企業や個人事業主がホームページを外注して作成する場合、最もトラブルが起こりやすいのが「著作権」に関する取り扱いです。
デザイン、テキスト、写真、プログラム、動画など、ホームページは多くの著作物の集合体です。
そのため、契約書において「著作権を誰が持つのか」 を明確にしておかなければ、後に思わぬ問題が発生します。
1. 「著作権」と「利用権」は違う
ホームページを依頼して「納品されたデータを自由に使っていいですよね?」と思う方は多いでしょう。
しかし、著作権を移転していない場合、依頼者が勝手に改変・再利用することはできません。
たとえば、
別のサイトで同じデザインを使う
作成したデータを第三者に販売・再利用する
といった行為は、制作者(デザイナーや制作会社)の著作権を侵害する可能性があります。
2. 著作権の帰属は契約書で決まる
著作権法上、原則として創作した者(制作者)に著作権が帰属します。
したがって、依頼者側が著作権を取得するには、契約書に著作権の譲渡を明記しなければなりません。
例文:
「本件成果物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)は、納品と同時に甲(依頼者)に移転するものとする。」
このような条項を入れておくことで、依頼者は成果物のすべてを自由に使うことができます。
3. 部分的な権利留保に注意
制作会社の中には、
「テンプレート部分の著作権は当社に帰属します」
「一部ソースコードや素材は再利用可能な範囲に限ります」
といった特約を設けるケースもあります。
これを見落とすと、
「改修時に他社へ依頼できない」「一部修正に追加費用が発生する」
といった不便が生じます。
したがって、契約締結前にどの範囲の著作権が移転されるのかを確認することが非常に重要です。
4. 二次利用・改変のルール
著作権を譲渡しない場合でも、「利用許諾(ライセンス契約)」として利用範囲を広く設定する方法があります。
たとえば:
自社サイト内での使用を無制限に認める
改変・編集も自由に許可する
といったライセンス条項を設ければ、依頼者の利便性を確保できます。
5. 制作実績としての掲載許可
多くの制作会社は「納品したサイトを実績として掲載」したいと考えています。
この点も、契約書に明記しておくことが望ましいです。
例文:
「乙(制作会社)は、甲の事前承諾を得た上で、本件成果物を制作実績として自社ウェブサイト等に掲載できるものとする。」
依頼者・制作者の双方の立場を尊重した表現が理想です。
まとめ
ホームページ制作における著作権の取り扱いは、契約書の中でも最重要項目です。
「著作権」と「利用権」は別物
原則として著作権は制作者に帰属
契約で明確に「譲渡」または「利用許諾」を規定
特約(テンプレートや素材の帰属)に注意
実績掲載の扱いも事前に合意
依頼者も制作者も、権利関係を曖昧にしないことが信頼関係を築く第一歩です。
トラブルを未然に防ぐためにも、契約書を“形だけの書類”にせず、内容で守る1通を整備しておきましょう。
南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本