こんばんわ。
今日は、私の心に刻まれている、あるアロマトリートメントの記憶をお話しさせてください。
それは、看護師として終末期ケアに携わっていた時のことです。
「もう、何をしてあげられるだろう?」
その方は、もうほとんど言葉を発することが難しく、日ごとに衰弱が進んでいらっしゃいました。
私は毎日の看護業務をしながら、「何か、この方に安らぎを届けられることはないだろうか」と、日々考えていました。
ある日、ご家族から「昔から、ラベンダーを育てていて、その香りが大好きだったんです」というお言葉を伺い、私の胸に一つのひらめきが宿りました。
「アロマの力で、少しでも穏やかな時間を過ごしていただけたら……」
~ラベンダーの香りが紡いだ、言葉のない対話~
私は、肌に優しく、心穏やかにしてくれるプラナロムのラベンダー精油を選び、温めたベースオイルにほんの少しだけ混ぜ、手のひらにオイルを広げ、ゆっくりと、その方の細い腕にそっと触れます。
温かいオイルが肌に馴染んでいくのを感じながら、私はただ、優しいタッチで、ゆっくりと、撫でるようにトリートメントケアを続けました。
はじめは閉じていたその方の瞼が、うっすらと開かれました。 口元には、かすかな笑みが浮かび、私の指先を、まるで何かを伝えようとするかのように、そっと握り返してくださったのです。
その瞬間、部屋に漂うラベンダーの香りと、手のひらから伝わる温もりだけが、私たちをつないでいました。
言葉はなくても、「ありがとう」という、深く、優しい心の声が響き渡ったような気がしました。
~「最期の時」に寄り添う、アロマの力~
トリートメントが終わると、その方は深い眠りにつかれました。 ご家族からは、「本当に穏やかなお顔で、久しぶりにゆっくり休んでいるようです」と、感謝の言葉をいただきました。
終末期のアロマトリートメントは、病気を治すためのものではありません。 しかし、痛みや不安で張り詰めた心を解き放ち、「今、ここにいること」の安らぎを届けることができます。
あの時、私が手のひらを通じて届けたかったのは、精油の成分だけでなく、「あなたは一人ではない」という温かいメッセージでした。
たとえ言葉がなくても、触れること、香ること、そして心を込めることで、人は深くつながり、互いに癒されることができる。
看護師セラピストとしての私の原点であり、これからも大切にしたいと願うものです。