AI原案が一方的になっていた事例――「自社に有利に」の落とし穴

AI原案が一方的になっていた事例――「自社に有利に」の落とし穴

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コラム
生成AIに「当社にできるだけ有利な契約書を作ってください」と指示すると、相手方の責任だけを重くした契約書が作られることがあります。

以下は、実務上見られる相談を基に再構成した典型例です。

ある業務委託契約書には、次のような条項が入っていました。

・受託者は、間接損害や逸失利益を含むすべての損害を賠償する
・受託者の損害賠償責任には上限を設けない
・発注者はいつでも契約を解除できるが、受託者からは解除できない
・既存のノウハウを含むすべての知的財産権を発注者に移転する
・発注者は業務の結果について一切責任を負わない

文章としては整っており、明らかな誤字や法律名の間違いもありません。

しかし、受託者から見れば「責任は無制限、権利はほとんどない」という内容です。このまま提示すれば、契約を拒否されたり、報酬の増額を求められたりする可能性があります。

AI契約書の問題は、存在しない法律を示す「ハルシネーション」だけではありません。使用者の指示を忠実に実行した結果、リスク配分が極端に偏ることもあります。

もっとも、契約内容が一方的であるからといって、直ちに無効になるわけではありません。事業者間契約では、当事者の合意が原則として尊重されます。

一方、消費者との契約では、事業者の責任を不当に免除する条項、過大な違約金、消費者の利益を一方的に害する条項が、消費者契約法により無効となる場合があります。

本当に強い契約書とは、相手を厳しく縛る契約書ではありません。

誰が、どのリスクを、どこまで負担するのかを明確にし、実際に締結・運用できる契約書です。

AIに契約書を作成させる場合は、「自社に有利に」と指示するだけでなく、双方の立場、取引内容、責任の上限、解約条件、既存ノウハウの取扱いなども伝える必要があります。

完成後に「相手方に過度な負担を課している条項を指摘してください」と再確認させることも有効です。

AIが作った文章が整っていることと、契約内容が適切であることは別問題です。

「自社に有利な契約書」が、「誰とも契約できない契約書」になっていないか。AI原案を使用するときほど、専門家による確認が重要になります。

南本町行政書士事務所では、生成AIで作成された契約書の確認、修正及び取引内容に応じた契約書作成に対応しています。

南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本

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