デッドロック現象について

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今回は、デッドロックについて書きたいと思います。
万が一、認知症や交通事故、精神障害などにより、本人の判断能力が低下してしまうと、どんな問題に直面するのでしょうか。
例えば、自分自身で介護施設への入居の手続きができなくなったり、必要なお金を用意するために、定期預金から普通預金に振り替えたり、ATMから現金を引き出すことすらできなくなります。
その段階になって、初めて、事の重大さに気付くのです。
この段階で、慌てて相続税対策などをし始めると・・・
残念ながら、その段階から出来る「相続税対策」は一切ありません
税金対策ができないだけなら、まだいいほうなのです。
本当に恐いのは、「デッドロック」と呼ばれる現象です。
これは、不動産などの所有者が、認知症等により自分の意思が示せなくなると、売ることも貸すことも取り壊すこともできなくなるのです。
つまり、誰も手が付けられなくなる現象のことです。
そこで、
平成12年4月1日にはじまりました、成年後見制度を利用することになります。
判断能力が低下してしまった人を法的に支援する制度で、現在では約20万人の方がこの制度を利用しています。
この制度は、判断能力が低下してしまった人のために、親族や弁護士、司法書士などが、その本人に代わって財産管理や契約行為を行うことができる制度です。
本人の代わりになってくれる人のことを後見人(こうけんにん)といい、判断能力の低下してしまった人のことを被後見人(ひこうけんにん)といいます。
後見制度には二つの種類があります。ご本人が元気なうちから、将来、自分が認知症になってしまった時のために、後見人を選んでおくことのできる任意後見制度というものと、
既に判断能力が低下してしまったあとに、後見人を家庭裁判所が選ぶ、法定後見制度というものです。
いずれの制度を利用した場合においても、後見制度を開始した場合には、後見人が本人の代わりに、介護施設の入居の手続きや、銀行での預金の入手金などが行えるようになります。
しかし、不動産の所有をしている場合、自分の不動産を後見人に売却してもらうことは出来ません。
後見人は、その人の財産を守ることが役目であり、財産を運用したり、組み替えたりすることが役目ではありません。
売却することに合理的な理由があると認められる場合を除き、家庭裁判所から許可がおりない可能性が高いのです。
認知症への対策として、今、非常に注目されているのが
「家族信託」です。
これは、「財産の所有権のうち、管理する権利だけを信頼できる家族に移す」というものです。
所有権には管理をする権利とお金をもらう権利があります。
この2つの権利のうち、管理をする権利だけを移すことが出来るのです。
お金をもらう権利はそのままの所有者に残しておきます。
そうすることによって、不動産の管理は信頼できる家族に任せて、
家賃ですとか、売却代金はそのままの所有者が得る形になります。
信託銀行ではなく、信頼できる家族に託すのが、家族信託の特徴です。
これまで、不動産の管理をすべて引き継がせるには、所有権をまるごと移す、生前贈与という方法が主流でした。
生前贈与では、主有権を丸ごと移すので、受益権(お金をもらう権利)も移すことになります。
この場合には当然、多額の贈与税の負担が発生します。
また、贈与税だけではなく、不動産取得税や登録免許税もかかります。
さらに贈与税の申告書の作成を税理士に依頼すれば、その税理士に支払う報酬も発生します。
まとめると、不動産を生前贈与するとコストが非常に高くなってしまいます。
一方で、家族信託の場合には贈与税がかかりません。
あくまで管理する権利だけを移すので、受益権(お金をもらう権利)はそのままです。
この形の場合には贈与税は一切発生しません。
また不動産取得税も非課税です。
登録免許税はかかりますが、生前贈与の場合と比べると
その負担は約5分の1で済みます。
生前贈与と比べると家族信託は非常にリーズナブルにできるのです。
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