています。
クライアント側からも
「当初の自分の考えと結構それているが、
こっちの最終案の方が結果的に頭の中でもともと考えていた
自分のマインドに近いものだった」と言っていただけることが
非常に多いので、
「意向をくむ」の意は、そういうことかな、
と思いつつ、仕事を進めることが多いのです。