職務経歴書に書くことがないと感じたら|採用担当21年が見ていた「量でない場所」

職務経歴書に書くことがないと感じたら|採用担当21年が見ていた「量でない場所」

記事
ビジネス・マーケティング
職務経歴書のファイルを開いたまま、手が止まっている。

書くことがない。書けることがない。実績と呼べるものが、自分には無い。

そう思って検索された方が多いと思います。

私は21年間、採用の現場にいました。4社で人事を担当し、書類選考はのべ数千名分を見てきました。「この方は呼びましょう」「今回は見送りましょう」と決める側にいた人間です。

その立場から申し上げると、「書くことがない」とおっしゃる方の書類で、経験そのものが足りていた例はほとんどありませんでした。足りていなかったのは、経験ではなく書き方です。

しかも、多くの方が埋めようとしている方向は、採用側が見ている場所とずれています。

この記事では、書くことがないと感じる原因を3つに切り分けて、それぞれ最初に何をすればいいのかをお伝えします。あわせて、埋めようとして逆効果になる書き方と、そもそも書かなくていいものにも触れます。

「実績がない」のではなく、「実績を書いていない」ことが多い


添削のご依頼をいただくと、最初のメッセージはたいてい「特に実績はありません」から始まります。

ところが、実際に書類を拝見すると、弱点はいつも同じ一点に集まっています。経験の量ではなく、「実績や数字の表現」だけが抜け落ちているのです。

応募しようとしているお仕事と、これまでの経験の噛み合い方そのものは、悪くありません。何年も同じ仕事を続けてこられた方なら、材料は手元にあります。ただ、それが読み手に届く形になっていない。

具体的には、こういう書き方になっています。

・「経理業務全般を担当しました」
・「一般事務として庶務業務に従事」
・「店舗運営に携わりました」

嘘は一つもありません。ただ、これを読んだ私の側には、その方が何をどれだけ任されていたのかが、何も見えません。月に10件の処理をしていた方と、月に500件を一人で回していた方が、同じ一行になってしまっています。

「書くことがない」という感覚の正体は、多くの場合ここです。書くべき材料が無いのではなく、手元の材料が「担当しました」の一行に圧縮されてしまっている状態です。

採用側は、そもそも量を見ていない


もう一つ、先にお伝えしておきたいことがあります。

書くことがないと感じると、たいてい「埋めなければ」という発想になります。行を増やす、経歴を細かく書く、研修歴を並べる。

採用側は、そこを見ていません。

私の実感では、職務経歴書は2〜3枚が適切です。そして5枚くらいになると、読む側は正直うんざりします。

意地悪で言っているのではありません。書類選考の日は、届いた書類をまとめて処理します。1枚あたりにかけられる時間は、そう長くありません。その中で5枚の書類が来ると、どこが大事なのかを読み手が探す作業になります。探させる書類は、印象が良くなりません。

逆に言えば、分量が少ないこと自体は、落とす理由になっていません。2枚で十分に伝わる書類は、何度も通してきました。

ですから「書くことがない」と悩んでいる方が本当に困っているのは、量ではありません。次にお話しする、たった3〜4行のほうです。

最初の30秒で読まれているのは、冒頭の3〜4行だけ


書類を開いてから最初の30秒、実際に私の目はこう動いていました。

1.履歴書の写真
2.直近に在籍していた会社
3.書類の作成日
4.冒頭の3〜4行(職務要約)
5.変な色や変なフォントを使っていないか

中身を読み込む前に、この5つで第一印象がほぼ決まります。

そして「会ってみようか」と思った書類には、さらに5分ほどかけます。その5分の読む順番は、職務要約 → 会社名 → 本当に会いたければ履歴書です。

ここで大事なことを申し上げます。自己PR欄は、いちばん最後です。そこへたどり着く時点で、答えはだいたい出ています。

つまり、書くことがなくて悩んでいる方が真っ先に手を入れるべきなのは、経歴の細部でも自己PRでもなく、冒頭の3〜4行です。ここが無い書類、あるいは軽すぎる書類は、正直なところ、そこで読む気が決まってしまいます。

職務要約の書き方は、別の記事でくわしくお伝えしています。冒頭に何を入れるかが分からない方は、こちらを先にお読みください。

採用担当21年が教える職務要約の書き方|30秒で見ている3つのポイント【職種別の例文つき】

「書くことがない」は、3つの状態に分かれる


ここから、原因の切り分けに入ります。同じ「書けない」でも、状態によって最初の一手が変わります。

状態1:材料はあるのに、数字にしていない

いちばん多いのがこれです。何年も続けてこられた経験があるのに、書類の上では「担当しました」で止まっています。

状態2:職歴が短い、あるいは1社だけ

在籍が1〜2年、または新卒から1社しか経験がない。「並べるものが少ない」という物理的な悩みです。

状態3:成果が数字になりにくい職種

人事、総務、企画、研究職などです。売上や件数のように、そのまま数字になる成果が出にくいお仕事です。

ご自分がどれなのか、あるいはどれとどれの組み合わせなのか、当たりをつけてから次に進んでください。状態が違うと、打つ手が変わります。

状態別に、まず何をするか


状態1(材料はあるが数字にしていない)の場合

やることは一つです。「担当しました」を、件数・規模・体制の3つに開きます。

・件数:月に何件、1日に何人、年に何回
・規模:何人分、何社分、何店舗分
・体制:一人で回していたか、何人のチームだったか、誰の下にいたか

数字がはっきり思い出せなくても構いません。「だいたい月150件くらい」で十分です。大事なのは、任されていた責任の大きさが読み手に見えることです。

職種ごとに、どこを数字にすればいいのかは決まった型があります。そこは別の記事に職種別の質問という形でまとめていますので、材料の出し方はこちらをお読みください。

採用担当21年が教える職務経歴書の自己PR|読まれる書き方と職種別の例文6本

状態2(職歴が短い・1社だけ)の場合

並べる会社が少ないことは、思っているほど不利ではありません。むしろ、1社で続いている事実は、採用側にとって安心材料です。

この状態でやるべきは、会社を増やすことではなく、1社の中身を分解することです。

在籍中に自分がやっていたことを、時系列で書き出してみてください。入社直後は何を任されていたか、半年後に増えた仕事は何か、今は何を一人で判断してよいことになっているか。この3つを並べると、同じ1社でも「任される範囲が広がってきた」という動きが見えます。

この「増えていった」という形は、経験年数の短さを補います。私が20代の方の書類を見ていたとき、知りたかったのは実績の量ではなく、伸びているかどうかでした。

状態3(数字になりにくい職種)の場合

数字の代わりに、次の3つを書いてください。

相手の範囲:何人の、どの立場の人を対象にしていたか
任されていた範囲:どこまでを自分で決めてよかったか
続いているかどうか:自分がやったことが、今も残っているか

3つ目は見落とされがちですが、読む側にとってはいちばん確かな手がかりです。一度きりの取り組みだったのか、仕組みとして根づいたのか。そこに、その方の仕事の質が出ます。

書き方の例(一般事務の場合)


言葉だけでは分かりにくいと思いますので、実際の形でお見せします。30代・一般事務・在籍6年の方を想定した例です。

直す前

株式会社〇〇(2020年4月〜現在)
一般事務として、庶務業務全般を担当しました。電話対応、来客対応、書類作成、データ入力、備品管理などを行いました。

直した後

【職務要約】
中小の建材商社にて6年間、一般事務として営業部門20名の事務業務を一人で担当。受発注データの入力を月約400件処理し、請求書の発行漏れゼロを継続。入力の二重チェックの手順を自分で作り、現在も部内で使われています。

【担当業務】
・受発注データ入力:月約400件(専用システム・Excel)
・請求書発行:月約120件、営業20名分を一人で担当
・電話・来客対応:1日約30件
・備品管理、社内文書の作成、入社手続きの補助

この2つは、同じ方の同じ経験です。経歴を足したり、役職を大きくしたりはしていません。増やしたのは、件数(月約400件)、体制(20名分を一人で)、続いているかどうか(今も使われている)の3つだけです。

直す前の書類を読んだとき、私の側に見えるのは「事務のお仕事をされていた方」までです。直した後を読むと、「20名分を一人で回していた方」「自分で手順を作れる方」が見えます。会ってみたいと思うのは、後者です。

ここに出した数字は、あくまで例です。実際にお書きになるときは、思い出せる範囲の事実だけを入れてください。正確でなくても構いません。「だいたい月400件くらい」で十分に伝わります。

空欄にするか、何か書くか


「自己PRが埋まらないので、空欄で出してもいいですか」というご質問をいただきます。

先ほどお伝えしたとおり、自己PR欄は最後に読まれる場所です。ですから、空欄だからその一点で落ちる、ということはありません。

ただ、私には一枚だけ、忘れられない書類があります。

自己PRに、自分の失敗が具体的に書いてあった書類です。何をやってしまったのか、何が悪かったと自分で考えたのか、その後どう変えたのか。そこまで書いてありました。

読み終えて「この方は、うちで失敗しても立ち上がれる人だな」と思い、会うことに決めました。

自己PRで「コミュニケーション力」「チームワーク」と書かれても、正直なところ、何も想像できません。応募者のほとんどが同じ言葉を書くからです。ところが、失敗とその後の話は、書いた方の顔が見えます。

うまくいった話が見つからないときは、困ったこと、そしてそれをどう変えたかを探してみてください。それは実績よりも記憶に残ります。

やってはいけない埋め方 ―― 盛りは、指摘されないまま減点される


ここは、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

書くことがないと感じると、どうしても大きく書きたくなります。よくあるのが、「プロジェクトの責任者を務めました」という書き方です。実際には、上司や先輩の下で一部を担当していた。

申し上げにくいのですが、これは面接でほぼ分かります。「では、その話を詳しく聞かせてください」と一段深く聞いたとき、何を判断し、誰にどう動いてもらったのかが出てこない。それで分かってしまいます。

では、分かったときに面接官がどうするか。

その場では、何も言いません。追及もしません。ただ「そのように感じた」とメモに残すだけです。

これが盛りの本当のリスクです。責められるわけではありません。本人は気づかないまま、静かに評価が下がります。面接の感触は悪くなかったのに落ちた、という経験の一部は、ここで説明がつくと思っています。

ですから、こう考えてください。

「責任者」と書くなら、何を決めて誰をどう動かしたかを語れる状態にしておく。語れないなら「担当」と書いたほうが、かえって信用されます。

そして逆のことも起きます。事実の範囲で、過程まで具体的に語れる方は、深掘りされるほど評価が上がります。聞けば聞くほど中身が出てくるので、面接官は安心します。

21年やってきて、学歴や在籍を偽るような明確な詐称に当たったことは一度もありません。実際に起きているのは、この「盛り」のほうです。

逆に、書かなくていいもの


「全部書かなくてもいいのでしょうか」というご質問にも、お答えしておきます。

全部書く必要はありません。むしろ、書かないほうがいいものがあります。

古い経歴を、直近と同じ密度で書かない

いちばん見てほしいのは「今」です。直近5年は厚く書き、それより前は1〜2行の要約に圧縮してください。全部を同じ濃さで書くと、いちばん見てほしい直近が埋もれます。

奇をてらった装飾は入れない

文字の色を変える、珍しいフォントを使う、飾り枠を付ける。目立たせようとしたのだと思いますが、私の側では減点材料でした。書類は読みやすさで評価されます。

作成日を古いまま出さない

これは書かないものではなく、直すものです。作成日が何か月も前の書類は、「他社に使い回している」というより、もっとシビアに読まれます。長く活動して決まっていない方なのかな、という受け取り方です。

正直に申し上げると、私はそう見ていました。書類は応募のたびに日付を更新してください。これだけで、無用なマイナスを一つ消せます。

なお、前職への不満や愚痴は書かないほうがいいと思います。事情があったことは想像がつきますが、書類の上では読み手に理由が伝わりません。理由を説明する場は面接です。

年代によって、求められる量は違う


「書くことがない」という悩みの重さは、年代によって変わります。採用側が見ている場所が違うからです。

20代:ほぼポテンシャルです。元気さ、挨拶、上司や先輩に可愛がられそうかどうか。実績の量は、そもそも求めていません
30代:「20代のときに何をやってきたか」「それがうちで生きるか」を見ます。経験を、応募先で活きる形に接続してください
40代:自立です。指示を待たず、自分で進んでいけるかどうか
50代:これまで積んできたものを、一度壊せるかどうか。あるいは壊さずに突き進んで、それがハマるかどうか

ですから、20代の方が「実績がない」と悩む必要は、ほとんどありません。求められているものが違います。

逆に40代・50代の方が、ポテンシャルや意欲だけで書類を作ると、そこは弱く見えます。任された範囲と、自分で判断してきたことを書いてください。

転職回数が気になっている方は、こちらの記事もあわせてお読みください。

転職回数が多い人の職務経歴書|採用担当21年が見ていた実際のラインと書き方

6割いいなと思えたら、出していい


最後に、採用する側にいた立場からお伝えしたいことがあります。

書類は、縁と数です。ある会社には落ちたけれど、ある会社には受かる。これは往々にしてあることです。私も選考会議で、人事が見送ると言った方を現場が「この人がいい」と言う場面を何度も見てきました。

そして、100%自分に合う会社はありません。「6割いいな」と思えたら、出していいと思います。残りの4割は、入ってから自分で作るものです。仕事を頑張って、居場所を作って、発言権を持って。そのくらいの感覚で十分です。

書くことがないと悩んで、応募を止めてしまうほうが、ずっともったいないと思っています。

自分では判断がつかないときは


ここまでお読みいただいて、「材料はありそうだけれど、自分のどれが書く価値のあることなのか分からない」と感じた方もいらっしゃると思います。

それは当然です。自分の仕事を、自分で客観視するのがいちばん難しいからです。毎日やっていたことは、本人にとって当たり前になっていて、価値があるとは思えません。私が添削でしている作業の半分は、その「当たり前」を質問で掘り出すことです。

かがり事務所では、採用担当として21年、実際に書類を見てきた立場から、職務経歴書の添削と作成を承っています。どこを直すかだけでなく、なぜそこを直すのかを添えてお返しします。

詳しい内容は、下記のサービスページをご覧ください。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す